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オレだけが此処にいる。  作者: MRS
第三章
35/65

第三十話 異なるモノ、場所、交差。

 ───真っ白な空間では空色の髪をした青年が、熱心な様子で女

 性三人へと何事かの物語を語って居た。




「そこで同仕様も無くて一歩を───」


 自らをNPCでは無いと言う謎の存在へ。俺は自分の身に起こった

 出来事。イベント戦にて生命を燃やし尽くした事を話す事とな

 り、どうせ話すならと。文字通りの意味で燃え尽きた事をちょっ

 とばかし格好良く、勇ましい感じで語る事に。

 冒険話ってのを誰かに話す時は、皆そうだろう? それに。


「何と! 不思議な事に足場が───」

「「おぁー……。」」

『『にゃー……。』』

「………。」


 ロリっ子とリストゥルンさん。それに抱えっぱのネコちゃんズの

 食い付きが良い事良い事。ノレるリアクションまでも付いてくる

 物だからついつい気持ちがね。ミランジェさんも真剣な様子で聞

 いてるし。

 俺は生命を燃やしてしまうまでの話をしつつ、今の状況を頭の片

 隅で考える。

 彼女達は自分達をゲーム内NPCでは無いと、AIでは無く魂だとか

 があるとかなんとか。マジな話し、そんな都市伝説を信じられる

 ピュアな奴が何処に居るよ?

 仮想世界でそんな事言われても『マジかよ。でも知ってる、だっ

 て映画でも良く言ってたし。』何て笑い話がオチ。

 真剣に話そう物なら避けられ、最悪入れられたくない場所へ送ら

 れてそれまでよ。


「(……なんだけど。)」


 普通なら笑える、笑えなくとも無理やりに笑って仕舞える話し。

 でもあの力を見たら笑えないし、感情の籠もった話し方には説得

 力を感じてしまう。何より、俺自身の事を考えれば笑い飛ばせな

 いしな。だって今の俺の状況こそが“ありえない”の一つだぜ?

 それに彼女達は俺の状況で感じる事に余りにも詳しすぎた。

 本当の痛みを感じる事やそれを与えられる存在。それに、一PC

 やNPCがこんな超権限を持ってるか? この、空間を自由に出来る

 何てのはおかしいだろ。此処はゲームの中で仮想世界、チーター

 なら何でもできそうだけど、此処までしてたら運営が黙って無い

 はず。……黒の領域と其処に居るヒト達なら分からないけど。

 でもどうやらこの人達は其処と無関係っぽいんだよなぁ。

 とると、本当に別の世界の住人って事か?

 あーホント、どうなんてんだろーね俺って。こう言う不思議体験

 を死んだ後に遭う何てさ。


「───って感じで。今現在に至る訳ですよ。ご静聴ありがとう

 ございましたっと。」

「「!」」

『『!』』


 考えも纏められない内に冒険譚が話し話終わる。

 ロリっ子とリストゥルンさんが拍手を、ネコちゃんズが肉球で抱

 える俺の腕を“ぽんぽん”と叩く。んふ、ちょっと良い気分かも

 ね。

 話した事でパニクった頭も少しは落ち着いて来たしな。まあ逃げ

 られないからってのもあるけどさ。


「はーやっぱり、冒険の話を聞くのは楽しいわねぇ。」

「ええ。ええ、ええとても楽しいです!」

『そなたは語りが上手い。この身で酒が飲みたくなった。』

『全くだ。酒を酌み交わし是非話したいものだ。』


 見事に語りきった話は好評な様子。俺ってそんな上手かったのか

 な? ちょっぴり良い気分を味わっていると。


「成る程。しかし、しかし今の話が本当だとすれば、現実の貴方

 は既に死んでいると言う事に成りませんか?」

「あー……まあ。悲しい話っすけど死んでるっぽいですよ。」


 現実で死んだ事まで話すかはギリッギリまで悩んだ。

 でもこの現状なら話しても問題ないと思ったんだよね。相手の事

 はまだ理解も納得も出来てない。でもチーターなら俺の話しを信

 じ無いだろうし、そうじゃないなら別に話したって何も無いだろ

 う。現実の俺ってば、もう荼毘に付されちゃってるだろうし?

