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オレだけが此処にいる。  作者: MRS
第三章
39/65

第三十四話 予期せぬ戦闘

 ───二階へと辿り着いた空色の青年と仲間達。

 彼等は物陰にて何事かを密やかに話し合っていた。其処へ。

 突然として木製テーブルが投げ込まれる事態に。物陰としていた

 太い柱は飛んで来たテーブルの直撃を受け大破、その所為か辺り

 にはもうもうと土煙が立ち上りっている。




 これからの行動を決めている最中の事。不穏な事を言い出したボ

 ス猿の事が気になり物陰から様子を窺うと……。

 ボス猿は近くにあったテーブルを持ち上げ、此方に放り投げてき

 やがった!

 戦う以前で全滅の危機に遭遇したが、俺は一番に気が付いたお陰

 か何とか巻き込まれずに済んだ。

 他の仲間の安否を確かめたいがそんな暇もないので、煙の中脇に

 しがみつくロリ神様を引き剥がし、再び左手に装備しては立ち上

 がり。


「こうなったら仕様がねぇ! 俺が走るから後は各自の判断に任

 せる! って訳で生きてたらまた後で会おうぜ!」


 態々デカイ声で叫んでは土埃が切れる前に走り出る。

 他メンバーの安否を確認してる暇は無い。皆無事だろうと思って

 動くしか無い。だって俺は。


『あれだ! メガミをツカまえるんだ!』

『『『ウギー!』』』

「ですよねぇえええええええええ!」

「ぁぁああああああああああああ!」


 彼等の目的のモノ。ロリ神様を掴んでるの俺だしぃ!

 話した作戦ではロリ神様はリストゥルンさんに護衛させる筈で、

 ヘイト役は俺じゃなかった。なかったのだけど。


「なぁんで俺の方に飛んで来たんだよッ!」

「た、たまたまよ!」

「ウソ吐け! お前退避っつた瞬間此方飛んだだろ!」

「だって、だって急だったんだもん!」


 PTプレイに置いて、当初決めた役割が一つ変わっただけで流

 れに大きく響く事がある。臨機応変に、何て安くは言えな

 い。対応出来るのは既に決まった役割の、その上で何だか

 ら。

 しかも今さっき作った作戦で。成功するかも怪しい作戦。

 不安だ……。不安で仕方ない。あーちきしょう!

 だけどこうなったら俺が出来るだけ敵視を集めるしか無いよ

 なぁ!


「で、でも大丈夫でしょ? 逃げ回ってれば良いんでしょ?

 オマエ得意でしょ?」

「そうだな、それが出来れば───!」


 取り敢えずはと逃げ出した進路上。前方からは騒ぎを聞きつけ

 たらしき敵の姿を視認。


「まままま前前前!」

「うるせー分かってる!」


 二階は中央奥に大きな花見席の様な物があり、其処は四角く囲む

 ようにして小さな木の柵で区切られている。

 そんな場所に居たボスの取り巻き連中が背後から迫ってて、正面

 には別の場所に居たらしき敵の姿。このまま行くと連中に挟まれ

 て積みだ。

 いっそ壁に貼り付けられた様な個室へと続く扉を潜り逃げ込みた

 い所だけど、個室は勝手に入れない仕様。仮に入れても中は隣同

 士と繋がってないので袋小路だしね。

 何よりも今の俺は姿を大きく晒して逃げないと行けない訳、で

 しかも、お荷物(ロリっ子)を守らないと行けない……。辛いなぁ!

 心で叫びながら俺はショートソードを右手に呼び出し。


「なにしてんの!? アッチ、アッチに逃げれば良いじゃな

 い!」

「話しも聞いてねーのかよ! 作戦的にそれは無理なの!

 なのでー……」

「ウソ、ウソでしょウソでしょウソでしょー!」


 安全策を取るならもっと中央から離れ、柱や調度品何かで身を

 隠しながら逃げるのが賢い。だけどここは派手に行こう。

 前方。柱の物陰から姿を表した中猿は三匹。彼等は死角に居た

 俺達に完全にはまだ気が付いてない様子、だったので。


「どりゃっしゃぁ!」

『ウギ!?』

『『!』』


 手前に居た一匹を不意打ちで斬り飛ばし。


「ぁあ“アクセラレイション”!」

『!?』


 加速のスキルを使い隙きを殺し、続けざまに二匹目を蹴り飛ば

 す。良い感じに二匹はぶっ飛び。立ち上がって来るまで少し掛

 かりそうだ。

 とは言え今の俺じゃ流石に三匹目はどうにも出来ず。


『ウギー!』


 彼等、目的だけは予め共有されていたらしく。中猿は俺が掴むロ

 リ神様。つまりその左手を狙い毛深い腕を伸ばして来やがった。


「ぬおぉ!」

「あわあわわわわわわわわわ!」


 俺は少し身を引きながら左手を巻くように寄せ、ロリ神様を抱く

 ようにして守る。引き裂かれるのを間一髪で阻止したロリ神様

 が、俺の顔の隣で喚き散らし集中を削ぐ中。

 攻撃をスカされた軽装の中猿が直様棍棒を取り出し、振り上げて

 は此方に振り下ろす。

 ロリっ子庇った関係でもう躱す為の余裕が無い。

 仕方無しに俺は棍棒の一撃を剣で受けて止めてみる、が。流石は

 獣人タイプのモンスターだ、力が強いのなんのおおおおおおおお

 おお!


