甲子園
退院してから、僕の体調はずっと悪かった。
本当は練習がしたかったけど、我慢して、大人しくベッドで寝ていた。
そこに、嬉しい朗報が届いたのだ。
プルルルル
「はい、もしもし神谷です」
「陽斗?俺。圭だけど、ちゃんと聞いてね…」
「うん…ゴホゴホ」
「なんと、甲子園出場が決まりましたー!」
「マジで!!良かった…ありがとう」
「陽斗、もう舞台はあるから…あとはしっかり体調整えろよ!」
「うん!絶対僕が優勝に導いてやる!!」
「そうだな。期待してるから」
「はい!」僕はそう言って電話を切った。
やっと行ける甲子園。
やっと夢を掴めるチャンスがやってきたんだ。
そして、あっという間に甲子園まであと一週間になった。
そして、やっと練習が出来る!!
「圭、みんな、ただいま~」
「おかえり、陽斗」
「早速だけど投げていい?」
「もちろん!全力でこいよ」そう言って圭はキャッチャー道具を着けた。
僕はマウンドに行って、土を慣らした。
久しぶりの野球は楽しくて、楽しくて、仕方なかった。
今まで長かった一週間も、凄く短く感じて、もう明日が甲子園だ。
去年とは違い、現地集合、現地解散みたいだ。
「あーくん、ありがとう」
「ん?いきなりどうした?」
「ううん。野球って楽しいね」
「そうだな。観てるこっちも楽しいよ」僕らは明日に向けて、早く寝た。
多分チームのみんな早く寝てるだろう…
<朝>
「おはよう」
「おはよう、体調はどう?」
「うん。大丈夫」
「じゃあ着替えてきな?朝ご飯作ってやるから…」
「はーい」
「お兄ちゃんたちおはよう」そう言って友ちゃんが起きてきた。
「一人で起きれたの!?」
「うん!友偉いでしょ?」
「うん。偉い偉い」僕はそう言って友ちゃんの頭をなでてあげた。
今は5時。友ちゃんは起きたことのない時間だっただろうな…
「よし、じゃあ出発しま~す」
「うん!」
「ひな君テンション高いな…」
「だって楽しみだもん!」
「そうだね」
そして、あっという間に甲子園球場に着いた。




