幕間 向き不向き
───女性が一人、モップを片手に床を掃いている。
住まう場所、働く場所、行き交う場所を清潔に保つのは大事。
「だって綺麗な方が気持ちが良いもの~♪」
でも此処ではこんな必要も余り無いらしく、掃除を面白くないと
思う他の姉妹はやらないでいる。けれど私はこれも楽しめる、
掃除は楽しい。意味の薄い行為も楽しいと思えれば別。
「♪~♪~。」
楽しさから思わず私は前に此処で聞いた、詩人の音楽を口ずさむ。
アレは何と言う歌、音楽だったのだろう? とても静かで穏やかで、
耳に残る音だった。そう、此処は本当に色々なモノで溢れている。
ヒトが笑い合う音や私達が住まう場所に、今日から続く明日。
ああ、何て楽しい場所なのでしょうか此処は。
「それに、元々私は此方の方が向いていましたからね。」
持っていたモップの柄に手を乗せ、更に上へ顎を乗せては近くの
テーブルを眺める。ヒトとヒトは思えぬ誰かが語り合う様、彼等が
言っている意味は良く分からない物が多い。だけどそんな彼等の
姿を見るのはとても懐かしい気持ちと、新たな喜びを感じられる。
思い方はそれぞれだけど他の皆も楽しいと思っているはず。
だって此処に来た誰もが───
「!」
不意に気配がする。此処では絶対にしては行けない気配が。私は
直ぐ様館を飛び出し辺りの様子を伺う。
「~!」
「あっちか!」
遠くから悲鳴の様な物が僅かに聞こえ、声の方へ駆ける。
駆けた先で見付けたのはヒトを襲わんとする魔物の姿。
「其処で何をしている!」
『!』
ヒトを襲うとしていた魔物が、私の方をチラリと見ては逃げて行く。
私は襲われいたヒトの側へ駆け寄り無事を確認する。……どうやら
無事らしい。ならば早くアレを追わねば。アレは逃してはならない。
「此方は私に向いてない……。だがっ!」
片手に槍を呼び出しては逃げる魔物を追い駆ける。向いていなくとも
これはしなくては成らない事。私の、私達の絶対使命。此処を守る
為にも、追ってアレを滅ぼす!
追われるモノと追う者が駆ける抜けるは何処か───
最後までお読みいただきありがとうございます。物語を楽しんでもらえたのなら幸いです。
この物語を読んでくれた貴方様に心からのお礼と感謝を此処に。誠にありがとうございます。




