表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文句あるかっ!  作者: 凪沙一人
13/19

聖女の断罪

「お人が悪いですね? 」

 アルカたち三人と別れ、ステラと二人になったシオンに後ろから女性が声をかけた。声の主は振り向かずとも判っていた。

「とと様は悪い人れはありましぇんっ! 」

 ステラが女性を睨み付けた。

「ほら、幼い子が居るのだから言葉を選んでいただけますか、エトワール。」

 そう、声の主はリヴィエラとオートンの姉にして剣聖プラントの妹、エトワールであった。

「そうだったわね。で、最初っから武具を持っている貴方が4つの武具を取りに行くとしたのは誰にもついていかない為の方便だったのでしょう? 」

「まぁ、アルカやアインは第一としてもリヴィエラは甘えそうだったからね。まぁオートンが来てくれなかったら私が行くところだったので助かったよ。」

「もはや千里眼レベルではないわね。」

 シオンの能力ちからは遠知能力というより、まるでその場に居たかのようだった。

「でも私が最初から武具を持っている事が判っていたなら、他に行くべきだったんじゃない? 」

「ん~どっちかって言うとお手伝いに来たと言うより交替に来たのよ。あなたも私がお相手の方がいいでしょ? 」

 エトワールの視線の先に黒い霧が現れたかと思うと人の姿に変化した。

「自分の腐れ縁は自分で断ちたいのよ。」

「なるほど。けれど、この合成獣士の半分は私の腐れ縁なんだ。」

 黙って聞いていた合成獣士が口を開いた。

「そこまで判っているなら話が早い。このグライストが二人まとめて始末してくれるっ! 」

「強がるのは悪霊王ガイストの名残かい? 」

 シオンの腐れ縁の相手、それがガイストだ。獣勇士の一人ではあったがシオンには幾度となく苦渋を嘗めさせられていた。

「どちらかと言うと執念深さは幻人王ヘルマかと思いました。」

「人でありながら魔王に下った男か。まぁ、合成獣士となれば人間的な部分も希釈されたか。ガイストの気配しか感じないが? 」

 まるでグライストの存在を無視したようにシオンとエトワールの会話は進んでいた。

「相変わらず、人の存在を無視しやがる。」

「お前は人じゃないだろ? 」

「あなたこそ、相変わらず大人しく待っているのね? 」

確かにシオンたちが話し終えるのを待つ必要はない。

「そうやって煮え切らない。それでいて人を殺める時には躊躇しない。サイレントアサシンとか呼ばれて追われて魔王軍に逃げ込んで、合成獣士になっても変わらない。もう人間捨てたんだし人格も残ってないのに駄目なところだけ残ってるなんてガイストも貧乏クジ引かされたわね。」

「言いたい事はそれだけか? 魔王がそんな無駄な合成をする訳がなかろう。この身に取り込んだのはヘルマの執念、迷いなき殺意、人間への憎悪。獣にない負の感情こそ悪霊王ガイストが取り込むに相応しきものだったのだ。」

「シオン… やはり私が断罪してもよろしいかしら? 」

どうにもエトワールにとってグライストの思考は受け入れ難いものだった。

「断罪する? 出来るものなら、とっとと結界から出て来いっ! 」

シオンの張った結界。それがグライストが大人しく待っていた最大の理由である。姿を隠しても意味を成さない相手である事は判っていた。

「フフっ、わざわざ結界を出る必要ないでしょ? 一人なら攻防に能力を分散させてはいられないけれど。せっかく殿方が守ってくださっているのだもの。無駄にしては失礼ですわ。」

そう言うと正面に両手を構えると手の中から光がまっすぐ伸びて杖となった。

「夜より暗き闇の底。悪しき魂眠る場所。今、光射して無に帰さん。聖女の断罪コンドミネーションドゥサンっ!」

強烈な閃光がグライストを包み込むとそのまま消失した。

「悪霊系に特効の消失呪文か。シスター、聖女系の上級呪文だが、初めて見たよ。」

「そりゃそうよ。殿方には使えないし、詠唱中スキだらけで一人じゃ使えない。使える人も多くないから、滅多に見られないレアものだもの。それに魔王軍って獣系が大半で悪霊系って少ないし。だいたい、この呪文、好きじゃないのよね。」

さすがにシオンも首を傾げた。どんな事象もお見通しでも、人の心情までは分からない。

「自分で聖女って名乗ってるみたいで嫌なのよ。」

「賢い者と書いて賢者という。だが自分の事を賢いと思った事はないからね。聖女だの賢者だの、肩書きが独り歩きするのは本人にとって迷惑なんだよね。」

それにはエトワールも激しく同意した。

「さて、エトワールはアルカのとこだろ? 」

「そうね。彼女も一応シスターだし。きっとリヴィエラも向かってるんでしょ? 」

シオンは軽く頷いた。

「それじゃ、私はアインのところに行くかな。オートンや… プラントも向かっているようだし。」

「男は男同士? なんか、合成獣士も気の毒ね。」

確かに武具の入手を妨げるつもりが武具を相手にしなければならないのは、合成獣士には気の毒な話かもしれない。だが同情などしていられない。世界の命運がかかっているのだ。二人は足早にそれぞれに散った。

次回はアルカ編

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