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文句あるかっ!  作者: 凪沙一人
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勇者の特訓

アルカ:主人公。修道女。僧兵モンクで踊り子。訪ねて来たアインと旅立つ事になった。


アイン:神託で勇者になったという少年。

 町を襲ってきた獣人オークを退治したはいいがアインの剣は折れてしまった。だが、この町には武器屋もなく道具屋は閉まっている時間だ。結局、この日は座り込んだまま眠ってしまったアインをマスターと一緒に修道院へ運び、休む事にした。


 聖堂で朝の祈りを捧げているとアインが起きてきた。

「おはようございます。アルカさんって朝早いんですね?」

 疲れが抜けないのか、あまり眠れなかったのか、アインはまだ眠そうにしていた。

「これでも一応、修道女シスターなんでね。朝食出来たら起こしてやるから、まだ寝てていいよ。」

 だがアインは首を横に振った。

「いえ、それなら朝練してきます。」

「待ちなっ!」

 折れた剣を持って出かけようとするアインを呼び止めた。

「休むのも立派な勇者の仕事だよ。そんな体じゃ勝てる魔物にも勝てやしない。」

 そう言われてアインは手にした折れた剣を見つめた。

「その剣って由緒ある剣なの?」

 アルカの問いにアインは首を横に振った。

「いえ、戦場跡で拾ったんです。」

 この言葉にアルカは頭を抱えた。

「あんた、いったいどうやって勇者になったんだい?」

「む、村で神託があったって…」

 こんな時代に勇者になりたがる奴はいないと思っていたのか、これには納得したようだった。

「あんたの村は昔っから勇者を出しているのかい?」

 他の職業と異なり、世界中に勇者がいる訳ではない。まして魔物と戦わなくてはいけない危険な冒険に、我が子を出したくないと神託が降りても隠している親もいた。

「いえ、ケルヒール初の勇者だって。あ、ケルヒールは僕の生まれた村の名前です。」

 まぁ、なんとなくだが納得した。過去に勇者を出している村であれば革製であれ木製であれ、多少の身仕度は整えて送り出すものだ。

「出だしはどうあれ、獣人オークに立ち向かった時のあんたは本物の勇者だったよ。とりあえず魔物退治で路銀は貯まってんだろ?新しい剣を買いに行かないとね。」

「え、えぇと、あのぅ…」

 何かを言い難そうにしているアインの態度にアルカはテーブルを叩いた。

「あんた、言いたい事があるならハッキリ言いなさいっ!」

「お、おっかない…じゃない、お金ないんです。」

 さすがにアルカも頭を抱えた。

「あんた、いったい何に使ったの?!」

 アルカは怒っているようでもあり、呆れているようでもあった。

「薬代に食事代です。」

「宿は?」

「そんな余裕ないですよ。」

 確かに宿代より安い武器などない。木の棒よりは戦場で拾った剣の方が威力があるのは確かである。

「まったく…とりあえず食事したら特訓するから、作っている間、休んどいでっ。」

 アインを部屋にやるとアルカはキッチンへ向かった。

(今度の勇者様は世話がやけそうだねえ。)


「出来たよっ!」

 アルカが食事の知らせに来たのは1時間ほどしてからだった。メニューは穀類と豆と根菜のスープに野菜ジュース。

「食べたら、すぐに特訓だからね。胃に負担が少ないよう、よく煮込んどいたよ。」

 確かに口に入れると舌と歯茎で潰せるくらいに煮込まれていた。アインくらいの少年ならば普通は物足りないだろう。だがアインは満足そうにたいらげた。

「ご馳走さまでしたっ!」


 さっそくアルカはアインと外に出ると一振りの木刀を渡した。

「これで練習するんですね?」

「何言ってんだい?当分、それがあんたの武器。いい武器が欲しかったら稼ぎなっ!」

「木刀でどうやって魔物と戦うんですかっ!?」

 アインが疑問に思うのも無理はない。拾い物とはいえ金属の剣が折れてしまう戦いをしてきたのだから。

「あんた、昨日何見てたんだい?」

 確かにアルカは武器を持たずに獣人オークたちを倒してしまった。

「僕、僧兵モンクじゃないし…」

 アインは反論しようとしたがアルカは聞く耳をもたない。

「文句なら後にしなっ!あたしだって勇者でも剣士でも戦士でもないんだから剣術なんて教えらんないの。出来るのは、その木刀でいかに自分の身を守るかって事。」

 剣術を教える訳でもないのに木刀で身を守る方法を教えると言うアルカの言葉にアインは混乱していた。

「修道院には食べ物や子供たち…まぁ奴等にとっちゃ、どっちも食べ物らしいけど。それが集まってる事が多いの。けど、あたし等修道士は武器を持たない。そこでみんなを守るために徒手空拳…つまり素手で戦う方法が編み出されたんだ。その根本は格闘技じゃない。気だとかアウラ、ルン、プラーナ…呼び方なんて何でもいいけど、それを全身に纏い肉体を鎧に、手足を武器と成す事にある。」

「そ、そんな簡単に出来るんですか?」

 もし、そんなに簡単に出来るのであれば、もっと世界の人々の魔物からの恐怖を減らせるのではないか。そう考えるのも無理はないが世の中、そう甘くはなかった。

「普通は修道士の鍛錬があってこそ出来るの。勇者の神託が降りたってんなら、そのくらいの才能は見せてくんないとね。それも今日中に木刀一本、気を纏わせられなかったら一緒に行く件は無しだからね。」

 やっとアインも状況が飲み込めた。たとえ木刀でも気を纏わせれば武器として使える。だが、それが出来なければアルカの足手纏いにしかならない。そんなおりはゴメンだと言われているのである。それからアインの猛特訓が始まった。とはいえ、肉体修行をしても1日でなんとかなる訳もなく主に精神鍛錬である。そして、そんなアインの特訓が終わるのを魔物が待っていてくれるはずもなかった…。

出足が鈍いです。次回、特訓を始めたのはいいのですが…

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