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予選大会

「菊池~」

「はい?」僕はマウンドに投球練習をしにいく菊池に、

「今日の試合負けたら承知しないからな!」そう言った。

菊池は、はっきりとした口調で

「はい!絶対負けません!!」そう言い切った。

僕は少し安心できた。

でも…


本当は僕が投げたいんだ。


なのに…病気はそれを許してくれない。

神様は意地悪だ。


「陽斗、大丈夫か?」

「ん?ゴホゴホ…」

「まだ試合始まらないから休んどけって…」

「んーいや…」

「陽斗が体調悪いの知ってんだせ」

「マジか…」

僕は今日かなりきつい。

本当は今すぐ休みたいけど、みんな頑張ってるんだし…

「陽斗、マジで顔色悪いし…」圭がそう言ったとき、吐き気が僕を襲った。

「ごめん、圭。吐く…」そう言って僕は自分の手の中に吐いた。

「陽斗?」そう言いながら圭はビニール袋を持ってきた。


「ごめん…圭」僕は一通り吐いて、少し楽になった。

「陽斗、朝日さんの所行こーか…それとも来てもらう?」

「分かった、あーくんの所行くから…でも、試合はベンチ行く!」

「はいはい。じゃ、ゆっくり休めよ…」そう言って圭はあーくんに電話をし始めた。


「あっ朝日さん?圭です。陽斗がきつそうなんで、試合まで陽斗と一緒に居てください…」

「ごめんね、心配かけて。朝からひな君、具合悪そうだったから…」

「じゃあ今からそっち行きますね」

「あっううん。僕が迎えに行くから…」

「はーい、了解です」


「陽斗、今から朝日さん来るって。車だろ?ちゃんと寝とけよ!」

「うん…」


「ひな君、迎えにきたよ!」ってあーくんが僕たちの所にきた。

「……」

「ひ~な君、すぐそこだけど歩けるか?」

「ゴホゴホ…はぁはぁ」

「んー無理そうだな…」そう言ってあーくんは僕をおんぶした。

「あーくん…」僕は恥ずかしくて嫌だったけど、抵抗するだけの体力は無かった。

「圭君ごめんね、心配かけて…」

「いえいえ。でも陽斗は大丈夫ですか?」

「多分これ以上無理しなかったら大丈夫だから…」

「了解です」そう言いながら圭は練習に戻っていった。


僕はみんなに迷惑をかけてしまう。

みんなに心配をかけてしまう。


そんな僕でいいのだろうか…


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