 今更の現実に何の不都合も無い。俺は今は此処だけなんだから。

 なので同じく此処の住人と言うこの人達へ話して見る事にした

 訳だ。取り敢えず、ね。

 とまあそんな訳で俺の話し、言葉を聞いたミランジェさんは無表

 情で。その隣、リストゥルンさんが此方を見詰め。


「道半ばの死は悲しくはあります。ですが、勇敢に戦い死したと

 なればその魂の輝き。それはきっと素晴らしいモノでしょう。

 ええ間違いなく、本当に素晴らしいモノ……。」


 アレ? 気遣いの言葉とは裏腹にちょっと此方見る目が、その。

 何とも言えない感じ。揺れる瞳は潤んでいるとも、歪んでいる様

 にも見えちゃって……。ぶっちゃけ視線だけで俺に穴が空きそう

 な圧があるんですけど?


「事実。魂がソレに入ってるんだから現実での身体は死んでるで

 しょうね。あちらに繋がる匂いも繋がりも無いみたいだし……。

 何よりも私自身にダメージを負わせられたのが証拠と言えば証

 拠よ。」

「あ、魂。やっぱ魂なんだ……。へへ。」

「? 何喜んでるの?」

「いやあ。今の俺がどう言う存在なのかはもう気にしない事に

 してた、してたんだけど。魂の存在って分かっただけでも、結

 構気が楽に成ったなって。謎の存在じゃなくて、俺は俺だった

 んだなって。」

「……ふーん。どうでもいい。」


 ロリっ子は得に興味もない様子。いいさ、俺にとっては大事な

 事だったって話だし。

 呟いた幼女はその後手を一つ“パンッ”と叩く。すると真っ白な

 地面が椅子の様に盛り上がり、と言うか椅子の形まんまだ。それ

 にロリが腰掛け、ちょっとお腹を擦りながら。


「現実に影響を持たず、此処に魂があるって一点だけでもただのプ

 レイヤーと考える必要はもう無いわ。とすれば此方側にするしか

 道は無い。そうでしょ? ミランジェ。」

「……仰る通りかと。」


 二人は一度互いを見合っては、揃って此方に視線を向け。


「プレイヤーから此方側と成った貴方には、この仮想世界で今何

 が起きているのか。その事情をもっと詳しく話す必要があるみ

 たいですね。そして、それがこれからの貴方にも深く関係する

 事でしょう。」

「え。俺に拒否権は───」

「無いわよ。オマエはもう此方側。何者が言おうとね。なら知っ

 て置いた方が良い事よ。嫌でしょ? 今の自分の特異性を誰かに

 知られる、何て事は。それはオマエは勿論此方だって困るの

 よ。」

「……。」


 俺が言葉を出せずに居ると、ロリっ子がミランジェさんへ目配せ

 を一つ送る。どうやら先程同様彼女が説明を担当してくれるらし

 い。

 俺に関係する話と言われれば黙って聞くほか無い。と言うか現状

 選択肢の全てが相手次第の状況。それに聞ける話は聞いて置かな

 いと、後でストーリーが分からなくなる。……これは俺のストー

 リだしね。


「まず。この仮想世界には魂を持つ者が居る話はしましたね?」

「聞きました。」

「プレイヤーから此方に成った貴方には、受け入れがたい事が多

 いかと思います。ですのでこれからの話しは全て“理解”は置い

 ておいて、“納得”を優先してお聞きください。」


 此方を配慮してくれたミランジェさんがそのまま話を続ける。


「では先程の話。そのお浚いから。

 この仮想世界、貴方がゲームの世界と言っている場所には別の存

 在が息衝いています。それが私達“魂を持つ者”です。

 私達は此処とは別の場所に存在していましたが、ある日此処へと

 渡る事が出来ると、それが知れ渡ると興味を持ったモノが此処を

 目指し流れて行きました。」

「ミランジェさん達ってどう言う存在なんです?」

「私達は……そうですね。貴方方よりも少し上の存在。そうお考え

 ください。」

「上……。」

「ぶっちゃけ神、神様なの! どう? 凄いでしょ? 崇めたく成

 った? ん?ん?」


 差し込まれるロリっ子の整ったウザ顔をシカトして。


「神って……マジ何ですか? それって俺が居た世界の?

