表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/94

先生

起きると、僕のベッドの隣であーくんと友ちゃんが僕の手を握ったまま寝ていた。

時計を見ると、夜中の3時で、僕はあーくんたちの手を解いて、周りを見渡した。

僕の腕には煩わしい点滴の管が3本付いていた。

僕はそれらをすべて抜いて、ベッドから降りた。

少しふらついて、歩けなかったから、車いすに乗って廊下に出た。


僕はタオルを使ってピッチングの練習をしていたが、すぐに息が上がってしまって、壁に手を付いて息を整えていると、

「陽斗君!?」そう言いながら少し遠くから涼矢先生が駆け寄ってきた。

「ハァハァ先生?」

「目、覚めたんだね。良かった…2日も眠ってたんだよ?って点滴抜いて来ただろ!!病室戻るよ」そう言って車いすを押された。

病室に戻ると、すぐにベッドまで抱えられて、点滴をし直された。

「もう先生これ邪魔なんですけど…」

「ちょっと我慢。ってか朝日たち起こす?」

「ううん、いい。ってか暇~先生…」

「うーん…じゃあ僕と話そうか。朝日たち起こさないように別の部屋行って…」

「はーい」僕が返事をすると、先生は僕を軽々と抱いて、車いすに乗せた。


それから僕らは、普通に世間話をした。

先生の愚痴を聞いてあげたり、僕の野球の話とか…

「そう言えば、僕、陽斗君の試合観たことないんだけど…」

「そーでしたっけ?」

「うん…」

「あっ僕甲子園で投げるんで、テレビで流れるんじゃないですか?」

「そうか!じゃあ絶対観るね」そう言って先生は笑った。


「陽斗君、ちょっと病院の巡回があるから空けてもいい?」

「了解で~す」僕はそう言って先生を見送った。

そして、さっき付けなおされた腕の点滴を見ると、やっぱり3本付いていた。

僕は何のための点滴か、点滴の表示を見て知った。

これを抜けば、発作がおきるんだ…


僕は甲子園で投げる。

優勝する。


だけど、僕の病気はそれを全力で阻止してくるんだ…


もう疲れた。

闘うのが…


そう思っている僕の手は点滴に延びていた。

そして、抜こうとしたとき、僕の手を温かいものが包んだ。


僕が顔を上げると、そこには…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