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 それから、ショッピングモールへ行き、はるちゃんは新しい参考書を買った。そして、駅前の喫茶店に入る。喫茶店は駅前という立地条件の割には、人を選ぶ外観のせいか人の入りは少なかった。ランチには少し遅めの時間だということも幸いしたのかもしれない。


「葉那もはるちゃんを見習って、少し勉強したら?」


本日はるちゃんが買った参考書はいつもながら結構の厚みのあるものだった。


「わからない時ははるちゃんに教えてもらうからいいの」

「葉那さん、私もなんでもわかるわけではないんですよ」


はるちゃんは苦笑する。


「でも、学校の先生よりはるちゃんの方が分かりやすいんだもん」


葉那はプクッと膨れて見せる。それを見て璃子さんは笑った。


「でも、私、安心したわ」

「え?」

「はるちゃんみたいないい友達ができて」


璃子さんは優しい目をしている。なんだか嫌な予感がした。


「今まで、あの家に女の子一人だったでしょ。みんなを信用していないわけじゃないけど、やっぱり心配だったのよ。でも、これで私も安心できるわ」

「……あ姉ちゃん?」


葉那も不思議そうな声を上げる。


「私ね、今すぐってわけじゃないんだけど、今度、結婚するの。そうしたら、今まで見たいに来れなくなるからね。だから、はるちゃんみたいな子がいて本当に安心」

「え……」


璃子さんは微笑む。俺は信じられなかった。そして、葉那も唖然としている。


「璃子さん、結婚されるんですね。おめでとうございます」


はるちゃんだけは冷静だった。一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔を浮かべ、お祝いの言葉をのべる。


「ふふ。ありがとう。ずっと私の片思いだったんだけどね。やっと捕まえた彼だからから離したくないの」

「璃子お姉ちゃんが片思い?」


でも、葉那にはそっちの方が驚きだったようだ。


「そうよ。私だって片思いするのよ。初めはね、彼、私に見向きもしてくれなかったのよ。私、頑張って、やっとね」


そう言う璃子さんはとても幸せそうで。俺の入るスペースがこれっぽちもないことに気が付く。


「それで、葉那はどうなの?」

「どうって?」


いきなり変わった話題に葉那はついていけないようだ。首をかしげる。


「恋人」

「いないいないよ!!」


真っ赤になって葉那は首を振る。


「唯、どういうこと?」


葉那に説明を求めることを璃子さんは早々に諦めたようだ。すぐに俺に視線が移る。


「どうもこうもないですよ。まったく進んでいません」


葉那と涼の気持ちは璃子さんも知っているところだ。たぶん、気付いていないのは本人たちだけ。璃子さんは大きくため息をついた。


「葉那、いつも隣にいるからってそれが当たり前と思っちゃ駄目よ。本当に欲しいものはちゃんと捕まえておきなさい」



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