「ぐッひ!」


 圧倒的なSTRから押し負け。体がスライド移動しては背を壁にぶ

 ち当てる。痛みは無いけど、こう言う時に声や痛い様子を取って

 しまうのはもう癖だ。VRゲー以外でも被弾すると叫ぶしね、俺!


「ちぃー近い近い近い! かかか顔と剣、けけ剣と顔が二重の意

 味で近いってば! ほ、頬が触れ、触れれ触れちゃうってば!」


 抱くように抱えたロリ神様。その直ぐ側には棍棒を受け止める

 両刃剣と俺の顔。その間で騒がれるのは比重に鬱陶しい!


「うるせぇ今そんな事気にしてる場合か!」

「刃物に頬が触れるのも、オマエに肌を許すのもイヤー!」

「ああああああああああうるせえええええええええええ!」


 剣と俺の顔に挟まれパニクるロリ神様。


「俺だってパニックだっつーのっ!」


 片手を割いているから、このままだと完全に押し切られる。

 自分の剣で二人仲良く斬られる未来が幻視されちゃう中。


「腹ががら空き何だよ!」

『ウギギ!?』


 空いた腹へ蹴りを一発。このままトドメ、と行きたい所だけど。


「よっしゃあ! ほら、今が好機!トドメトドメ!」

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。か、体が重いっ!」

「はあ!? オマエはこんな時に何言ってるのかしら!

 今こそ好機、獲物にトドメを刺すべきでしょう! それでも乙女

 に見初められた勇士なの!?」


 蹴り飛ばしたは良いけど直ぐに動けない。そんな俺にロリ神様が

 叫ぶ。俺はロリ神様を無言で顔の中央に持って来ては。


「お前に殺されかけたから体が重いんだよッ!」

「はひっ!!?」


 チートにも近いロリボス戦を奇跡的なプレイングで乗り越えたば

 っかりの俺。自然回復があっても、勿論ライフが全快してる何て

 事は無い。精神的スタミナの疲れはドーパミンのお陰で今は感じ

 無いのだけど、このゲーム。体力(ライフポイント)低下のデメリットがあり、

 それが今もの凄く俺の(キャラ)に響いている!

 お世辞にも防御も体力も高いとは言えない俺のステでは、折角自

 然回復したライフも受け値の低い剣で防御してしまった所為で、

 デメリット発動ラインまで下がっている。

 今はデメリットもまだ軽い方だけど、時間経過でもっと重くなる

 ぞこれはよお! 戦闘判定中は自然回復も遅くなるし!


『……ッ。ウギ!』

「ッチ!」


 思ったほど強く蹴れてはいなかった様子で、中猿は体勢を直ぐに

 立て直し此方へ再びの攻撃を試みてくる。

 さっきと違い距離がある分回避し易い。棍棒での攻撃を身を屈め

 る様にして回避しては、俺はボス猿らしきによく見えるよう。

 中央から正面に見える開けた場所へと逃げ込む。

 しかし。追われる獲物が開けた場所に逃げ込んだのなら。


『『『……。』』』

「前も後ろも。」

『『『……。』』』


 こうなるだろうなぁ。ちきしょう予定と全然違う! もう囲まれ

 ちまった!

 あー今の戦闘を避けるべきだったんだけどなぁ。周りを囲まれ、

 睨み合いの牽制が始まる中。


「あわわわ……。どど、どどっど。どどどどど。」

「どど、どど煩いぞ。」

「だだだだ、だだってだててて。」

「んふっ。ちょ、こんな状況で笑わせないで、マジで。」

「笑える所無かったでしょ!?」

「いやマジで頼む。」

「~~~! ああそうだ! あの、剣で炎をブワッてヤツ!

 あれ使いなさい! そうよ、オマエにはあの力があるじゃな

 い!」

「無理。さっき使っちゃったから使えないし、俺の連発出来る

 構成じゃないんで。」

「使えなッ! コレだから常人は!」

「チートでイキるお前に言われたかねぇなあ!」

「チートじゃない! わたし自身の此処での力よ!」

「自室限定のなッ!」


 俺達がそうして互いを罵り合っていると。


『メガミをツカまえろ!』

『『『!』』』

「「!」」


 二階中央の開放席に陣取るボス猿が叫び。周りを取り囲む中猿達

 の中から、三匹が一斉に襲い掛かって来る。一斉にじゃない分ま

 だ勝機がありそうだぞ、これ!

