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掌編小説集8 (351話~400話)

電柱の上

作者: 蹴沢缶九郎

散歩の途中、幼い息子が電柱の上を見ながら父親に尋ねた。


「ねえお父さん、何で電信柱の上にゴミ箱があるの?」


「ゴミ箱?」


父親は息子が指差す方を見ると、そこには円筒状の、息子がゴミ箱と間違う変圧器があった。父親は大笑いして言う。


「あっはっは…、なるほど、ゴミ箱ね。あれはゴミ箱なんかじゃないよ、変圧器って言うんだ」


「へんあつき?」


「そう、あそこで電圧を調整して、家庭に電気を送るんだよ」


「…」


「お前にはまだ難しかったかな。ともかく、あれはゴミ箱じゃないよ」


「…ふーん」


父親の説明に、息子は納得のいっていない様子で返事をし、二人はその場を後にした。

そこから丁度近くの電柱で電線工事をしていた作業員は、酷くなった花粉症の影響からティッシュで鼻をかむと、父親が変圧器と呼んでいた物体の蓋を開け、中にティッシュを捨てた。


ゴミ箱だったのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 子供の頃、ずっとゴミ箱だと思ってました。 同じ視点の方がいて嬉しかったです。 [一言] 作業が終わると共に、そこにあったはずの変圧器(実はゴミ箱)も姿を消すんですね(笑)
[一言] 読ませていただきました。 電信柱の上にゴミ箱があるなんて思わないですし、父親が間違うのも無理ないですよね。
[一言] 花粉症の季節ですものね。常にティッシュと、ゴミ箱も携帯したいですよね。変圧器って、確かにゴミ箱の形だし。w
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