めっちゃ強い奴
???
「ぐわ、やられたー」
主人公
「よし、勝ったぞ」
???
「き、貴様、ランキングはいくつだ?かなりの上位と見たぞ。因みに私は17位だ」
主人公
「僕は43232位です」
17位の男
「43232!?馬鹿な!そんなに強いのに!」
主人公
「今回は運が良かったみたいです」
???
「あらあら、【17位】ったら。こんなランキング下位の雑魚に負けるなんて情けないわね」
17位の男
「貴様は……【8位】の女!?」
8位の女
「坊や、私と戦ってもらってもいいかしら?それとも、尻尾を巻いて逃げ出す?」
主人公
「いえ、是非お願いします」
17位の男
(主人公くん、確かに君は強いが……【8位】の女には敵うはずがない)
17位の男
(正直”ワンナンバー”……【9位】以上のランカー達と、私とでは圧倒的な実力差がある)
17位の男
(【8位】には、例え私が100人に分裂して、束で挑んだとしても敵わないだろう)
17位の男
(しかも「8位】の性格は残忍……主人公くんの心が潰されてしまうかもしれんな……)
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8位の女
「ま、参ったわ。降参よ……」
主人公
「わーい、勝ったー」
17位の男
「つ、つぇー!!強すぎる!!主人公くんはどこでその強さを手に入れたんだ!」
主人公
「いや、大したことないですよ。先週友達とやってたら、友達に一回も負けなかったんで」
主人公
「なんか僕ってこういうの才能あるのかなぁって思って……昨日からプロ入りしました」
8位の女
「天才ね……何だか貴方を見てると、私の今までの日々が虚しいわ」
???
「おいおい、楽しそうなことしてるな」
8位の女
「は、貴方は【5位】のおっさん!」
5位のおっさん
「俺も混ぜろよ」日本酒を瓶のまま、ぐいー
17位の男
(流石は【5位】ランカー……私ごときでは、彼を直視できないくらいのオーラだ)
主人公
「次は、貴方が僕と戦ってくれるんですか?」
8位の女
「しゅ、主人公くん!?貴方、彼が怖くないの?」
主人公
「え、あの人って怖い人なんですか?」
5位のおっさん
「はっはっはっ。おい、【8位】 。坊主の言う通りだ。俺はただの優しい中年親父だよ」
8位の女
(そんな凄まじい殺気を放ちながら、よくもぬけぬけと……)
17位の男
「主人公くん……悪い事は言わない。棄権しなさい」
主人公
「どうしてですか?」
17位の男
「彼は容赦が一切ない……彼に選手生命を絶たれた選手を、私は山ほど見てきた」
主人公
「まあ、その時はその時ですよ」
5位のおっさん
「本当に威勢がいい坊主だこった。おじさん手加減とかできねえけど、それでもいいか?」
主人公
「ええ。寧ろ手加減されては面白くないですよ」
5位のおっさん
(にたぁ)「じゃあ、始めるとするか……」
8位の女
(主人公くん……ごめん。私、貴方を止められなかった……)
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5位のおっさん
「ぐえー、やられたー」
主人公
「わーい、わーい」
8位の女
「うそーん」
17位の男
「5位相手に余裕を見せて勝つとは……まさか、彼なら【1位】さえも……」
???
「おやおや、それは聞き捨てなりませんね」
8位の女
「きゃー、嘘でしょ!1位のイケメンさんだわ!握手して」
1位のイケメン
「ええ、いいですよ」 ニギニギ
8位の女
「きゃー、嬉しい!もう死んでもいい!」
一位のイケメン
「じゃあ、死んでください」 ザクッ
8位の女
「えっ……」 腹部をナイフで刺されてる
1位のイケメン
「トップランカーが、こんな雑魚に負けていいはずないでしょ。無自覚は罪です」
8位の女
「う……」 バタン
17位の男
「おい、お前何てことしやがるんだ!!」
1位のイケメン
「あん?貴様のような雑魚が俺にどの口聞いてんだ!?あん!?」
17位の男
「が、がはっ……」(睨まれただけで、こ、呼吸が……できない……)
5位のおっさん
「おい、一位。そこに居る坊主は、”ほんもん”だよ」
5位のおっさん
「気付かねえのか?」
一位のイケメン
「分かってるさ、強いよ。彼は」
一位のイケメン
「だが、我々は負けてはならない。絶対に。我々のような上位ら、ら、ら、」
一位のイケメン
「らん、かーは……うひょひょひょひょひょひょひょひょひょぉぉぉぉぉぉ」
5位のおっさん
(こいつ、おかしくなってやがる)
5位のおっさん
(【1位】であるが故に負けることは許されないという重圧が、奴をオカしくしたのか……?)
主人公
「貴方が【1位】の人なんですね。是非勝負してくださいよ」
1位のイケメン
「あ、あ、あ、あん?ざ、ざ、ざこがざこがざこが調子に、うひょひょ、のってぇぇいひひ」
5位のおっさん
(頭はおかしくなっちまったが、放つオーラはどんどん増してやがる)
5位のおっさん
(この俺でさえ立っているのがやっとだ……)
8位の女
「頑張って……【1位】……」
5位のおっさん
「おい、【8位】!刺されたってのに、どうして一位を応援するんだ!?」
8位の女
「貴方も分かるはずよ……上位を維持することの辛さ……彼は、やり方は間違えているけど、きっと私たちの全てを背負って、あの場に立ってくれているんだわ……彼は私たちの最後の希望なのよ」
5位のおっさん
「確かに……その通りだ。彼が負けたら……我々上位ランカーの威信は、地に落ちてしまうだろう」
5位のおっさん
「しかし、今のままではきっと【1位】は理性が働かず負けてしまう……」
5位のおっさん
「仕方ない……俺が一肌脱ぐか……」
そして、5位のおっさんは各方面に電話をして、世界中のランカー達をこの場に呼び寄せた。
5位のおっさん
「皆、お願いだ。力を貸してくれ。1位をどうしても勝たせてやりたいんだ……」
5位のおっさんの呼びかけに、全員が首を縦に振った。
そして、彼らは1位のイケメンを精一杯応援した。
”がんばってー!”
”お前だけが頼りなんだー!”
”この前ファンレター送りましたー!”
その声援を受けて、散漫に空間を埋め尽くしていた1位のオーラが、彼の心臓へと一点に集まる。
そして、彼は正気を取り戻した。
1位のイケメン
「すまない。俺は、ずっと孤独だと思っていたが……」
1位のイケメン
「それは、俺の思い込みだった。皆、俺に力をくれてありがとう」
集まったランカー達が、歓声でそれに応えた。
1位のイケメン
「待たせたな、主人公くん。さあ、始めようか」
主人公
「はい、お願いします」
************************
1位のイケメン
「あ、負けました」
主人公
「ありがとうございました」
ー完ー