 中猿のそれぞれが棍棒を手に、此方へ“ウッキー”な形相で襲い

 来る様は結構なスペクタクル映像。それを見つつ俺は。


「“アジリティアップ!”」


 自身へ敏捷アップのバフを掛ける。これで体力低下に依る動きの

 デメリットは緩和されるはず。ああでも、こんな直ぐに使うなら

 さっき使っときゃ良かったぜ。プレイングミスだったな。

 俺はAP温存を優先して、先程咄嗟に攻撃を剣で受けてしまった事

 を悔やみつつ。他より半歩早い一匹へ一気に距離を詰め。


「おらぁ!」

『ウギギ!?』


 剣を持つ手で殴り付けた。右から抉るように殴り着けた拳、その

 反動で中猿は体勢を崩し側に居たもう一匹の進路へと、蹌踉めき

 出ては。


『『!』』

『!?』


 二匹がぶち当たる事に。へへ、上手く行ったな。

 あっと言う間に仲間を二人が戦線を離脱した事に残された一匹が

 戸惑っている。


「オマエやるじゃない! わたしと戦っていた時ぐらいの動きに戻

 ってるわ! 一体どんな魔法を使ったのかしら?」


 拳を振り抜いた状態の俺へ、ロリ神様が賛否らしきを口にして居

 た。生憎今の俺が同時に対処出来る限界数はニ。つまりもう一匹

 は片手が塞がってるから無理。そして。


『!』


 直ぐに立ち直った様子の中猿が此方へ向かってくる。なので。


「そんなんはどうでもいい。今はキックだロリ神様!」

「は? えちょなにおおおおおお───!!?」


 叫んだ俺は振り抜いた状態から更に回転を加え。

 左手に掴んでいたロリ神様を勢いよく振り抜くが如く。中猿の前

 へと振り出す。その勢いは強く、突然の出来事でキックは出来な

 い様子だった、のだが。


「あああああああああああああああ!」

『ウギー!?』


 咄嗟にキックの体勢は無理でも、しかしロリ神様は律儀にもキッ

 クをしようとしたらしく。中途半端に膝を立てた状態。その膝が

 見事に鋭い勢いと共に中猿の頬を刳り。


『ウギギー! ……───』


 回転しながら中猿が大きくぶっ飛ぶ。

 俺はそのまま一回転しては正面で停止。剣を構え次に備え注意

 を払う中。


「ナイスロリ神様!」

「……ぃ。」

「はい?」


 声が小さくて聞こえない。俺は剣の切っ先を周りのモンスター

 達に向けつつ、ロリ神様の声が聞こえるよう顔を向けず耳を近

 付ける。すると。


「ッナイスじゃないわよバカ!」

「ふべ!?」


 頬をロリ神様にパンチされ体力が少し減る。


「ばばばバカヤロウ! 今体力がどれだけ貴重か分かってんの

 か!?」

「おまえこそわたしの事分かってるの!? 神、神なのよわたし

 は!」

「あの部屋出たら肩書だけのなぁ!」

「ななななななんてこというのよぉー! あぁあああああ!」

「うっわコイツ泣いた、泣きましたよ! あ、泣きながら腕を振

 り回すんじゃねえ! 当たったらどうすんだ! ライフが大事

 なの!」

「わああああああ! わ? わあああああああああああああ!」

「何で一回疑問気に? あーもうわーったわーったよ!

 ……膝蹴りで中猿を仕留めたお前───」

「?」

「───最高に綺麗だったぜ。」


 超適当な冗談。こんな時に? 何て誰かは思うかも知れないけ

 ど、こう言う自体こそ。緊張が張り詰めると少し巫山戯たく成っ

 てしまうものだ。じゃないとマジで死ぬって事で頭が埋め尽くさ

 れて、おかしく成っちまう。だから結構メンタルケア的な意味で

 このやり取りをしていた、のだけど。


「えへ、そ。そーう? まあ、何をしても美しくなってしまう

 モノだからね、わたし。全然、全然嬉しい事でも珍しい事でも無

 いから。だからもっと褒めてみて?」

「すごーい。(うーわッ。今ので喜ぶの? コイツ頭大丈夫なの

 か?)」


 何て。やり取りをしつつも動きそうな中猿を見ては剣を差し向け

 牽制して居ると。


『ルッルッル! イセイがイイな!』

「「!」」


 牽制で時間稼ぎしている俺たちの所へ、中央違法ゲート前に座し

 て居たボス猿が叫び。瞬間、大きく飛び上がっては此方の近くへ

 飛翔し───見事な着地。


『フガイないぞ!』

『『『ウギギー……。』』』

『ッチ。もうイイ! ここからはオレさまが出る! オマエたちは

 下がってろ。』

『『『ウギー!』』』


 周りを中猿取り囲まれる事に変化は無いが、中猿達は俺とボス猿

 から大きく距離を取って行く。周りの中猿達が十分に離れると、

 ボス猿が中猿達を一瞥した後。


『ふん。ナンてフガイないケンゾクタチだ。イレモノのセイ

 か?』

「(イレモノ?)」


 何て呟き。


『それとも、サスガはメガミを守るケンゾクだ。と言うべきか

 な?』


 デカイ図体で此方を見下ろす様に視線を送るボス猿。うーんマジ

 でイベント戦っぽい。


「あ、本当の意味でもイベント戦か。てかボス釣っちゃったんだ。

 何これ絶望的でウケル。」

「アホ! そんな事言ってる場合じゃない! アレらは魂の入った

 モノだ。」

「あーやっぱし? せめて来たのが敵対関係のヤツなら、周りの

 もそう何だろうとは思ってた。」

「気付いていたか。ならオマエが潰されれば死に、巻き添えでわ

 たしも死ぬかも知れない。それを忘れるなよ!」

「マジか~つれー。」

「ならもっと辛そうにしろ! 何なのだオマエは!」


 そうして俺がロリ神様と“わっちゃり”していると。


『ルッルル! ルーッルッルッル!』

「「?」」

『あの、あの弱きメガミのケンゾクが! 強いワケが無いか!』

「んなッ!!?」


 変な笑い声? を上げたボス猿が同じく見下ろしたまま、いや

 見下(みくだ)した様子でニヤつきながら。


『戦えぬメガミ、来たモノのナカでもっとも弱いメガミ。

 流れるウワサのトオリ、オマエのケンゾクはミ弱カッタ。』

「ふざけるな! 何時も追い払われるはオマエ達の方だったろ

 う!」

『ルーッルッルッル! 浅い、浅いなメガミ!