 それともそっちのって事ですか?」

「どっちでもよ!」

「私達は元は貴方が居た現実の世界にかつて居た、と言う意味

 では本当です。」

「えじゃあミランジェさんも!?」

「………。」


 不機嫌顔のロリっ子よりもミランジェさんの方が気になる。

 もしもマジで神なら、ちょっと凄い話しじゃね? ゲームが好き

 な俺的には結構興味を唆られる話し、なのだけど。


「……言明はやめておきましょう。中にはそちらでも有名な方々

 も居ますから、話が込み入ってしまいます。

 何よりも今の私達はただのキャラクター。入っているソレが人間

 よりも少し強い存在だったとしても、元居た神だったとしても今

 はそうなのです。

 それに全てのモノが高位の存在と言う訳でもありませんよ? 中

 には貴方の様にただの人間の方も居ますし。」

「へぇー……。」

「でもこの館に居るのは殆どが神族。わたしはオマエが居たそっ

 ちでも有名な女神様なの。分かったら早く崇拝してくれる?」


 ロリっ子はシカトにシカトを重ねてやる。

 マジで話が壮大に成って来たなぁおい! テンション上がっち

 ゃう! 俺って今神と話してるんだもんな。


「やっぱ。ミランジェ様って呼んだ方が良いっすかね?」

「いいえ。此処ではただのキャラクター、ミランジェです。

 神かどうかなんて気にせず接してください。」

「わたしはニスル様で良いわよ。」

「分かりました。ミランジェさん。」

「……そろそろ怒ろうかしら。」


 俺を殺しかけたヤツに構う訳無いだろ。と思ったけど。


「でも、中身が神だからニスル様見たいにこんな力を持ってるん

 すよね?」

「!!!」


 満足気なロリっ子。別にさっきの事を思い出してビビった訳じゃ

 無い。同じ様な事が誰でも出来るのか知りたい情報だったから。

 序に機嫌も取れたらしいけどね。


「そうでした。貴方はニスル様と戦ったのでしたね。

 確かにニスル様は中身が強力故にこの様な規格外な力を持って

 居ますが、流れたモノ全てがそうではありませんよ。事実今の私

 に此処までの力はありませんから。」


 ちょっと安心。こんなチーターを越えたチーターが他にはそうそ

 う居ないらしい。


「んん。さてどの様な存在が入ってるかは置いておき、此方に来

 た魂を持つ者には皆大雑把ではありますが共通の決まり事、認識

 を持ち合わせています。

 それはプレイヤーと呼ばれる存在、此処に居る私達以外の存在へ

 自分たちの事を話さない、悟らせない事です。暗黙のルール、と

 言う物ですね。」


 どっかで見た玩具映画に出てきそうなルールだ。でもまあ考えれ

 ばそれって当然か。だって。


「現実世界への侵略者だから……っすか?」

「ふふ、違いますよ。意外かも知れませんが、私達はただ此処で

 過ごしたいだけなのです。」


 中身が神様、かどうかは置いておいて。神でもそれ以外の軟体生

 物だろうと、神なんてを自称する精神構造の存在だ。てっきり野

 心満々野望満々なのかと思ったら……。随分とのほほんとした理

 由を示されてしまった。


「此処じゃない場所。私達が居なければいけない、存在する事の

 許された世界と言うのが争いの無い、出来ない場所。ヒトは死な

 ず穏やかさだけに満ちた、互いを傷つける事の出来ない至極平和

 な場所だったのですが───」

「何か皆が思う理想郷っぽい所っすね。」


 争いが無い世界ってのは凄い場所じゃね? 其処に居たから野心

 無いとか? ちょっとミランジェさんの話す表情があんまり楽し

 そうに見えないのが気になるけどね。


「理想郷!? 冗談じゃないッ!」

「お、おお?」


 声を荒げたのはロリっ子。幼女は椅子から立ち上がり。


「確かに誰も争い合わず、飢餓も嫉妬も怒りも悲しみもうっすーい

 場所は理想的に見えるかも知れないわ。でも良い事?

