第四十話 ブリーフィング
───中世エリア獣王国。多様なキャラクリエイトを誇るエリュ
シオン内にて、ケモナーならば知る人ぞ知る拠点施設の一つであ
る其処では、拠点内を四つに分け管理、運営が行われていた。
四つの縄張りを任されたるは四獣と呼ばれるケモノ達。
そう、今空色の青年たちと対峙するオオザルこそ、四獣が一匹で
ある。
罠に嵌められて、いや嵌りに行ったロリ神様の所為でオレ達は此
方を襲撃してきた敵対勢力。通称“獣の陣営”とか呼ばれる彼ら
の、その拠点へと来てしまっている。敵陣真っ只中。
けれど幸いにも一発ツモって事は無くて、しかも敵勢力圏で協力
者を見つけられたり脱出の方法も分かったりと。以外と希望はあ
ったりした。
この拠点を出るためには王とか四獣って呼ばれる特別な拠点管理
者に許可さえ貰えれば良いんだとさ。聞いた時は“何だ、楽勝じ
ゃん!”って思ったね。
だって適当な口実で、それこそ嘘でも貢物でも何でも良い。外に
さえ出られれば此方のものなんだから。
口は上手い方だからね、オレってばさ。だから理由何て幾らでも
浮かぶもんだと思っていたし、四獣に会えれば嘘八百でどうとで
も切り抜けようと思った。
そうして辿り着いた四獣の住処には。
「わザわザ捕まりに来タか!メガミの従者どモが!」
四角い通路で囲むようにされた中央、聳え立つお山で叫ぶアレ。
最近見た事のある厄介な魔猿何かが居てさ、そいつが此方を指差
し叫んじゃってるのよ。頑張ってビーストマン達に紛れたオレ達
の正体を声高々にさ。
あー背後にはその魔猿を軽々と超えたオオザルまで居ちゃうの
ね。四メートル近くありそうよ?あのオオザルさん。しかも此方
を睨んでるし。中ボスとボスって感じかも。
「吠えるサルの後ろ、あのデカイサルは自分を四獣のマシラオウ
とかって名乗っていたな」
「ええ。間違いなくあの獣はそう名乗りましたね」
相棒とリストゥルンさんが言う様に。あのいつかのボス猿の更に
上、真のボス猿っぽいの。
『……』
酒場を襲撃していたサルが子猿に見えちゃう程の大きさで、体中
が真っ白な毛に覆われたオオザル。威圧感すげぇ。
四獣だとか言う肩書きも納得のボスエネ。つか。
「よりによって最初がアイツの所かよ!運悪すぎるだろ!」
「さいあくなんだけどッ!どうすんのよ!」
「女神とか自称するならラックの力でも見せろよな!」
「はあ?幸運担当じゃないし、わたしと話せる事、出会えた事が
おまえにとって人生最大にして最上の幸運なのだけど!?」
「ッマイナスじゃねーか!」
「!!? こここここの、不敬者おー!」
ロリ様が足を殴ってくる。猫パンチの特殊音とエフェクトが緊
張感を殺す。
「お嬢さんたち。遊んでる場合じゃなさそうだぞ」
「「ほあ!」」
相棒に言われ二人揃って魔猿の方を見やれば。
「捕らエろ! メガミ共を捕らえルんだー!」
「「「生ケ捕りキッキー!」」」
昼行灯襲撃首謀者だったボス猿、今や中ボスと判明した魔猿がオ
レらを捉えようと部下に指示を飛ばす。すると中央の大山天辺か
ら続々と魔猿共が、魔猿共が降りてきて……。
「いや数多いなッ!」
当然魔猿達はオレ達だけを狙って来ている。他の一般キャラには
目もくれずにね。他の人達はイベントかと静観している。オレも
あっち側で居たかった!
「流石敵の本拠地。無限湧きか?」
「呑気! 床ペロしたぐらいじゃ大丈夫だと言われたし、思うけ
どもさ、それでもオレはデスしたくない! 不具合バグは何時だ
って突然発覚するからな!」
ゲームなのだからやられてもリスポーンできるだろうし、ロリ様
曰くそうそう魂に致命的な事は起きないとも言われた。でもそん
なの実際に体験しないと分からないじゃん? 分からないから体
験したくは無いね。マジに命掛かってるし、このワンプレイに
オレはさ!