 ワレらはボスのメイレイでオマエの、オマエタチのチカラを測っ

 ていたのだ。このマエの一度をノゾキ、シトめられたモノが

 居たか? しっかりとタオせたモノが居たか!』

「そ、それは……。」

『ふん! ボスが弱ければ群れ全体が弱くなる! だからこんなに

 もタヤスク群れを、巣をオソわれるのだ!』

「!!! ………。」


 お。ロリ神様が言い返せずちょっと泣きそうなお顔ですよ。

 ふーん。二人の話から察すると、だ。やっぱリストゥルンさんが

 特別弱い訳じゃ無かったのか? つか、舐められちゃう程度の戦

 力って、抑止足りえているのか疑問じゃね? 大丈夫かよこのロ

 リっ子陣営。


『ルッルッル。さあココでオマエを捕まえて、ボスにトドけてやる

 ぞ!』


 宣言するとボス猿らしきは背負っていた棍棒二本、骨っぽいのと

 石材を粗砕きしたっぽいの両手に構えて見せ。


『ルッルルゥー!』


 両手を大きく振りかぶりながら跳躍。見上げるそれは綺麗に俺達

 の方へと───


「見てる場合じゃないでしょ!?」

「おっとそうでした!」


 ロリ神様に言われ“ハッ”とした俺は、此方に飛んでくるボス猿

 の落下地点から逃げる事に。

 ボスを釣ってしまったのは予定外、そしてこの戦闘も予想外の物

 だ。

 だけどまあ。あんな見え見えの攻撃をする程度の相手なら、もし

 かしたら大丈夫かも?

 そんな事を考えながら退避していると。


『“ラッカサン!”』


 ボス猿は俺が退避した場所へ素直に落下したかと思えば、落下地

 点へ二本の棍棒を叩き付け。床を大きく凹ませ衝撃波と風塵を舞

 い上がらせる。舞い上がった塵に姿を隠したかと思えば。


『ルー!』


 中から勢いよく棍棒を前に突き出し飛翔。瞬間加速のスキルでも

 避けきれない直撃コースだ!


「ッ!? “アブソート・アヴォイ!”」


 スキル発動と同時にキャラ()が霞む様に揺れ、突っ込んでくるボス

 猿が素通りして行く。


『!』

「ひゃー!?」


 何とか完全回避のスキルを使いギリッギリのタイミングで躱す。

 あっぶな!


「早ぇ! しかも動きが超手慣れてるんだけど!」

「ええええ? 何今の、何今の! どうやって避けたの!?」


 ボス猿と俺の顔へ首を忙しく振りバグるロリ神様。

 コレを片手に掴みながらの回避は辛い! しかも思わず完全回避

 のスキルを切っちまったぞ! CT(クール・タイム)が長えってのによお!

 あのモンスター自体は見た事も、戦うのも初めてじゃ無いタイ

 プ。だけど他の同種モンスターとは動きが段違いだ。

 コンボをあんなに使い熟してるヤツ(個体)は居ない、これが魂

 の入ったモンスターで、魔物かよ! 世に言われた特殊個体の正

 体。改めてそれを認識して戦うってのは……偉い事だよなあ!


『ルーッルッルッル。よく今のを避けたなぁ。それならこれは

 どうだ!』


 言いながらボス猿が此方に振り返り急接近。二本の棍棒での乱

 打を繰り出す。


「おわ、ぬぬおッ!」

『ルー! ルールールー!!』


 ボス猿は間隔の短い乱打を此方に繰り出し続け、正直避けるの

 がキツくなって来たんですけど!

 逃げれれば良いんだけど敏捷の落ちた今の状態で、包囲を抜け

 る自身が無い。クッソ、ワンミスで死ぬこの状況は長引けば間

 違いなく俺が死ぬ!

 今は何とかバフでデメリットを相殺してるけどから持ってるけ

 ど、デメリットがバフを越えたら避けれる攻撃じゃねえ。


『ルールールー!』

「あ、当たっちゃう! ヒョワー!」


 兎に角一度攻撃をやめさせねーと!

 俺は乱打の僅かな隙きにショートソードを地面に投げ刺し。空

 いた右手にラストの煙幕発生アイテムを取り出しては。


「そら!」

『ッル!?』


 地面へと勢いよく叩き付ける。すると地面に当たった缶は弾け、

 其処から勢いよく白い煙が辺りへ吹き出す。

 ボス猿は煙幕に巻かれるの嫌ったのか。アイテムを地面に投げる

 直前には、既にその場から大きく距離を取り煙幕の範囲外へ。

 真っ白な視界の中で先程投げた剣の位置へ移動し、剣を装備し直

 してはその場で屈み込み。


「ふぅ。隙きを作るのもこれが限界か。あぶねー……。」

「おおおおおお前、さっきよりも動き悪くなってないか!?」


 バグるロリ神様が鋭い事を言う。俺は顔も見えないロリ神様へ。


「ライフも減って、オマケに片手塞がってる状況でよくやってる

 とは思えないのかよ?」

「……それは確かに! 体が揺らめくアレ凄かった物ね!