 闘争心も向上心も与えられ満ちてしまった其処では、日がな一日

 黄金の麦畑を眺めては、適当にビールを飲むぐらいしか出来な

 い。些細な諍いも、それに繋がる全てが許されない永遠期の世

 界。

 其処は肉体が在って無い様な薄いモノだから、肌と肌を触れ合わ

 せる喜びも、他人の体温をひしと感じる事も出来ないのよ。

 それで一体何の面白味や喜びがあるって言うの?」

「何か……。そう力説されっとメッチャつまんなそうな世界

 かも。」


 俺がそう言うとロリっ子が大きく頷き距離を詰め。


「そう!そうなのよ! 枯れた連中や満たされた頭フワフワ連中

 はそれで良いって言うけど、アタシは此処のが断然良い!

 圧倒的な平和に満ちた世界は、何処にも行き場が無いもの!」


 ロリっ子の隣に付いて来たリストゥルンさんに『貴方もそう思う

 わよね? ね?』等と聞いては、リストゥルンさんが頷いている。


「と。そう思う方々も居まして。現在この仮想世界には渡って来

 た存在がそれなりに居るのです。」

「質問。」

「はい。」

「此処じゃなくて現実の方には行かないんすか?」

「良い質問ですが繋がったのはこの仮想世界だけですよ。

 そしてそれ以前に私達はそちら、現実の世界へ強く干渉する事が

 出来ないんです。」

「神様なのにっすか?」


 尋ねるとミランジェさんは少しの笑み、それも何か含みのあるモ

 ノ湛え。


「“神”と呼ばれる方々が唯一絶対に逆らえないモノ。それは何だ

 と思います?」

「……。」


 神に不可能何てあるのか? 分からない俺が無言で居るとミラン

 ジェさんが少しの間を置いては、ゆっくりと口を開き。


「それは“世界”です。自らが存在する事を世界に許されなけれ

 ば、何人も立つ事は出来ない。存在する事が出来ないのです

 よ。」


 ミランジェさんに続きロリっ子が。


「世界の移ろいに流されたわたし達は、ぼーっとした永遠期の世

 界で永劫ぼーっとしてるだけの存在だったの。おっきなヒトは皆

『次へ備えての準備期間。』って納得してたけど。次って何時?

