悲しい現実
今までの3年間、発作はおきたりしたけど、薬でなんとか押さえ込んで、あーくんや友ちゃんにばれずにやってこれた。
僕と野球でバッテリーを組んでいる、圭と、僕の主治医の先生以外の人は知らないことだ。
じいちゃんは、一年前、僕が高校に上がって少ししたころ、癌で逝ってしまった。
僕は『死』を目の当たりにして、悲しいと同時に少し怖かった。
僕の治療費は、今までじいちゃんが出してくれていたけど、じいちゃんが居なくなってからは、じいちゃんが残してくれたへそくりと、僕のバイト代。そしてあーくんからのお小遣いから頑張って出している。
高校2年生になってからは、発作が頻繁におきるようになった。
先生も、朝日に話したほうがいいと思うけど…って心配してくれたけど、まだ薬で抑えられる程度だから、言いたくなかった。
そしてここ一週間は、毎晩発作がおきるようになった。それは今夜も…
「ハァハァ」胸の痛みと息が上手く出来ない苦しさで目を覚ますと、胸の痛みに耐えながらリビングに行って、薬を飲んだ。
いつもならこれで収まるはずだけど、今日はなかなか収まらなかった。
30分、1時間…意識を保つことで精一杯になった。
視界は歪んで、頭が割れるように痛かった。
(次の日試合なのに…)そう思いながら壁を伝って、部屋に戻った。
ベッドに潜り込んでも息の苦しさなどは解消されなくて、あーくんたちを起こさないように、耐えるしかなかった。