 何だ、お前スゴイじゃないか! もしかしてこのままボス猿倒す

 のも余裕だったりするんじゃないか? ん?」

「それは多分ムリ。自己バフで何とか動けてるけど、どうも体力

 低下のデメリットが徐々に押してきてるみた何だよぁ。後、実は

 カスッただけでもう俺動けなくなるんだよね。多分。」

「!!? やっぱ使えない奴だなオマエ! あああー! こんな所

 でわたしは死ぬべきじゃないのにー! まだまだ楽しい事いっぱ

 いしたいのにー! うわああああああ!」


 再びバグり喚くロリ神様。

 今は使えないコレよりも、この先を考えないと。

 何とか時間を稼いだ、稼いだだろうけど未だに他から何のアクシ

 ョンも無いって事は……。まだ時間がいるって事なんだろうね。

 とは言ってもあの乱打を避ける続けるのは難しい。こうして小休

 憩が挟めるなら別だけど、煙幕アイテムこれがラスト。つまり次

 は永遠とあの乱打を避け続けないと行けない訳だ。

 速さはついて行けてるので出来ない事も無いだろうけど、出来る

 出来ないではなく、しては行けないプレイだ。ヒューマンエラー

 はどうやっても起きるからね。あー時間が無い……?


「(そう言えば。ボス猿、今は特に追撃とかアクションを起こし

 て来ないな?)」


 小休止のお陰でロリ神様の雑音すらも流せるほどには、冷静にな

 った頭で直前の映像がフラッシュバック。

 煙幕アイテムを取り出した瞬間。ボス猿はそれに気が付いた様子

 を見せ、投げる前にはもう回避行動にまで出ていた。

 モンスターの多くは此方が補助アイテムを取り出しても、警戒こ

 そすれそれが明確に何か分かって反応を示すには、少しラグがあ

 る。だけどさっきのボス猿は警戒から回避までが早かった。

 それがAIとは違って考える頭からの行動なのだとしたら、ゲー

 ム仕様を越えた中身のある行動だ。って考えるなら、独自の自由

 意思、経験思考を頼ってるなら……出来る、かも? いやそんな

 単純か? それにどう流れを持って行けば良い? 流石にいきなり

 じゃ余りにも不自───


「聞いてるの!? もう絶体絶命なの、せめてこの美しい神だけ

 でも助けな───」


 耳に響くロリ神様の喚き。これだ、これだけになら使えるんじゃ

 ねーか? 一人じゃなくて二人で乗せるならッ。


「ロリ、いや女神様!」

「うぇ? な、なに。あ、お、起こっ、ちゃった? ごご、ご

 め───」

「そんなんで怒らんから謝らんで良い。そうじゃなくて、ちょっ

 とお耳を貸してくれ。」

「???」

「良いか。煙幕が晴れ───」

「えふふッ。」

「……。」

「あ、ご、ごめんなさい。息が耳にね。」

「……んん。まずだな───」


 急にビビり出したり、耳に掛かる声に変な声を漏らすロリっ子。

 俺はこれからの流れと狙いを話す事に───


 ───煙幕。此処のは現実の物と違い一定範囲にとどまり煙の

 幕を形成し、効果終了時間になると晴れる。と言う仕様のアイ

 テムだ。

 その長くない効果時間で目一杯作戦を話す俺の下へ。


『煙にカクれてなにがデキル? 出て来たがサイゴだぞ!