 って話しじゃない? 争いが無いのは、まあ良いわよ。平和って

 其処まで嫌いじゃないし。でもそれだけはダメでしょ。

 刺激が全く無い世界は退屈で退屈で退屈で、うっかり死んじゃい

 そうに成るわ。まあ死後に当たるモノが無いから死なないんだけ

 ど。……冥界とかの子は、その辺不満らしかったのよねー。」


 心底うんざりとした様子で話す。確かに退屈そうな世界だ。

 最初は良いと思ったけど、最大公約数をとっただけの世界に思

 える。悪くないし理想にも思えるけど。


「此処なら争いも平和も味わえて、多くの差異を楽しめる。

 何だか此方の方が俺には楽園に思えるなぁ。」

「分かってるじゃない!」

「うわ!ビックリした……。」

「此処の不便さ、融通の効かない所は最初はムカついたけど、今

 はそれら全てが愛おしい! こんな素晴らしい世界、そう世界を

 作ったのよ。ああ、此処を作った子達は何て凄いのかしら! 神

 にだって此処までの事そうそう出来る事じゃないわ!」


 興奮、と言うか純粋なキラキラとした瞳で喜んで見せるロリっ

 子。

 仮想は何処まで言っても仮想。だけど、そうか。それでも世界

 としての形があるのだから、それって凄い事だったのか。

 当たり前にある技術過ぎてその凄さを忘れて居たのかも知れな

 い。ちょっと感動してしまった。

 俺がロリっ子と一緒に少し喜びを共にしていると。

 感心した様子のミランジェさんが小さく一つ頷いては。


「此処は何も出来ない私達の世界に比べれば正に楽園。ですが、

 来たモノは神だけでも、神と共に流されたヒトだけでは無いの

 です。」

「?」

「魔の者が流れ着くことも、所謂魔物の魂ですね。」

「え゛。まさかそれに襲われた人間は現実に帰れなく───」

「いえそんな事はありえません。此処で魔物に殺されても、プ

 レイヤーの方にとっては仮想での出来事ですから。寧ろ被害を

 受けるのは此方側のヒトだけですよ。」

「そうなんすか?」

「ええ。魂持つモンスター、魔物に襲われた流れのモノは。最悪

 死んでしまう事もあります。」

「うええぇ?! 大事件じゃん!」

「ああいえ。貴方が考えているよりも少し違います。此処で襲わ

 れ死した者は、その魂が行き着く場所へと帰るだけ。詰まり元の

 世界へ流し戻されるだけですね。

 既に私達は終わっているモノに近いですから。ですのでまあ、其

 処まで悲惨で悲劇的な事では無いんです。まあそれは今は良いで

 しょう。問題は。」


 生死をサラッと流すミランジェさんは、此方を真っ直ぐに見詰

 め。


「貴方が戦った存在は恐らく魔物かも知れない。もしそうなら貴

 方がそうなった事と何か関係が、と言う事です。」

「ナルホドー。って魔物にやられても関係なかったんじゃ!?」

「今までは魔物に襲われたからって、そんな事は無かったの。」


 俺の驚きに答えたのは真剣な表情で腕を組むロリっ子。


「この仮想世界は不思議な均衡。曖昧さを内包して存在している

 わ。此処では起こって不思議な事は多いし、起こらずとも不思議

 で無い事も多い。わたし達ですら未知な世界。

 だから原因は分からないけど、オマエがそう成ったのは一種の奇

 跡だと私は思うわ。」

「奇跡?」

「そう。わたし達の世界と此処が繋がった様な、稀に起こる本当

 の奇跡。

 此処へ来たモノで現実の人間の、その魂を此処に引きずり込むな

 んて干渉は出来る事じゃ無いわ。

 貴方が現実で死んだ事に魔物は無関係でも、此処に魂が来た事に

 はその魔物が関係しているかも知れない。だけど、原因と思われ

 る魔物は討伐してしまったのでしょう?」

「バッチリ。」

「ならもう同じ事が起こる可能性も低いでしょうね。倒されたの

 なら魂はもう還ってるはずだし。

 同じ魔物と戦い、そして同時に現実で生命を落とす。それが起き

 ればオマエと同じ存在が出るかも知れないけど、その魔物がもう

 居ないんじゃ、心配をしても意味がないわね。」


 結局。俺に置きた事ってのは。


「この仮想世界にコッソリ隠されてた奇跡、って事かー。」

「此処は本当に不思議な所。奇跡何てモノがある位にはね。此処

 を嫌いになった?」

「いんや。生命を拾えた此処を、そうじゃなくとも俺は此処が好

 きだよ。だって面白いし。」


 言葉にロリっ子が笑う。何となしに俺も笑ってみる。


「んん。では次の話をしても?」

「あ、どうぞどうぞ。」

「では。此処からが現在の事情です。

 永遠期の世界に不満を持つモノは自ら流れ。そして力のある者は

 この地にて派閥を作りました。それは流れた者を迎え入れ、守護

 したりする為にです。」

「ああー。魔物とかからって事と、ルール的な意味で、です

 か?」

「そうです。この前貴方は此方の乙女と共に、町を襲った魔物

 を退治してくれたそうですね?」


 この前。……ああ!


