プロローグ2
「ん? 転生の虹宝玉? 転職の虹宝玉じゃなかったっけか?」
聞いていたアイテムと名前が違うので不安になる。
俺は慌ててインベントリを開き、アイテムの説明文を確認する。
『転生の虹宝玉』
現在のキャラクターデータを引き継いで転生することが可能となる。
転生前に引き継ぐものを設定することが可能である。
ジョブチェンジの条件を満たしていなくても、全てのジョブの中から、転生後のジョブを選択することが可能となる。
転生後はステータスが初期値に戻るが、成長にプラスの補正がかかる。
……よくわからないけど、とりあえずジョブチェンジはできるようだ。
引き継ぎやらステータスが初期値に戻るやら不安要素もあるが、レベル1から始まりの街からスタートするという感じなのだろうか?
まあ、テイムモンスターや装備品の引き継ぎ設定もできると思うし大丈夫だろう。
ここからレアドロップを掘るのも精神的に限界だし、もう使っていいよね?
「なるようになれ!」
俺は使用するボタンを押した。
『転生の虹宝玉を使用しました。転生後のジョブを選択してください』
ファイター、マジシャン、……ドラゴンテイマー。
全ジョブが記載されたジョブリストが表示された。
俺はドラゴンテイマーを選択して確定ボタンを押す。
『引き継ぎスキルを3つ選択してください』
鞭術、採取、索敵、テイム、魔物指揮、魔物治癒、魔物強化、魔物進化、異次元牧場、言語翻訳。
今度は俺が所持しているスキルのリストが表示される。
どのスキルもレベル10で、限界まで使い込んでいる。
「引き継げるスキルは3つだけか」
この中のテイム、魔物指揮、魔物治癒、魔物強化、魔物進化のスキルは、テイマーが必ず獲得できるスキルだ。
おそらく、ドラゴンテイマーでも獲得できると思うので、他のスキルを選ぼう。
そうして残ったスキルは、鞭術、採取、索敵、異次元牧場、言語翻訳の5つ。
異次元牧場、言語翻訳のスキルはレアなので、引き継ぎ確定でいいはずだ。
正直、採取と索敵はテイムしているモンスターが代わりにやってくれるから、そこまで重要じゃないんだよな……
ということで、最後の1つは鞭術にする。
俺は鞭術、異次元牧場、言語翻訳のスキルを選択して確定ボタンを押す。
『引き継ぎアイテムは現在のインベントリ内のものが引き継がれます』
インベントリ内は、ラストダンジョン攻略用の装備と買い込んだ最上位の消費アイテムで埋め尽くされている。
ラスボス撃破後に一回街に戻って買い込んできたから、消費アイテムもほぼ満タンだ。
倉庫にあったアイテムも売却してすっからかんだし問題なし。
『最後に引き継ぎテイムモンスターを1体選択してください』
新しいウインドウが開かれた。
俺がずっと育ててきたモンスター達だ。
「1体だけ……か」
スキルと同様に3体まではいけるかなと思ってたけど、そんなに甘くなかったようだ。
サービス終了だから消えるのは仕方ないと割り切ってたんだけどなぁ……
こうやって実際に育ててきたモンスターを見ると感慨深いものがある。
……さて、どのモンスターを選ぼうか。
俺は少し悩んで、残すモンスターを決めた。
フェアリープリンセスのリーチェ。
今はフェアリープリンセスだが、最初はプチフェアリーだった。
俺が一番最初に仲間にしたモンスターだ。
どのモンスターにも愛着はあったけど、最後は思い出補正で決めた。
俺はフェアリープリンセスのリーチェを選択して確定ボタンを押す。
『以上で設定は完了となります。これより転生を開始します』
そのメッセージを最後に俺の意識は途切れ、ルシエルはダンジョンから消滅した。
そして、大空 大地も日本から姿を消したのであった……