 ルーッルッルッル!』


 ボス猿のボスっぽいセリフ、いや三下かな? そんな声が響

 き、序に煙幕の効果が切れ始めたらしく。俺達の側から煙が

 その濃さを失って行く。

 途端、俺は急いで片膝を付いては剣を杖の様にし。ロリっ子

 が『んん。あ、あ、あー……。』等と小声で喉の調整。

 そして煙幕が遂に晴れ。


「っくう! 強い、強すぎる! 何て強いんだぁ!」

「諦めないで! あの攻撃さえ来なければ、貴方はまだ戦える

 の、きっときっと戦えるはずよ!」

「ああ、ああそうだな!」

「ええそうよ!」


 “立つのもやっとだよー。”とまざまざと見せつつ。


「くぉ来い! 俺が、俺がお前を絶対に倒す!」

「貴方なら倒せるわ! でもアノ、アノ攻撃“だけ”には気をつ

 けて!」

「ああ分かってる! アノ飛んでくる攻撃だな!」

「そうよ、飛んでくる攻撃だけは絶対にさせないで!」


 ちょっと(くど)かったかな? 言葉自体はアレだったけど、話し方や

 振る舞いは驚くほど自然なロリ神様。これならと思いボス猿の

 様子をチラリと窺う。


『……オレサマがそんなマヌけに見えるか?』

「(うん。作戦失敗! さー次はどうしようかなー!)」

『オマエたちにジヒを与える訳ないだろう! ルッルッ

 ル!』


 言いながらボス猿が跳躍の構えを見せ。


『これだ、これが怖いのだろう?』

「あ、ああそんなー!(わー作戦成功だー!)」

「キャー来たわよ来たわよ! わたし騙すの上手じゃない?」

「ば、喜ぶ成ってッ! いやでも違和感の無い演技だったよ。

 へへ。」


 あやべ。俺もつい笑っちった。だけどボス猿にはそれがどう

 やら。


『笑うほど怖いか! 行くぞ、そら行くぞ!』


 嬉しい勘違いに繋がってくれたらしい。

 上機嫌なボス猿は構えをのまま揺れて此方を煽り、此方がそ

 の度に『ひぃ。』とか『あわわ。』とか応えていると。


『ルッル。ルッルー!』


 変な笑いと共に跳躍。俺達二人は作戦成功に喜びながら、落下地

 点から退避。


『オマエタチが恐れるワザを受けろ! ルッルッル。』

「(“アクセラ・モメント!”)」


 ボス猿が落下攻撃を繰り出す。

 着地地点で衝撃波と風塵を巻き起こしては、そこからの追撃が繰

 り出され。俺は慌てて見せながらも瞬間加速のスキルをコッソリ

 発動。初見でもない追撃を大きくジャンプしては、派手に転がっ

 て回避して見せ。


「くぅ! 恐ろしい、何て恐ろしい攻撃なんだ!」

「ね!本当にね! 恐ろしいわよね!」


 ビビってるはずなのに喜び混じった様子のロリ神様。話し方とか

 は完璧なんだけどなぁ。雰囲気だけと言うか何と言うかだな。


『そんなに恐ろしいか? ルッルッル。ルッルッル。ならもう一

 回だ!』


 気を良くしたらしいボス猿が再びの跳躍。

 ボス猿は跳躍、落下攻撃と衝撃波。そして風塵での姿隠しから突

 撃と言うコンボ攻撃を何度も何度も繰り出す。

 練度の高さに初見では驚いたけど、二回目以降なら難しくない。

 落下攻撃自体は移動で避けれる物だし、衝撃波の範囲も狭い。風

 塵からの追撃も必ず自分に飛んで来ると分かっているのだから、

 距離を稼いで置けば何のその。ボス猿のヤツ偏差とかして来ない

 しね。繰り返される攻撃。ワンパターンな攻撃ほど避け易いモノ

 は無いよな。

 乱打は不規則なリズムの応酬なので肝が冷えるけど、此方は完全

 に読める行動。

 普通のモンスターならPCにこんなにワンパターンな行動は繰り返

 さない。こうしてパターンに嵌められて仕舞うからだ。

 中身があると考えれば、こうした誘いも出来るのか。普通のモン

 スターとは違う、ゲーム仕様以外で行動を操り時間を稼ぐ俺は。

 ボス猿の追撃を再び避けては。


「危なかった! 一瞬でも遅れてたらやれてたぞ! くそう!何

 か手はないのか! このままじゃ不味い!」

「……アンタって結構演技派ね。個人演劇とか興味ない?」

「え、演劇? いや違う、急に素に戻るなよ!」

「あ、うん。危なかったわー!」


 興味があると言ったらなんだったのだろう? ああでも今はそ

 んな事どうでも良い事。俺はまだかまだかとずっと待って居

 るんだ。

 この戦いを終わらせる事の出来る、合図を。


『ルッルッル。メガミを、サルモドキを恐怖にオトスのは愉

 しいな!』

「(猿モドキってなん───!!)」


 意気がるボス猿の向こう。中央の開放席に建てられた違法ゲー

 ト近くで、槍を片手で振るブロンド女性の姿を。俺は確かに確

 認した。側にはダンディなアイツの姿も。

 槍が振られるの見た俺は彼方へ頷きを返し、その場で急に膝を

 付き項垂れ。


「っく。もう限界だ。これ以上動けない!」

「またそれ? もう少しひねり入れない? 」

「すまない。もう本当に動けないんだ。」

「え?え?え? ちょちょっと待って。どっち、ねえそれどっ

 ち!?」


 急に取り乱すロリ神様にも構わず。がっくりと項垂れて見せ

 続けると。


『ルッルッル。ではトドメをさしてやろう!』

「あ、あ、あ───。」


 ボス猿が跳躍し。


『クらええええええええええええ!』

「あああああああああああああああ!?」


 ロリ神様が絶叫。

 目標物が飛んだのを確認した俺は直様立ち上がり、落下地点から

 駆け出す。


『! まだ逃げれるタイリョクがあったか!』

「ああああ騙したああああああああああうわあああああ!」


 嬉しそうな顔に涙を浮かべるロリ神様と一緒に、落下攻撃を避け

 ては。ボス猿が風塵に紛れ。


『だがこれはどうだああ!』


 中から勢いよく追撃が飛んでくる。

 文字通りボス猿が飛び込んで来る訳だけど、背後から迫るそれを

 回転する様に躱しては───剣を逆手に持ち替え。


「うらぁ!」

『ルッ!?』

「ひッ!」


 通り過ぎるボス猿の横顔を殴り込む。折角の自然回復で稼いだラ

 イフも連続回避で体を酷使した所為で微妙に減少し続け、とうと

 う火事場ラインへ。なので殴ったのが、目的は其処じゃない。


『ルルル!?』


 空中で攻撃を加えられ、ボス猿は受け身が取れずに床を転がって

 行き。最終的にはベンチに頭から突っ込んでは風塵を巻き上げる

 事に。

 その様子を見たロリ神様が腹を押さえながら。


「は、はは! どうよー! お前の攻撃なんてねえ、読み切ってた

 のよ! 今までわざとビビったフリをしてたの! バーカバーカ

 バーーーーカ!」


 力の限りに煽って煽る。


「嘘吐け、最後マジでビビってた癖に。」

「あれも演技!」

「ホント、凄い自信だな。」


 笑ってない目で言うロリ神様。と言うか何で腹押さえてるんだ?