「! それもそうだな。彼奴等も異邦の勢力、倒される相手とし
ては最悪か。なら」
「そう!今は逃げ勝ちッ!」
言いながらオレは一番足手まといになりそう、いや絶対になるで
あろう身長キャラメイクのロリ神様を素早く拾い上げ、そのまま
脇へと抱え込む。
「ああああまたああああ持ち方ぁぁぁあぁ!」
「緊急に付き苦情は受け付けません! 相棒は最後尾、他はオレ
の後ろ! んであっちに見える階段上がるぞ!」
「はい! ルプス様の後ろへ続きます!」
「こんないきなり襲われる何て!」
戸惑うビーストマンへ。
「迷うな獣人! 戦時即断即決で着いて来い!」
「くッ。そうだ───いえ、そうですね!」
優しいお姉さんから勇ましいお姉さんへシフトしたリストゥルン
さんが活を入れる。ううーんやっぱ戦闘が好きそうだなぁ。彼女
って。今度コロシアムとか紹介しようかな?
「ルッルッル。此処に逃げ場なンてないぞぅ!」
「「「キキー!」」」
中ボスと魔猿の群れが中央から此方、四角通路へ上がろうと駆け
て来る。迎え撃つのは殿の相棒一人。相棒はトレンチコートの内
側へ手を入れては。
「こんな開けた視界で真っ直ぐ来るとはな」
「アイツからやっちまえー!」
「「「キー!」」」
筒状の缶を迫る魔猿達へと放る。缶はそのまま魔猿達の眼前で、
空中で爆発しては同時に強い閃光を辺りへ解き放つ。
「ルーマブジーー!?」
「「「ギッギー!?」」」
状況確認で後ろ見てたオレは既に顔を前へ戻し閃光を躱してお
く。
背後から叫び声が聞こえて来るあたり見事目くらましは成功した
っぽいね。序に。
「うわあ!」
「キャ!」
「ギャアー!」
他のキャラ、イベントかと静観していた誰それが巻き添えを食ら
って居た。閃光回避は結構プレイヤースキルがいるからなぁ。
そんな相棒の活躍でオレ達は魔猿に追いつかれる前に、四角通路
の四隅にあった階段へと駆け込め、そのまま駆け上がる。
四つ程上へと登ってから通路へと戻り。何処か開いてる扉を探す
んだけど……。
「あー!ちくしょうやっぱどれも開いて無いかー!」
「どうすんの!どうすんのどうすんのどうすんの!」
「ええいうるさい! 考えてるから少しはミュートしてろ!」
「わー! やっぱこんな頼りない奴協力者にするんじゃなかった
ー! 何が戦場指揮官よー!」
「なりたくて成った覚えがねえよ!」
くそ。正体バレと同時に出入り口は全て閉じられたのは見たけど
さ、これじゃ多分この建物の扉全て閉じてるっぽいかも!
どうにか何処かに身を隠したいが此処は塔で中央は全部吹き抜け
だし、しかも中央吹き抜けにあるお山ってば天井まで続いてるっ
ぽいねー。だから。
「ルプス様!階段から足音が迫ってます!」
「山、山の方からも彼奴等登ってきてる!」
周囲警戒のリストゥルンさんとトロラオさんが絶望の、追手の報
告をしてくれる。そっかー階段だけなら対処できるかもと思った
けど、お山から此方へ飛び込まれるとー……あーキツイかも!
「ルプスッ!」
「どした相棒?ってか君何処から来たん───いやナイスッ!」
オレを呼んだ相棒の声は階段からでなく、四角通路の途中。開い
た扉の前からだった。どうやってあの扉を開けたか、階段以外か
ら来たのかはさておき!これで身は隠せる。
と成れば考えも幾つか浮かぶってもんよなぁ!