「メンテの時の! アレってイベントテストじゃなかったんだ。

 てか魔物だったのかよ……。」

「ああいった場合、私達が魔物を追い払うのですが。此方に来た

 ばかりの乙女では少し……。」

「……。」


 身を縮こまらせるリストゥルンさん。ほうほう。


「町を救ってくれた事。此処で改めてお礼を。勇敢な貴方に感

 謝を。」

「えぇ? いやぁ、それほどでもありませんよ。」


 綺麗なお姉さんにお礼をされて嬉しくない訳無い。

 なので此処は格好良く事も無げだったと態度で示す事に。


「乙女の話通り謙虚な方ですね。話の続きですが、流れた者には

 派閥と呼ばれる物があります。それぞれがそれぞれに余り干渉を

 しない事で、我々は互いの領分を守っています。私達で言えば

 そのトップを───」

「そうこのわたし!」


 ロリっ子が無い胸を張り、序に声も張ってやがる。


「女神ニスルが務めてるの!」

「です。ニスル様は───」

「あーもう良い。飽きたわ。ミランジェ話し長くて面白くない

 から、此処からはわたしが直接話す。」

「───そ、うですか。」


 あしらわれたミランジェさんの米上が僅かに動いた気がする。

 態度“だけは”神っぽいな、このロリっ子。


「取り敢えずオマエ。」

「あ、はい。」

「オマエは偶然奇跡的に私の慈悲百パーセントで恩情にも均し

 い行為によって、試しを越えたわ。」

「そっすね。(絶対俺をコロス気満々だったじゃんコイツ。)」


 平たい胸を更にふんぞり返し。


「下っ端も下っ端で勇士候補として仕方なく認めてあげる。

 オマエを私の派閥に入る栄誉を与えて上げるわ。さあほら、涙を

 流し頭を垂れ“ありがとうございます!”と泣きなさい! そん

 で、小煩い魔物共と戦って私の領土を守るの。」

「……ナルホドー。」


 何処からあんな自信が出るのか分からない。まあどっかの神様ら

 しいしデカイ自信ぐらいあるんだろうね。

 だけどこの状況と、俺の知らなかった驚愕の世界背景は分かっ

 た。其処まで分かれば俺の答えは決まってる。


「その申し出は断ぁぁぁぁるッ!」

「えぇ!? 何でよ!」


 大声で、力強く。吠えあげて見せた。すると自称神が驚いてい

 る。あの物言いでマジの自信だったのかよ。驚く自称神のロリ

 っ子へ。


「まず態度───」

「「……。」」


 納得顔のリストゥルンさんとミランジェさん。


「───は。実はそれほど気にしてないです。

 こんな世界だし、話が本当なら別世界の人物の物言いを一々気に

 してたら疲れるからね。」

「「! ……。」」


 此処(エリュシオン)には海外勢の人達も居る。言語は素晴らしい翻訳システムで

 分かるけど、文化的違いは翻訳云々は関係無い。ゲームの中でそ

 れを一々指摘してるヤツなんてのは、まあその程度な連中。

 ゲームは楽しくプレイ出来れば問題ないし、不快ならミュートし

 てやるだけの話し。極力あるがままを楽しむたい俺はそんな事し

 ないけどね。


「断るのは俺個人がどっかに所属するとか面倒なのでパスっての

 が、プレイスタイルっすからね。

 それに魔物退治とか俺には危険すぎ。さっきの話しだと魂の入っ

 たヤツは同じく魂のあるヤツを殺せるんだろ? それって俺もじゃ

 ん。俺は死んだら今度こそ本当に死んじゃうかも知れない。死に

 たくないのは誰だってそう、俺もそう。だから……お断りっす。」

「お願い、お願いを断れたの初めてかも……。」


 俺の生命よりもそっちかよ。ショックの受けどころを間違ってる

 ロリ神様に代わり。


「考え直しては頂けないでしょうか?」

「そ、そうです! ルプス様は弱きを助ける勇士だと、私はっ!」


 少しの困り顔で此方を見るミランジェさんに、潤んだ瞳のリスト

 ゥルンさん。う、中身がある。と言って良いか分かんないけど、

 NPCでは無いらしい二人の女性からあんな目で見られ縋られると

 心が苦しくて辛い。でも、でも俺だって死にたく無い。


「そちらさんの事情はまあ、分かりますよ。でも俺は勇士って訳

 じゃあ無い。極々普通の人間で一般プレイヤーっすよ? そんな

 俺に出来る協力は、此処で見聞きした事を一切秘密にする事ぐら

 いですよ。」

「……状況は特殊と言えど、貴方は元プレイヤー。此方の事に巻

 き込むのは我儘とも言えるかも知れませんね。」

「そんな! ミランジェさん!」

「彼は今、何の義理も無い私達の事を黙って居てくれる。そう言

 ってくれたのですよ? その協力を得られただけでも私達は感謝

