夢のため
保健室に入ったあと、胃の中のものを一通り吐いた。
吐いて楽になったあとは、奥のベッドでゴロゴロしていた。
(暇だな…)とか思っていると、誰かが保健室に入って来た。
「神谷、大事な話がある。今体調いいか?」大宮先生みたいだ。
「はい。なんですか?」
「甲子園の予選大会のことだ…」甲子園…?
「神谷、最近体調よくないんだよな?」嫌な予感しかしない。
「まーぼちぼちですけど…」
「無理はさせたくない。だから…」
「嫌だ!嫌です…」先生の話を聞く前に、断った。絶対良いことでは無いはずだ。
「予選まで、2年のエース、菊池を使う。菊池なら、甲子園には行けるはずだ」
「僕はどうするんですか?」
「甲子園から投げてもらう。予選は無理するな…」
僕は予選投げられないの?
もし菊池が負けたら、投げないまま卒業するの?
そんなの嫌だ…
みんな無責任に『無理するな』って…無理くらいさせてよ。
「嫌だって言ったらどうしますか?」
「それでも菊池を使う。神谷はあくまで温存って形だ」
「温存…」
「お前が研究されたら、甲子園優勝が危なくなるだろ?」
「僕が投げなくて、甲子園に行けますか?」
「あぁ絶対。100%だ」大宮先生は自信満々に言った。
大宮先生は、嘘はつかない人だ。
そんな先生が『絶対』なんて言葉を使うのだから…
少しは菊池を信じてもいいのかもしれない…
でも、
もし負けたら承知しない!!そう言っておこう…




