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オレだけが此処にいる。  作者: MRS
第二章
27/65

幕間 何かの足音

 ───酒場にて。




 賑やか、と言う程の人気(ひとけ)は無く。程々の客に静かな

 店内。そんな店内で。


「ではごゆっくり!」


 ブロンド髪のウェイトレスが接客を終え、店の奥へと戻って行く

 最中。彼女はカウンターへと立ち寄り。


「ミランジェ様。ちょっと良いですか?」


 声を掛けられたのはカウンターで作業していた、白シャツに黒い

 ベスト姿の女性。


「何です?」

「此処ではちょっと……。」


 ウェイトレスの反応で何かを察したらしい黒ベストの女性は、近

 くに居た同僚らしきに持ち場を任せ。二人は店の奥へと姿を消し

 て行く───


 ───店の奥。人通りも無い通路を二人の女性が歩き、ふと前を

 歩いていたベスト姿の女性が足を止め振り返り。


「それで?」


 短く尋ね。


「はい。黄昏時に魔物がこの地を襲い、これを撃退しました。」

「それは素晴らしい活躍です。魔物は何処の者か分かりました

 か?」

「アレは恐らくマシラの手先だと思います。」

「はぁ……。あちらのちょっかいはコレが初めてではありません

 が、等々黄昏時に。しかも私達の膝下に手を出すまで増長してし

 まいましたか。由々しき事態ですね。」


 困り顔の黒ベストの女性に、苦笑いを浮かべるウェイトレス。


「それにしても。」

「?」

「確か貴方は戦いが余り得意では無いと聞きました。加えてこの地

 に来て日も浅い。だと言うのに早々に魔物を退けるとは、流石と

 言うべきですね。」

「いえ。それが、そのう、です、ね。」

「?」


 ウェイトレスの彼女は戦いの時に起きた出来事を説明。


「───そのヒトに助けて貰わなければ、危ない所でした。」

「成る程。一先ず貴方が無事で何よりです。次からは先走ったりは

 しないでくださいね?」

「気を付けます。」


 黒ベスト姿の女性が、一呼吸を入れては区切りとし。


「……つまり、貴方はそのヒトを“勇士”だと言いたいので

 すね?」

「そうです! 黄昏時の出来事でしたので、此方へ流れた魂の一

 つだと思います。」

「でしょうね。」

「はい。なのであの勇士を此方へ、私達の下へ引き入れるべき

 だと思います。」

「……ふむ。」


 ベスト姿の女性は、ウェイトレスからの提案に少し考える仕草を

 見せ。


「分かりました。上に掛け合ってみましょう。」

「! 是非お願いします。」

「見る目の確かな貴方方の話しですから、多分通るとは思います。

 なので、その勇士を()()()()()()()()。見張って置いてもらえま

 すか?」

「ええ、ええ勿論。」

「頼みます。……今の我々はとても小さい。使える者は此方に引

 き入れるべきでしょう。しかし、それを()()()が素直に分かって

 くれるでしょうか。それだけが心配ですよ。」

「きっと分かってくれますよ。ああ、それにしても早く彼を引き

 入れたいです。そして行く行くは───ふふ、ふふふふ。」


 不敵な笑みを零すウェイトレス。そんな彼女を気にもせず。


「誰であれ、使える人材だと良いのですが……。」


 少し遠くを見詰める黒ベスト姿の女性。




 何かが、何処かで、ひっそりと始まろうとしていた───

最後までお読みいただきありがとうございます。この物語を最後まで読んでくれた貴方様に、心から

の感謝とお礼を此処に。

誠にありがとうございます。

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