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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

サンタクロース~聖夜の咆哮~

聖夜ということで作ってみたです。メリークリスマス。

 それは、映画として上映と共に問題作として話題に上った映画だった。

 ラ○ボーのパクリじゃないのか? 子供の夢を壊し過ぎる! 何故こんな映画を作ったんだ!?

 そんな声を無視するように上映された映画は、世界中に衝撃を与えた話題作である。


 内容は一人の定年間近のサンタクロースが主人公。名前は聖人になぞらえニコラウスになっていた。

 ある聖夜の夜、今日が最後の夜になるなと彼が相棒のトナカイたちにソリを引かせて空を駆けていた。

 シャンシャンと音を鳴らし夜空を掛ける彼を突然衝撃が襲う。


 爆撃されたソリは粉微塵に吹き飛び、彼はトナカイ共々落下、運良くモミの木がクッションになり生存するが、彼は軍隊に囲まれる。

 訳が分からず両手を上げるサンタクロース。その身体から、軍隊は帽子を服を、そして大切な子供たちのプレゼントが入った袋を奪ってしまう。


 それは子供たちの夢が入った袋だ。止めてくれ。そう叫ぶ彼に銃のグリップが襲い掛かり、意識を狩り取った。

 ブラックアウトした意識、次に彼が意識を取り戻すと、裸一貫で雪の中に取り残されていた。

 周囲を必死に探すニコラウス。

 いけどもいけども雪ばかり、謎の軍隊も自分の持っていた袋も服も見当たらない。


 やがて、二匹のトナカイを見付けて駆け寄った。

 高所から叩き落とされ、一匹は死んでしまっていた。

 その身体を抱きしめ泣き崩れるニコラウス。そこに、もう一匹のトナカイが身体を起こして彼を舐める。


 理不尽だ。私が一体何をした? サンタクロースの慟哭が響く。

 それが、物語の始まりである。

 次に始まるのはサンタクロース協会による地位の剥奪。袋を取り返すまではサンタクロースであることを禁止するという手痛いモノであった。


 彼は失意のままトナカイと共に自宅へ戻る。

 しばらく、辛い日々が続いた。

 その中で、彼の悲哀は徐々に黒く、黒く変色していく。


 なぜ、私がこのような目に遭わねばならぬ?

 なぜ、トナカイが死ななければならない?

 自分たちが不幸になったのは、あの軍隊のせいだ。

 ああそうだ。あの軍隊が悪いのだ。


 そんな折、彼とライバルであったサンタクロースが彼の家を訪ねて来る。

 ライバルの言葉は辛辣だった。彼の落ちぶれた姿を見て暴言を吐き捨てる。

 お前にはもう無理だと。どうせ今年で定年だったのなら、もうサンタクロースを止めてしまえ。

 そんな言葉に、彼は切れた。

 ライバルが背中を向けた瞬間、彼を背後から襲ったのだ。


 初めての人殺しに戸惑い憔悴するニコラウス。

 しかし、そこで目に入ったのは、ライバルの持っていたサンタの袋であった。

 サンタの袋。それは子供たちの望む物を取り出す事が出来る。

 つまり、取り出すサンタが自由にその袋からプレゼントを取り出す事が出来るモノであった。


 ただし、所有者のサンタが存在する間は、そのサンタしかプレゼントを取り出せない。

 サンタクロースは迷わなかった。

 もう、手を汚してしまった自分なのだ。ここから先は、私はサンタクロースではない。復讐に生きる者である。


 その日から、ニコラウスは身に纏う衣服を赤から黒に変えた。

 ブラックサンタの誕生であった。

 ライバルを人知れぬ場所に埋めたブラックサンタはライバルの袋を担いで相棒のトナカイと共にライバルのソリに乗る。動くのを確かめ、まずは偵察。

 敵の戦力を眺め、今の自分では勝てないと、一度自宅へと舞い戻る。


 さぁ。反撃を始めよう。サンタに悪さを行う悪い子に、ブラックサンタがお仕置きだ。

 ブラックサンタは鍛錬を始めた。でっぷりとした身体を一から鍛え抜き、敵を倒せる身体に作り直す。

 そして、一年後の12月。聖夜の咆哮が響き渡った。


 サンタの袋を研究していた軍事施設に、ベルの音が近づいていた。

 シャンシャンと空を掛ける一台のソリ。

 黒いサンタ服に身を包んだ一人の男が袋から爆弾を取り出し投げ捨てる。


 突如施設が爆破。軍は蟻の巣を突いた状態になる。

 ソリから降りた途端、袋から銃を取り出し乱射するブラックサンタ。

 あるいは手榴弾を取り出し相手を爆砕。

 軍を相手にたった一人で戦争を仕掛けたのである。


 その闘いは、まさに悪魔の様な無双であった。

 ただのサンタクロースとは思えない程に銃を扱い、危機察知能力を見せ、生き汚なさを見せつける。

 背後から忍び寄りグキリと首の骨を折る姿が印象的だったと噂される冷酷さだった。


 戦闘機を相手にソリでマシンガンを打ち込み、戦車に対戦車ミサイルで対抗し、もはやどこの軍人だといえる程に大暴れ。

 結果的に司令官を蜂の巣にして袋を取り返す。その際に告げた英語の台詞、「これが君へのプレゼントだ」はその年の流行語になった程である。


 余りにも衝撃的な映画だが、なぜか人気がでたようで、翌年、サンタクロース~聖夜の惨劇~が制作されることになり、以下続々とシリーズが続くのだが、結局ラ○ボーのパクリ疑惑だけは払拭することはできなかった。


 近年ではトナカイがサンタクロースを庇って死に、メカトナカイとして無双をしだしたのが話題となっている。

 口からミサイル、火炎放射気、前足のロケットランチャーに超振動ブレードホーンなど、もはやSFじみてきたこのシリーズが、何処に向うのか、ファンの間でもいろいろと意見が分かれているようである。


 ちなみに、今は副監督が監督となり次回作を作成しているのだが、現役引退を行った監督とまた違った作風になるのではとファンから嘆きの声が上がっていたりする。

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― 新着の感想 ―
[一言] 斬新なサンタクロースですね。続編の聖夜の惨劇というのも気になります。
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