『ル。ルゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!』

「「!」」


 ロリ神様と話している最中。巻き上がる風塵の中から何かが激し

 く、デタラメに叩き付けられる騒音と声が響き渡る。

 やがて、追加で巻き上がった風塵が晴れると其処には、ボロボロ

 になったベンチと床板。そして。


『ナーーーーめたマネをしやがってぇ! ゼッーーーーーータイ

 にユルさねえ! こここ、ここここここっっここのサルモドキが

 ぁあああああアアアアアアアアアア!』


 血走った目に血管の浮き上がらせ、犬歯を剥き出しに猿顔でブチ

 切れ此方を鋭く睨み付けてくる。その眼差しには本当の怒りが籠

 められてるっぽくて。ちょっと、いやかなりビビる迫力だ。正直

 漏れそう。もうリアルの体があったら間違いなく漏らしてる。


「はん。ボスが弱いと~……何だったかしら?」

『!!!!?』

「(おおマジかよ!)」


 ああ言うのにこそビビるのでは? と思っているとロリ神様が言わ

 れた言葉を皮肉としてボス猿に言い返した。スゲー。


『ルルルルルルゥゥウゥウウウウ!』

「ふん。獣は煩いわね。……それで? こっから反撃なのよね?

 戦ってあの生意気な獣を降して。その皮を剥いでわたしに毛皮を

 作ってくれるんでしょう?」


 ボス猿が棍棒で床を叩き割って見せ。それにビビリもしないロリ

 神様が品の極まった笑顔で俺に聞く。


「怖いわ! なんちゅう発想すんだよ! そんな事出来るゲームな

 ら俺はずっと前にやめてるよ!」

「? それ位はして当然じゃない?」

「当然な訳あるか! 後、実はこっから先は俺らに出来る事は無

 いのよね。」

「はあ?」

「もうね。動くのも難しいです。ライフ低い状態で殴ったから、

 微反動でライフがまた少し減っちゃったし。」

「まーたウソでしょ?」

「んーん。今回はマジでガチ。」

「……え。えええええええええええええええええ!?」


 驚き慌てるロリ神様。それから視線をボス猿へ向けると。


『ッルウウウウウウウウウウウウウウウウ!』

「あぁー! 終わりが此方に来るぅー!」


 マジな話し。バフが切れてるのか、それともデメリットが最大値

 に達したのか。もう動くのも辛い、マジで辛い。

 立っては居られるけど、直ぐに動くのは厳しい。そんな俺の下へ

 棍棒を両手で振り上げ此方に迫るボス猿。

 怒り狂い迫るボス猿、それが───


『ッ!!』


 遠く。遠くから放たれた一発の銃弾に襲われ。防御として咄嗟

 に構えた二つの棍棒が届いた衝撃に負け、弾けては床に転がり

 滑る。

 猿みたいな身のこなしで俺達から一気に距離を取ったボス猿は、

 直ぐに棍棒を取りに動こうとして。


『ル! ……。』

「え、え、え。」


 足元を銃撃される。ボス猿とロリ神様が同時に驚く中。

 はぁー……。俺は心の中で深い、ふか~い溜息を一度だけ吐き。


「勝負はついたな。」

『なに?』

「もうお前らは好き勝手出来ないって事だよ。」

『ハッタリだ!』


 俺は一度首をゆっくり左右に振り。


「いーんっや。あっちを見ろよ。」

『? ……なッ!?』


 顔だけで示したのは違法ゲートの方。其処では捕虜だった人達が

 リストゥルンさんの手により開放され、皆その手に武器を構えて

 居る。


「な? それとさっきの銃撃。アレは俺の相棒が最高のスナイプ

 ポジションに付いたって事で。合図一つでお前ら全員撃ち抜かれ

 ちゃうぞ。」

『ぐ、ぐぎぎぐ! それぐらいで───』

「しかもお前らの違法ゲートまで押さえちゃいました。」

『バカナ!?』

「まさかって思うでしょ? でもゲート近くに……ほら。ちっさ

 いのが居るだろ? あ、手を振ってるアレねアレ。」

『!』

「アイツがゲートに爆発物を仕掛けてるんだよねーこれが。

 退路と援軍を絶たれたお前らはもうお前達は詰みだよ。下の連中

 だってそろそろ子猿を倒しきってる筈だし……。どうする?」

『お、おのれおれのおのれぇええええサルモドキがぁあああ!』


 激しく憤慨するボス猿は、それでも一歩と動かない。


「やった。やったやったやった! ならこのままこの不敬な獣共を

 一掃───」


 ロリ神様が調子に乗り出した所で。


「って訳何で。詰んだ今回は見逃すんで、皆さんゲートから帰っ

 てくれませんかね?」

「はぁ!?」

『ナンダト!?』


 二人が驚く。煩いロリ神様は置いといてだ。


「あんた、捕虜を丁重に扱ってたし。それに今の戦いだってずっ

 と部下に手出しさせなかっただろ? アンタは見た目と違って義理

 堅くて良いヤツ、気高いって言うのかな?

