潜水艦隊欧州を征く
連続投稿です
1941年5月 大西洋
護衛に守られながらイギリスに向かう船団が潜水艦の攻撃を受けていた
「敵潜水艦の反応をロストした…」
「輸送船がまた一隻やられたぞ」
「今の魚雷の雷跡は見えなかった」
「ソナーで反応を捉えたのにすぐに範囲外に逃げただとなんて水中速度だ…」
マダガスカル沖で捕獲されたイギリスの艦から暗号表を入手した日本軍は伊200級を大西洋に進出させた。水中速度が速い伊200級の活躍は水上速度が速いドイツの潜水艦に慣れていたイギリス海軍を恐怖させ、ドイツの水中高速潜水艦の開発を促進させた。
この頃の日本では官民の造船所が高速輸送船の1号輸送船と2号輸送船、戦時急造艦の松級駆逐艦に伊200級、輸送兼補給潜水艦である丁型潜水艦(伊300級)の量産が進められ、大型のドックでは更に大型の伊400級や伊400級の拡大型の伊500級が建造されていた。南方を入手してから天然ゴムが手に入るようになったため、この頃から潜水艦の船体全体をゴムで覆い日本軍の潜水艦も高い静寂性を持つようになっている。
伊500級
全長 180m
全幅 18m
排水量11500トン
艦載機数9機
武装
533mm魚雷発射管×4、連装25mm×4
1937年に建造された伊400級だったが運用の結果、艦載機数が4機と少ないため数が必要ということが分かったため急遽伊400の拡大型として伊500級が建造された。建造途中で伊200ように水中高速型に計画が変更され涙滴型になっている。次世代潜水空母も開発中だという。
伊400級
全長 120m
全幅 12m
排水量7300トン
艦載機数4機
武装
533mm魚雷発射管×8、連装25mm×4
1935年に第二次ロンドン海軍条約を締結したために戦艦の性能は似るが数で英米に負けているため戦艦以外で戦艦に対抗する事ために海軍は駆逐艦の強化に加えて航空機と潜水艦にも力を入れていくようになり、史実より数年早く水車式95式酸素魚雷が登場したりした。そんな中、第二次ロンドン海軍条約でも潜水艦の数が制限されているためそれまで甲乙両に分けていた潜水艦を一つにまとめようと言うことになり、甲型の司令部機能、乙型の航空機搭載機能、両型の攻撃力を併せ持った潜水艦として伊400級が建造された。弱点は建造に時間が掛かることと値段が高いことである。
特別水上攻撃機“晴嵐”
全長 10m
全幅 12m
航続距離 1800km
武装
12.7×1、800kg×1か魚雷×1、250kg×2
伊400級、伊500級用に開発された小型水上攻撃機、飛行挺や輸送機の川西の自信作、発艦と同時に両翼下のフロートを捨て570kmという艦上戦闘機並のスピードを出せる(非爆装時)。着水は胴体下にプロペラが水面に接触する事が無いように強風の持つような大型フロートを直接機体に着いている、それを使い飛行挺のように胴体着水を行う、そのため全高が高くなっている。正面から見ると機体とフロートで低翼を挟んだ形をしている。
伊300級
全長 74m
全幅 9m
排水量 3800トン
武装
連装25mm×4
史実の伊372潜水艦とほぼ同じ潜水艦、船内に90トン船外20トン分の航空燃料や艦船用燃料、物資を搭載できる。対空兵装しかない純粋な輸送兼補給艦。
1942年5月深夜 フォークランド沖
伊500二隻、伊400級三隻が浮上した
「アルゼンチンを枢軸に引き込む為の手土産にここが必要なのか…」
「ここはイギリスとアルゼンチンが領有権を争っているところですからね」
「急いで晴嵐を発艦させるんだ」
「全艦艦首を風上に向けて最大戦速で艦載機を発艦せよ」
このフォークランド上陸作戦は日独初の共同作戦でドイツは仮装巡洋艦で上陸部隊を乗せフォークランドに上陸、日本の潜水空母から発艦した艦載機が港の艦やイギリス軍基地を攻撃しフォークランドを占領、アルゼンチンを枢軸に引き込むと同時に南大西洋に拠点を築く事が目標だった。日本も最初は空母を送ろうとしていたが、イギリス軍に察知されてはマズイということで99式水上攻撃機を搭載する潜水空母を送ったのだった
「艦載機発進準備良し」
「急いで発進させろ、ドイツがもうすぐで上陸するそうだ」
危険な夜間発進だったが晴嵐24機は無事に発進した。なお伊500級から艦載機は危険だが艦載機の発進はスピードが命として圧縮空気式カタパルトから火薬式カタパルトに変更されていた
「全機、低空飛行でフォークランドに向かうぞ」
翼下のフロートを投棄しレーダーを掻い潜るため低空飛行でフォークランドに向かっていった。
フォークランド 港
フォークランドには巡洋艦1と駆逐艦3が派遣されていた
「貨物船が三隻入港するらしいが様子が可笑しいから監視していろ」
ドイツの仮装巡洋艦は見た目は貨物船なため反撃無しにフォークランドに入港出来た
「レーダーから沖合から此方に向かってくる航空機が写ったと連絡があったのですがどうしますか?」
「枢軸にこんなところまで飛んでこれる航空機が有るわけが無いだろ、第一に日本の空母が大西洋に進出したという情報は無い、恐らく見間違いだろうなレーダーもまだまだ信頼出来ないからな」
「そうですか…なら良いんですが」
数十分後
「航空機接近、翼にミートボールが描かれています」
「なんだと何処から現れた」
晴嵐隊は魚雷を懸架した対艦部隊10機と250kgを懸架した対地部隊24機の二つに別れイギリス軍基地を奇襲した
「全軍に連絡、我攻撃成功せり」
航空魚雷を喰らったフォークランド派遣艦隊は大破着底しイギリス軍基地にあった兵舎やハンガーを破壊した。攻撃成功の連絡を受けた仮装巡洋艦からはドイツ軍が上陸し混乱するイギリス軍を各地で撃破していった。そして、夜が開ける頃にはフォークランドの制圧を成功しフォークランドをアルゼンチン政府に引き渡した。
同日中にアルゼンチン政府は枢軸として連合軍に宣戦布告、フォークランドの防衛をドイツ軍に委任し防衛と引換に物資の補給を行うと発表し、アルゼンチン政府は物資を満載した輸送船と埋め立てて陸上砲台とするための旧式弩級戦艦二隻を派遣した。
イギリス
「首相、フォークランドが枢軸に占領され、アルゼンチンが枢軸として参戦しました」
「フォークランドは今どうなっている?」
「多数のUボートや伊号潜が入港し補給を受けています」
「不味いところに補給基地を作られてしまったな、急いで奪還するんだ」
「それがアルゼンチンの弩級戦艦が埋め立てられたようで砲が30センチだといっても埋め立てられた戦艦を撃破するのは困難でして…またドイツ日本両軍の航空機が既に運び込まれたようで奪還は困難だとの事です」
「畜生、このままではインド航路はおろかアフリカとの航路も潰されてしまうぞ、なんとかしてこの状況を打開しないと…」
その時、秘書官が急いで入室してきた
「首相、遂にビスマルクを捕捉しました。今フッドとプリンスオブウェールズが急行しています」
「良し、なんとしてもビスマルクを撃沈しろ」
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