「相棒モクモクモク!スモークグレ一個頂戴ッ!」
「? ほらよ!」
「サンキュウー! 皆はそのまま相棒の所へ!」
「はい!」
「わかりました!」
階段と山を警戒していたリストゥルンさんとトロラオさんが相棒
の下へと走って行く。
「……は? わたしは下ろして行きなさいよ!?」
相棒から放られたスモークグレネードを受け取り階段へと駆け込
み、上の階目掛け力いっぱい投げ入れては。
「アクセラレイション!」
「!?ぃぎゃあやああああ!」
加速スキルを使い急い相棒の下まで撤退。
背後から足音と“キキー”とかって言う鳴き声が迫る中、スライ
ディングよろしく外へと開いた扉へ足からぶつかりに行き、その
止まった体を。
「「!」」
相棒とリストゥルンさんが室内から掴み中へと引っ張り入れてく
れる。最後に開いていた扉はトロラオさんによって直ぐに閉じ
ら。一連の行動が終わった僅か後に。
「何処に行っタ?」
「あ!上にケムリがあルぞー!」
「ケムリ上? じゃあウエか?」
「ウエだ、ウエだウエだ!」
「ボスの命令! おえおえー!」
「ま、マてお前タチ。そんな単純───」
「上だ上ダー!」
何て声が続く。喋るんだねーあんな普通のザコ系モンスター達
も。いやまそう言うタイプもたまに居るけどさ、大抵もうちょっ
と強そうなキャラ、それこそイベントボスとかだったりするから
ね。
このゲームで普通のモンスターが喋るのって稀な部類だったりす
る。そりゃ倒す相手倒す相手一々が高度なAIで喋られてもね。
息を潜めて暫く。モンスター達はこの高い高ーい塔を駆け上がっ
て行ったらしい。ふう。
「……取り敢えずは行ったらしい。喋っても聞こえる範囲にはも
う居ないだろう」
地面に手を着き探知系スキルを使用し続けて居た相棒が安全だ
と宣言。同時に隠れていた全員から大きく息が漏れた。
「あれで獣達をやり過ごせたのですね?」
「みたいっすね。と言ってもやり過ごせたのはこの一瞬だけで、
直ぐ彼奴等は部屋の中だって気が付くと思う」
「うぅー。こんなところでぇ~……」
リストゥルンさんとロリ様がオレを見ている。漁った感じしてる
のはロリ様だけ。
「そもそも何故貴方方は四獣に狙われているのですか?」
トロラオさんが当然の疑問を口にした。うーん。
「今は時間がないから話し端折るけど、オレらあのお猿さん達
とは前に戦った事があるんだ。ああ勿論あっちが攻めてきたから
悪いのあっちね、あっち」
「そ、そんな事が。つまり表面的ではなく、既に物理的敵対を前
にしていたのですね。それも四獣クラスと」
「そ言う事。んでだ、これからどうすっかってのを今から決めない
と行けない」
「「「!」」」
「選択肢は“逃げる”か“戦う”かって所?」
オレの言葉に脇へ抱えっぱだったロリ神様が言葉を続けた。
「よく分かってるねロリ様。で、どっちにしろ聞いときたい事と
して……相棒」
「なんだ?」
「どやって此処まで上がってきたの? 後所感で良いから扉の難度
が知りたいかも!」
「上がってきた方法はフックショット、扉の何度はイージー」
「納得。て事は……」
「ただし出入り口の扉は小指で押して開くレベルじゃないだろ
う。この辺りの扉だけが異常に簡単だっただけだ。理由は──
─」
言いながら相棒は部屋の奥へ視線を送る。オレも視線を送ると、
部屋の中には家具が一切ない。ただ空間があるだけ。
「成程。ハリボテって事ね」
「恐らく他もそうだろう」
だから扉の難度が低いってか。見えない所は随分と手抜きだな。
「ふんふん。じゃあ状況を考えるに逃げ切るのはまず不可能。転
移も使えないし扉も閉じちゃってるしか」
「ご友人様は今簡単では無いと言いましたけど、出来ないとは言
いませんでしたよね?」
「触ってみない事にはどうにもって事だからねー。だけどまあこ
ういった個室と違ってさ、下のは完全な出入り口。開けるのに時
間は掛かると思う。長いか短いかは分からないけど、その間あの
物量で押さえるのはぶっちゃけこの人数じゃキツイね」
人数と言うよりチーム、パーティー練度の問題かな。連携が取れ
ないと防衛って難しいもんね。
「悪いがルプスの言った通りだ」
「なるほど。では───」
「ああ。“戦うしかない”」
逃げるって選択肢は現状リスクが高い。勿論戦うって方もリスク
は同じくらいだけど、此方は正攻法。それに戦ってる内に逃げる
方法も浮かぶかも知れないしね。
つまり掛けるなら今は戦うって方だ。それにオレらってモンスタ
ーとは戦ってなんぼだし。相手が真っ当かは微妙いけど。
「今ん所それしか打開への道がない。だから戦うを選択するとし
てだ、今度は相棒以外に聞きたいんだけど」
「「「?」」」
「この中に戦えるって人どれだけ居るよ?」
現在状況の確認。それは勿論戦力も含まれてる。
「乙女として、そしてルプス様に戦い方をお教えいただいた者と
して。勿論戦えます」
言いながらリストゥルンさんは槍を取り出し、勇ましく床へと槍
の石突を着ける。よし、とりまこれで三人。
「私も弓なら。先生同様真似事程度ですが、一人旅をするのに過
不足無い程度には腕に覚えがあります。スキルと言う此処の力も
多少は」
「マジ? オッケー弓撃てるってのはデカイデカイ」
スキルの使い方分かってるって事は、もしかしたらトロラオさん
はリストゥルンさんよりも戦力として役立つかも。リストゥルン
さんは気迫が初心者とは思えない程凄いけど、それでも戦闘に関
しては紛うことなき初心者だからね。
うん?