 だからそれに報いて今回は見逃すよって話しさ。」

「バッッッ!!!! バカバカバカ! こんな、こんな許されざる

 不敬を働いた獣を───んぐ!!?」


 ロリ神様の口を手で塞ぎ。


「おら。残りの仲間連れて、ゲートから帰れって。」

『……。』


 ボス猿は何も言わず。緊張の時間が流れる。だけど。


『………!』

『『『!』』』


 少しの沈黙の後、遂にボス猿は周りへ合図を送った。

 すると合図を受けた中猿達が一斉に違法ゲートを目指し走り出

 す。

 ボス猿は警戒しつつゆっくりとした動きで武器を拾い、それを

 背に仕舞っては同じくゲートへと向かい出した。

 俺はその後ろを距離を開けながら付いて歩き。ゲート前へ。

 其処でボス猿が此方へ振り向いては。


『……お前は、お前はナニモノなんだ? オトメじゃ無いんだ

 ろ?』

「俺? 俺はたまたま此処に居合わせただけの。酷く不運な─

 ──」


 瞬間。尋常じゃない力で俺の片手が引き剥がされ。


「ぶっは! そう!この男こそが私達の勇士! 名はルプス!

 創生の光を体現したに均しい女神、ニルスの一番一番一番の

 ッ眷属だ! その事しっかりと憶えて帰れ!」

「───は?」

「絶対、絶対忘れるな! あ、後早く!早く帰れって!」

「おおおおま───」


 ロリ神様がクソみたいな事言って。


『ルプス。メガミのケンゾク。オボえた。』

「いやちょ! 違う違うから───」


 ボス猿が呟き。その姿はゲートの向こうへと消え去ってし

 まう。

 後に残るは静寂と、ニタニタと笑うロリ神様。


「てめぇやりやがったなぁッ!」

「言っちゃった言っちゃた言っちゃったもーん。」

「もーん。じゃねえ!クソがぁ!」

「あ、ああ、あああああああああああ!」


 ロリ神様を砲丸投げよろしくの体勢を取る、が。

 今、今直ぐにでもこのロリをどうにかしたい所なのだけど。


「っち。忌々しい事に今それどころじゃない! リストゥル

 ンさん! 一階への階段に皆を誘導してください!」

「お任せを。皆さん此方に!」

「……ホッ。」


 予めリストゥルンさんが彼等にイベントだと説明してくれたお

 陰で、彼等は素直に武器を手にリストゥルンさんに従い動いて

 くれた。リュゼも面白がって着いて行く姿がチラリ。


「あれ? あのゲート爆破しないの?」

「此処は屋内……。まいいや。

 んなもんある訳無いだろ。あったらボス猿に使ってるよ。」

「は、え!?」

「倉庫にアクセス出来ないのに持ってる訳無いだろ。都合よく

 も常備しててくれたら良かったんだけどねぇ。

 リュゼってば行く場所が決まるまで、手持ちを常に空にしとく

 タイプ何だよなぁー……。」


 バフも完全に切れ、二重の意味で体力が限界の中。俺はロリ神

 様に説明しつつ、広間の長椅子を目指し歩く。


「良いか? そもそも物資がほとんど無いって話しだったろ?

 だから相棒のライフルもぶっちゃけ残弾はあの二発だけ。

 そもそも俺がボスに襲われたからやむなしで撃っただけだか

 らね。」

「じゃ、じゃあもう一回襲われてたら……。

 なにそれ、最後はあの獣の義理堅さが全てだった、て事?」

「あれなー。俺があのボス猿に言ったのも全部ウソだから。

 彼奴乗せられ易い性格みたいだったから、乗せたの。猿もおだ

 てりゃって知らねー? 知らねーか。」

「………。」


 お口あんぐりのロリ神様。


「彼奴が義理堅いぃ? な訳あるか! 意気がってタイマンし

 て来たヤツだぞ? 自分が劣勢になったら絶対部下を使ってた

 ね。捕虜も保険で確保してた感じだし。」

「な、な、な……。それでは、それではおだてて自ら退場す

 る様仕向けたって事なの?」

「そーだよ。当初の作戦は注意逸してゲート奪取からの交渉

 って流れだったんだけどね。いやほんと、上手く言って良

 かったよ。相棒もリュゼも、リストゥルンさんもナイスアド

 リブだったしで……。

 あ、それとな。後ロリ神様には、ゲー……トを頼むは。」


 眠い。いや眠気とは違う、ビックリするほど気怠いんだ。


「え、ちょっと大丈夫?」

「んーん。もうだめ。俺の意識が無くなる前に、ゲート、ゲ

 ートをどうにかしてくれ。アレは此処に残してたらダメな

 ヤツだから。たぶん、どうにか、出来るのロリ神、だけ…

 …。」

「わ、わかったから。その、そんな辛そうにしないでよ。」

「……。」

「ちょっと、ねえ?」

「いや良いから行けよ。早くしないと騒がしくなるぞ。」

「?」

「言ったろ? 全部ハッタリだよって。だからそろそろ下

 から───」


 フラフラな足取りで長椅子に腰を下ろした所で。


『『『ウキキー!』』』


 一階への階段から魔猿達が上がってくる。それも大量に。


「下も下で物資無かったからね。そりゃ負けるわ。」

「わ、わ、わー!」


 騒がしい喧騒の中、俺はロリっ子がゲートへ走るのを見

 届け。限界を迎えた。




 体力の回復の為に瞳を閉じ、長椅子に腰を預ける───

最後までお読みいただきありがとうございます。この物語が少しでも楽しめる物であったのなら

幸いです。

物語を最後までお読みいただいた貴方様に心からの感謝とお礼を此処に。誠にありがとうございます。

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