深夜の発作
胸の痛みで目を覚まして、時計を見ると、午前3時半を指していた。
「ハァハァゴホゴホ」ナースコールを押そうと思ったけど、あーくんを起こすわけにはいかないと思って、耐えることにした。
布団を頭から被って、胸のあたりのシャツを掴んだ。
「ハァハァ」耐えられない苦しさではなかったが、痛みをやわらげる方法がなくて、辛かった。
「あーくん」とつぶやいていたが、誰にも届くことなく消えていった。
真っ暗で静かな病室に、僕の荒い息だけが響いていた。
「ひな君おはよう」あーくんが僕の病室に入って来た。
発作はもう収まっていて苦しくなかったが、眠れなかった分、かなり眠たかった。
「ひな君汗酷いけど夜なんかあった?」そう聞かれたが、
「ううん。なんにも」そう言ってごまかした。
「ひな君。体温計っとこうか」そう言われて計ったが熱はなく、明日の朝退院出来ることになった。
「あーくん。僕眠いから寝るね」そう言って僕は眠りについた。
「ひ~な君。もう夕方だけど…」もうそんな時間なのか。
「あーくん。起きた方がいい?」
「眠いなら寝ててもいいけど、夕ご飯は?」そう言われたけど、お腹はすいていなかったし、
「いらない」って答えた。
「ひ~な君。消灯時間だけど、眠くないならお兄ちゃんいるけど?」
「うーん、寝る。あーくんも寝ていいよ。おやすみ」そう言って布団を被って眠りについた。
今日も胸の痛みで目を覚ました。
「ハァハァ」昨日より息がしづらくて苦しかった。でも、ナースコールを押さずに耐えることにした。
「ハァハァあーくん…」そうつぶやいたとき、僕の病室のドアが開いた。