「……」
「あの、私の槍がどうかしましたでしょうか?」
「! いや、なんでも無いです」
何故かトロラオさんはリストゥルンさんの槍を見つめていた。そ
れもちょっと嫌そうに。ありゃ何じゃろなと思うけど、今は構う
暇がないと脳が判断。脳何処にあんねんって話しだけど。
「で? 期待の真打ちロリ神様はどうなのよ?」
「? わたしが戦うわけ無いでしょ?一番偉いんだから」
バカなの?って感じに、完全完璧に此方が間違ってると思ってる
ロリ様。うーんコイツは。
「その態度だと部屋から叩き出されても文句は言えねーよ?」
「だ、だって!戦った事ないもん! そもそも私が戦わない為の
乙女だもん!」
ダメだこりゃ。っつてもまあ将棋もチェスも大将戦わせちゃダメ
よな。けれど今はそれで済ませられない。
「一応聞くけど、自分がスキル何持ってるかぐらいもわからね
ーの?」
「……此方の、その。すきる?って力とか。よく、わかんない」
さっきまで自信しか無かったようなロリ様が、今度は俯向き声が
跡切れ跡切れだ。まるで、分からない事を聞けない、聞く事態を
悪い事だとでも思ってそうな子供、或いは新人。そんな風に萎縮
してしまっている。全部まあ見た目だけの話だけどね。
「あぁ~まあ初心者みたいなもんだしな。ロリ様も」
「そうよ。わるい!?」
「いや全然?」
「!」
「いいよ。プロフ詳細で習得スキルを公開設定してくれればオレ
が見てやるよ。スキルセットもぱぱっと組むべ」
「あ、えと。ど、どうすればそれって、できるの?」
「んーまっずねー───」
ロリ神様にプロフィールの設定の仕方を教える。んで習得スキル
を確認させてもらうと意外にも。
「お。言動的に自己中な感じのスキル構成かと思いきや、回復系
に支援系が多いじゃないの。って事はこれポジション的にヒーラ
ーかサポ、いやヒーラよりのサポでも向いてんのかな?
何にせよ現状丁度足りないポジションだったし、いいじゃんいい
じゃん」
「ホント? いいの?」
「ホントホント。んじゃ時間無いから軽くスキル構成、それと使
い方っての教えるから覚えよっか」
「うん」
「いいか───」
初心者なロリ神様は勿論、リストゥルンさんも初歩的な戦闘操作
方法を熱心に聞いていた。二人をダイブ型プレイヤーだと思って
教えたけど。飲み込みもよく、基礎スキルも揃ってたし大きな問
題はなかったっぽい。
二人共現実に肉体があってゲームしてる訳じゃない、魂だけを此
方へ入れてゲームをしてるんだから、仮想世界での操作方法は感
覚便りなダイブ型と変わらないだろうからね。
そうして短いながら準備が、と言ってもロリ様たちには操作方法
を教えた程度で。相棒にはこの後予想される戦闘、戦場の作り方
を頼むとか。その程度の準備だったんだけどね。
「よっし。んじゃこれからの目的を最後に共有するよーん」
「その。気になってたんだけど」
「あに?」
「お前はこの状況でその、全然全く緊張してないのね」
「してるよ。いやしてるけどしてない」
「なにそれ?」
「抑えてるって言えばいいのかなー。だってもしキルされたら終
わりかも知れないんだから、オレってば。だから緊張するよ。
でもだからと言って緊張に行動思考感覚への主導権渡すと考えも
動きもクソ鈍るし、何より今オレPTリーダーっぽいポジだか
らね。オレがビビったら皆不安でしょ?」
「だから、だからおまえは緊張しないように、させない様に振る
舞ってるわけね。
ふーん……。おまえってば意外にも戦士向いてるのかもね」
戦士に向いてるって褒められてるのか? いやどうでもいいな。
それに戦い方とかビルドだけ見たらオレ暗殺者型何だけどね。
「どうも。んで敵の大多数が丁度今頃上、説明とかで稼いだ時間
を考えると大分建物の頂上に行ってるはずで、今が勝負時。
