部活2
グラウンドに向かう足どりは重かった。
それは例えなんかじゃなくて、本当に…
あーくんにはばれないように頑張っていたけど、やっぱり吐き気はするし、立っているだけで疲れてしまった。
今度は圭にばれないように頑張らなくちゃ…
「おはよー」
「おぉ陽斗おはよー」僕は何事もないように話しかけた。
「ピッチング練習しようぜ」
「あぁ…」そう言って圭は準備し、僕はマウンドに上がった。
まだ3球しか投げていないのに、僕の体力はもう限界で、軽い発作がおきてしまった。
「陽斗!!大丈夫か?」圭が心配そうに僕の所に駆け寄ってきた。
僕は息を整えてから、
「大丈夫…」そう言って立ち上がろうとした。
なのに体に力が入らなくて、マウンドに倒れ込んでしまった。
「はぁはぁ…ゴホゴホ」
「陽斗…」僕は圭の力を借りて、やっと立ち上がることが出来た。
「ごめん。ありがとう…」
「陽斗は休んどけ。きついだろ?」そう言って圭は僕を木陰まで連れて行った。
僕はめまいと悪化する吐き気、苦しくなってきた息に耐えながら、ただただ目をぎゅっとつぶっていた。
「神谷、今日はもう帰りな?」そう言って僕に近づいてきたのは、大宮先生だった。
「先生?」
「顔色も悪いし、辛そうだぜ?お兄さんに電話してあげるから…」確かに息は苦しくて辛いけど、一応薬もある。何より、まだ耐えられる範囲だ。
「大丈夫です…」そう言って立ち上がったとき、胸を締め付けられるような苦しみが僕を襲って、僕はその場に崩れ落ちた。
「神谷!?」
飛びそうになる意識を必死で保って、ポケットの中の薬を、口に放り込んだ。
痛みはあまり感じなくなって、息もだいぶしやすくなった。
「陽斗!!」駆け寄ってきてくれた圭に僕はもたれかかった。
やっぱり安心できた。
「陽斗、朝日さんに迎え来てもらおうか…」
「ううん。保健室行くから…」
「本当に無理すんなよ?俺もだけど、朝日さんはもっと心配するぞ?」
「はーい、おとなしくしてまーす」そう言って僕は圭と一緒に保健室に向かった。




