14
璃子さんの部屋を後にして、俺ははるちゃんの部屋へ行く。
「はるちゃん、ケリをつけてきたよ」
俺はきっと泣きそうな顔をしたいたのだろう。はるちゃんは大人びた笑顔でそっと俺を抱き寄せた。
「岩城君、よく頑張りましたね」
そして、背中を優しくポンポン叩く。まるで母親が子どもをあやすようなしぐさ。俺は涙が溢れてきた。はるちゃんの肩に顔を埋め、声を殺して泣く。はるちゃんの手は俺が泣き止むまで優しく背中を叩いてくれた。
「……ありがとう、はるちゃん」
やっと、俺が泣き止んだかと思った時だった。
「ちょっと、皐月君。押さないでよ」
「俺だって聞きたいし。じゃあ、涼、場所変われよ」
「いや、待って。俺も気になるんだって」
扉の前から声が聞こえる。はるちゃんは俺からすっと離れると、部屋の戸を開いた。
「わぁ!!」
「えっ!!」
「ちょっ!!」
三人が部屋に転がりこんでくる。一体、いつから聞かれていたんだろう。俺は顔に熱が集まるのを感じた。
「……何しているんですか?」
はるちゃんは三人を見下ろす。
「いやね……」
笑ってごまかそうとしているが、はるちゃんはそれで許す雰囲気ではなかった。俺に背を向けているから、その表情はわからないけど、三人の顔は青くなっている。
「……唯君が璃子お姉ちゃんの部屋から出てくるのが見えて……」
「……そのままはるの部屋に入ったから気になって……」
「……唯のことも気になったし……」
しどろもどろに答える。はるちゃんは大きくため息をついた。
「……ちょっと、はるちゃんに慰めてもらっただけだから。もう大丈夫」
俺は三人に笑ってみせた。でも、泣いていたことはばれたと思う。気まずそうな顔をしていたから。
朝になって、璃子さんは帰ると言った。
「お姉ちゃん、もう帰っちゃうの?」
「言いたいことも言ったし、はるちゃんにも会えてどんな子かわかったからね。休みは二日って言ったでしょ」
璃子さんは苦笑する。
「……そう、だけど……」
葉那は名残惜しそうだ。
「また、絶対に来るからね。そんな顔しないで」
「……うん……」
わかっていても葉那は寂しそうで。璃子さんは苦笑いが消せないようだった。