下にもまあ残ってるだろうけど、最後見た限り大分追手を放って
たからそんな多くないはず。残りは。
ので。ザコモンス蹴散らして、未知数だけど四獣とか言う大ボス
を叩く!」
「「「……」」」
「あ、別に倒す所までは考えなくていいよ。扉を閉めたのがアイ
ツだから倒せたらワンチャン扉が開いてくれるかもだけど、開か
なくても開くまでの時間を稼げるとは思う」
「時間を稼ぐ?ですが先程は……」
リストゥルンさんの疑問へ相棒が。
「自分が扉を解錠している間守ってもらえるなら、扉は自分が必
ず開ける」
「「「おおー……」」」
「よ!流石相棒! 正規非正規どっちでも解錠お任せあれ!」
啖呵を切り。ロリ様たちから声が漏れた。
「まあ神様系十八番のチート級だったら、もう全力死ぬ気でオオ
ザルぶっ倒すしか道は無いんだけどね」
「ルプス。自分たちを緊張させないじゃなかったのか?」
「いい塩梅のプレッシャーだから、今の」
「……ったく。楽しそうにしやがって、案外本当に楽勝だと思っ
てるのか?」
嬉しい相棒の茶々。
「んな訳あるか。いきなり超戦力っぽいボスだけ倒そうって言う
んだぞ? 激ムズに決まってるだろ」
「だけど楽しそうだ」
「それは……まあ。久しぶりにエリュシオンしてるって感じがす
るしな。こう言う冒険は醍醐味じゃん?」
「ふ。そりゃよかったな。序に言って置くとあの咆哮以降倉庫へ
アクセスできない。つまり補給が出来ない。
この場所は完全な戦闘フィールド、閉鎖型ダンジョンにでも成っ
たんだろう」
「マジか」
通常、アイテム倉庫ってのは拠点内なら何処からでもアクセスで
きる。ただしフィールドや一部では使用できず、そう言った場合
はアクセス権を持ったコンソールを探したりしないと行けない。
ま、今の此処はコンソール無いから完全に制限された場所って事
になっちゃうね。
「なら今の手持ちのアイテム尽きる前にどうにかするっきゃない
訳か」
「そう言う事だ」
「はぁー……キッツ。でもま、やるっきゃないよね。
って事で皆さん、絶望的だけど準備はオーケー?」
「ああ。何時でもだ、ルプス」
「勿論です!」
「うわ。やっぱわたしやなんですけど」
「ただ待つよりは」
オレ言葉に全員、全員例外なく無く良い返事をくれたね。うん。
「よーし。行くぞ!」
「「「おおー!」」」
「えーあー……」
「拒否権なし!」
「ぁぁあああああ!」
全員で、ロリ様は抱えっぱなので。全員扉から飛び出してはその
まま通路の、落下防止の柵を超えて一階へと飛び降りる。その空
中で脇に抱えたロリ神様に。
「ロリ様!」
「そうやって略さないの! ……っええいもう! た、確かこうで
いいのかしら!?」
ロリ神様は猫パンチな両手をモミモミ合わせる。ちょっとカワイ
イ動作。けどそれはスキル発動の為の省略行動。
するとロリ様が修得していた補助系スキル、落下衝撃緩和のバフ
がオレ達全員へ掛かった。高さ的に大丈夫だろうけど、極力被ダ
メは避けておきたいしね。
そうして全員そのまま地面へ降りては。
「!? お前ラ!」
「ゲ! 多少はと思ったらお前も残ってたのかよ!」
降り立った一階中央には、中ボスの魔猿と取り巻きが少数。
他のキャラが見えない辺り人払いしたのかな?
後、そしてやっぱり。
『メガミの』
当然あの白い毛のボス猿も居た。中ボスとボスを相手にするのは
厳しいか? だけどもう後には引けない。冒険も戦いもエリュシ
オンの醍醐味だしね!
「やるっきゃない!」
「ぁぁあああ。やっぱり不安なんだけどー!」
空色の青年達は一階広間にて。白きオオザル達と向かい合う──
─
最後までお読みいただきありがとうございます。この物語が少しでも楽しめる物であったのなら
幸いです。




