入院~残り1勝~
次の日も次の日も、その次の日も、僕の高校は順調に勝ち上がり、甲子園まで残り1勝となった。
予選最後の試合を見たかったけど、今日は朝から体調が悪くて、とても応援出来る状態ではなかった。
「ひな君~辛い所教えて」そう言われたけど、吐き気がして、答えられなかった。
「どうした?気持ち悪い?」僕が首を縦に振ると、あーくんはすぐに洗面器を持ってきて、僕の背中をさすってくれた。
このスムーズな動作は、流石医者だなって思った。
「あり‥がとう」吐き気はだいぶ収まったけど、めまいがして、頭がぼーっとしていた。
「めまいがして、頭がぼーっとする」と正直に言うと、
「めまいか…抑える薬持ってくるから、目をぎゅってつぶってごらん?」そう言ってあーくんは病室を出て行った。
目をつぶっていると、多少は楽になってきた。
「ひな君お待たせ。5分くらいしたら効いてくると思うから…」そう言ってあーくんは僕の頭をなでた。
「眠くない?寝たほうが楽だと思うけど…」だいぶ眠かったけど、
「眠くない!野球見る!」そう言って僕は眠気と格闘した。
「はいはい。お兄ちゃん仕事するけど、きつくなったら連絡するんだよ」と言うと、あーくんはテレビを付けて、病室を出て行った。
でも、結構息が上がってきて、野球の内容なんて頭に全然入って来なかった。
たまに様子を見にくるあーくんも、
「野球見ずに寝たら?辛いよ?」そう言って僕の頭をポンポンした。
「嫌だ」と僕が言うと、
「じゃああと1時間でお兄ちゃん上がってこれるから、その時寝ような」と言って病室を出て行った。
「ひ~な君。寝ような」とあーくんが病室に入ってきた。僕はだいぶ限界で、言うとおりにするしかなかった。
「うん…」そう言って目を閉じた。眠たいのに、息が上がって眠れなかった。
「ひな君辛いな。熱もある見たいだから、解熱剤入れよっか。少しは楽になると思うけど…」
「分かった…」まためまいもしてきて、かなり辛かった。
「あーくん…」目を閉じて、あーくんの腕を掴んで、必死に耐えた。
「朝日、持って来たぜ」そう言って凉矢先生が解熱剤とか色々持ってきてくれた。
「陽斗君、辛そうだな…何度あった?」
「まだ測ってないけど、結構あるだろうな…」とあーくんが言うと、
「測っとくか」と言って僕の脇に体温計を挟んだ。
測り終えた体温計を奪うようにして表示をみたあーくんが
「やべ!本当にひな君寝かせないと」そう言って焦った。
「朝日、何度?」
「41,6度」えっそんなにあるの?
「ごめんな、気付かなくて…結構辛いよな」そう言って僕のおでこに手を当てると、
「おやすみ」って言って、僕が寝るまでずっと頭をポンポンしてくれた。
あーくんの手は冷たくて気持ち良かった。




