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 俺の今いる葉那の家は、俺の父親が設計したらしい。酷い話かもしれないが、親たちは俺たちが産まれる前から、こうなることを予測していた様だ。まさか、みんなが同じ年に産まれるなんて思ってはいなかっただろうけど。今ではその家にはるちゃんも加え、5人で住んでいる。それでも、まだ、大きな家の部屋は余裕があった。


「ただいま」


玄関を開けば、漂う食欲をそそる香り。今日の夕飯はハンバーグみたいだ。


「岩城君、お帰りなさい」


キッチンへ入ると、ハンバーグを焼くはるちゃんの隣で皐月が大根をおろしていた。最近、気がつけば、はるちゃんの側に皐月がいることが多い。葉那には涼がいるから仕方ないとしても、なんだが解せない。


「もう少しでできますので、葉那さんと椎名君を呼んでくれますか?」


はるちゃん自身はそれに気づいているのかわからないけど。綺麗に焼けたハンバーグを皿に盛り付けながら言う。俺は二人を呼びに行った。


テーブルの上に並ぶ色取り取りの食事。今日は和風ハンバーグ。ハンバーグの上にたっぷりの大根おろし、そして、刻んだ大葉が見目にいい。それから、サラダとコンソメスープ。本当に美味しそうだ。


「いただきます」


俺たちは両手を合わせて食べ始める。うん。いつもながら本当に美味しい。


「そうだ。はるちゃん。近いうちにお姉ちゃんが来るんだ。二、三日泊まるって言ってたから、ご飯お願いするね」


ふと思い出した様に葉那は言う。


「食事は大丈夫ですが……。葉那さん、お姉さんがいたんですか?」


はるちゃんは首をかしげる。今までそんな話は一度もなかったはずだから。


「違う違う。お姉ちゃんって言っても従姉妹だよ。私たちはみんなひとりっ子」

「ああ、そうなんですね」


はるちゃんは納得がいったと頷く。


「好き嫌いとか、アレルギーとかってあります?」

「大丈夫だと思う。はるが来る前は俺たちが作っていたけど、何にも言わなかったから」


それには涼が答えた。


「俺、海老フライが食べたい」


皐月の言葉にはるちゃんは苦笑する。皐月の海老フライのリクエストは週に一度は聞いている。


「本当に好きなんですね」

「那須の作る海老フライ美味しいから好き」


はるちゃんは苦笑を深くした。なんかそこ、二人だけの空気が漂っているんですけど。


「仕方ないですね」


はるちゃんはため息と共に言ったのだった。




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