 しなければいけません。彼をどうこう出来ない私達には、その協

 力だけでも有り難いと思いましょう。」

「……はい。」


 うーわー……めっちゃ悪い事した気分。でも命掛けて戦えって、

 そりゃ無理な話じゃん? だって此処ゲームの世界で、戦いも全

 て仮想現実よ? 其処でゲームして遊んでただけの俺には、いく

 ら何でも荷が重すぎない? 潰れるど頃か地面に穴が空いちゃう

 って。


「ですが困りましたね。」

「はい。即戦力が無いとなると……。いえ魅力的な……。」


 二人の女性から暗い雰囲気が漂い出す。居づれぇここー……。


「ニスル様。ニスル様、このままでは我々は───」

「ありえない。」

「───は?」


 ミランジェさんの声かけに、ロリ神様が呟いてはゆっくりと身を

 震わせて居た。何だ何だと周りが思って居ると。


「!」

「え、ちょなになになになに!?」


 突如ロリ神様は走り出し。進むは此方、詰まり俺の方。

 走ったロリ神様は俺の腰の辺りへ“ヒシッ”と抱きつき。


「こんな美しい神様のお願い、聞いてくれないの!?」


 潤んだ瞳で見上げてくる。その瞳に濁った様子はなく、綺麗とす

 ら思える程で。表情も満点だ。


「だがしかし。ロリに縋られた所で俺には何の意味も無い。

 俺の好みはあっちのミランジェさんやリストゥルンさん辺り

 だ。」

「「!」」

「じゃ、じゃああげる!」

「あん?」

「あの二人好きにさせてあげるから! オマエも男なら嬉し

 いでしょ? だから私のお願いを聞いてよ!」

「「!!」」

「おおちょ、何か最低な事言い出したんですけどこの子ー!」

「最低じゃ無いもん! 好みなら好きにすれば良いのよ!」


『もん。』とか言い出したロリ神様は俺の腰辺りで頭を振って

 は。


「今までわたしはどんな願いも望みも思いのままだったの! 今

 回だって私の望み通りに成るはずなの!そうじゃなきゃおかし

 い!」

「メチャクチャな事言いだしてんな! ヤバイよこの子。なんだ

 コレ、三階おもちゃ売り場で駄々こねる子供まんまだよ!」

「派閥に入れぇ! わたしにお願いしろぉ!」

「言動が完全に子供、子供だよ! なに、見た目に精神引っ張ら

 れちゃう的な設定なの?」


 最早先程の自信は欠片も無い様子。完全に駄々っ子だこれ。

 俺が駄々っ子に引いていると。


『忌々しきは元からこうであった。』

『うむ。忌々しきは自らの望みは全て叶えられる、願いは聞き届

 けられる物で。どんな悪行横暴気まぐれも“ごめんなさい。”

 その一言で許して貰える存在で、また境遇でもあった。』

『オマケに力が強く。』

『魅力をも兼ね備えていた。』


 ネコちゃんズが一度大きくなず居ては此方を見上げ。


『『だからスッゴイ我儘で何時も通りだ。』』

「ネコちゃんズ凄い息ぴったり!」


 腕に抱えっぱのネコちゃんズがこの性格について教えてくれた。

 ネコの話しに、リストゥルンさんが苦笑いを浮かべ。ミランジ

 ェさんが肯定の頷きを此方に見せる。ナルホドー。


「この美しい神のお願い、お願いお願いおねっぐあい!」

「だとしても断る。後美しかろうとロリに興味は無いッ。」

「だったらあっちの二人───」

「俺って自由意志の無い系NG何で。権力で無理やり系もちょっ

 とキツイっすわ。」

「注文が多いよぉぉぉぉぉおお! うわああああああああん!」

「もう普通に泣いちゃってんじゃん。」


 このままじゃ埒が明かないとロリ神様を引き剥がそうと試みる

 と。


「うわああああああああああああ───あ。」

「ん?」


 突如ピタリと泣き止む。そして涙目な顔を上げ……ニヤリと笑

 い。


「うひゅ。良いのかしら?」

「な、何だよ。」

「オマエは此処にしか居ない。現実には居ない。」

「あー……まあ。」

「此処がお前の新しい現実で世界だ。」

「そう、だね。」


 嫌な予感がガンガンする。何故って応える度にロリ神様の笑みが

 強まるからだ。


「じゃあ尚さらお前は私に協力するしか無いのよ。だって、そう

 しないとこの世界───消えちゃうわよ?」

「はぁ!!??」




 ロリ神様が告げる。世界(ゲーム)終了のお知らせ───

最後までお読みいただきありがとうございます。この物語が少しでも楽しめる物であったのなら

幸いです。

物語を最後までお読みいただいた貴方様に心からの感謝とお礼を此処に。誠にありがとうございます。

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