幕間 信用
───広く豪華と言える内装の室内。天幕の付いたベッドの置か
れたその部屋を。半目な空色の青年がブロンド女性に連れられ
部屋を去って行く。
「……本当によろしかったのですか?」
青年が去った扉を閉じ。振り向きざまに声を飛ばしたのはベス
トを羽織った凛々し気な女性。
「別に……。ぐす。良いんじゃない?……。んっ……。」
泣いているのか泣いていたのか。飛んだ言葉を受け取ったのはベ
ッドの上に座る幼い少女。だが幼い見た目にはそぐわない気品を
漂わせている。
涙を浮かべた姿が時に弱々しく、或いは少々見っともない様子で
あったとしても、だ。
「アレは何処のモノとも分かりません。異質なモノを此処に率
い入れて良いものか。私は疑問です。」
「んん。勇士な感じだし……。いいわよ……ぐす。」
未だ鼻を啜る幼女の姿に、ベストを羽織った女性は少しだけ眉を
潜める。
「ええ。ええ、ええ! 彼は間違いなく勇士で、その資質はとっ
ても十分なものでした!」
ニコニコ笑顔で言葉を発したのは、彼を見送り戻って来たブロン
ド女性。
「それとも……。ミランジェさんは私の目を疑ってますか?」
少し表情を曇らせるブロンド女性。彼女へ見えるよう、ベストを
羽織った女性が首を左右に一度小さく振り。
「いいえ。───とは言っても。此処でも目は役に立つのです
か?」
「立ちません。ですが勘は確かと言っています。」
「勘、ですか。乙女と言うのは目で選ぶのかと。」
「勘も大事ですよ? 目で言うなら───そっちはどうなんです?」
剣呑な雰囲気で見つめ合う二人の女性。辺りの空気がその重さを
徐々に増して行く。
「……二人共やめろ。」
「「!」」
重さを増した空気を一瞬で霧散させる程の威圧が放たれた。
そんなモノを放ったのはベッド上の幼女。威圧を収めずそのまま
彼女は。
「アレがどう言った存在か何てどうだって良い。利用出来る者は利
用すれば良い。わたしが動けず、乙女たちも思ったほど動けて無
いなら尚更ね。」
「! ……。」
言葉にブロンド女性が“ピクリ”と反応を示す。
幼女はその様子に僅かの興味も示さず。視線をベストを羽織る女
性へと写し。
「異分子を使うぐらいなら私達が~って。そんな口実でわたしか
ら“アレ”を引き出したいのでしょうけど。それは無理よ?」
「まさか。そんな事は考えてもいませんでした。」
「「……。」」
視線を真っ直ぐにとぶつけ合う幼女とベスト姿の女性。
「……ふふ。まあそう言う事にしてあげる。」
幼女が薄く冷ややかに笑い。場に放たれていた威圧が消え去る。
二人の女性から力が少し抜けては。
「アレは利用出来る。魂があって使えるモノなのだから、精々此
方で使い潰せば良いのよあんなの。貴方達もその考えで接しな
さい。」
「分かりました。」
「……分かりました。」
「ん。心許さず、気を許さず。都合の良いモノでね。」
幼女はそれだけ言うと。
「ボロ雑巾、いえそれ以下に使って使って使い潰してやるのよ。
その上で……。ふふふ。ふふふふ。」
何かを呟きながら幼女がベットの上、枕を持ち上げ。其処に居な
い誰かを投影しては。
奇妙な笑みを浮かべる───
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