マダガスカル沖海戦3
扶桑級が頑張ります。
KGVのレーダーには大きな影が写った
「上部艦橋から敵戦艦は扶桑級だとの報告です」
「砲数は10対24か…二倍近い差があるが相手はユトランド海戦以前に完成した超弩級戦艦だ。真上からの攻撃に弱いだろう、砲の口径は我が艦が上だ。まだ距離はあるが射程内だ砲撃を始めろ」
KGVは全ての砲を西村艦隊に向けて調整射撃を開始した。多連砲塔になるほど散布域が拡がるため、砲の調整には時間が掛かった。特にKGV級は砲塔の配置が424と連装数が違う砲塔があるため調整には時間が掛かった。
西村艦隊
「敵戦艦発砲してきました」
「相手はイギリスの最新鋭戦艦、片やこちらは艦齢26年と24年の老いぼれといったところか…勝っているのは恐らく砲数だけだろうな、敵戦艦との距離は?」
「37000です」
「このまま直進し距離を詰める。なーに艦砲なんざそうそう当たらないさ」
「了解しました。古鷹、加古に先行させ敵巡洋艦と駆逐艦を抑えさせます」
扶桑級二隻は単縦陣のまま最大戦速でKGVとの距離を積めていった
「扶桑が狭差されました」
「敵戦艦との距離は?」
「33000です」
「この距離で狭差させてくるとは流石はイギリス海軍だ」
イギリス艦隊
「司令、敵一番艦に狭差しました」
「良し、同調射撃に切り替えるんだ。一隻ずつ仕留めるぞ」
それまでは調整の為各砲塔が一発ずつ順々に撃っていたものを狭差したため各砲塔の砲を同調させ全砲塔での砲撃に切り替えた。
西村艦隊
「敵戦艦が同調射撃を開始しました」
「敵戦艦との距離は?」
「32000をもうすぐ切ります」
「少しばかり遠いが射程内だな、こちらも調整射撃を開始する」
「扶桑と本艦の砲雷科ならこの距離でも当ててくれますよ」
扶桑、山城も距離31000から砲撃を開始し扶桑が3射目、山城が5射目で狭差したためこちらも同調射撃を開始した。
イギリス艦隊「敵戦艦も同調射撃を開始しました」
「敵の練度は相当なものだなしかも、我々は砲数が10対24で不利だ、先に仕掛けたのに我々が押されるとはな」
「敵一番艦に一発命中しました」
「ようやく命中したか、このまま撃ちまくれ」
西村艦隊
「扶桑に命中弾1、損害は軽微だそうです」
「距離が30000を切ったからな、ここからが本番だ」
山城に砲を同調させた二隻は一番砲塔から順々に36センチ砲を放っていた
「敵戦艦に着弾しました」
日本軍は砲数と観測機、熟練兵の技術によりKGVに次々に命中弾を出していったがKGVの装甲は対38センチ砲ということもあってKGVの戦闘力は落ちていなかった。
イギリス艦隊
「敵戦艦の主砲は良く当たるな」
「本艦は完成したてで乗組員があまり慣れていませんからね」
KGVは扶桑級の砲を耐えていたが撃った弾は当たっていなかった
「こちらも観測機を上げろ」
「先ほど発進しましたが敵観測機が戦闘機並の格闘性能でこちらの観測機を撃墜しました」
「日本軍の航空機は我々が知らないうちに相当進化したようだな」
「我々は今まで根拠の無い黄色人蔑視で甘く見ていたつけを今払わされているのでしょう」
「確かに日本は長門級に妙高級、特型駆逐艦を建造した国なのに、まともな船を作れてもまともな航空機は作れまいと侮っていたからな…それこそ傲りだな」
「司令、敵一番艦に命中弾、敵三番砲沈黙しました。また、それ以降敵一番艦の三番砲以降の砲の砲撃が止まりました」
「何らかの不調があったのか?とにかく目標を敵一番艦から敵二番艦に切り替えろ」
「了解しました」
西村艦隊
「扶桑から入電、三番砲沈黙、更には三番砲以降の砲との同調が寸断されたとの事です」
「戦艦の砲は同調しなければ意味が無いからな、扶桑はどうすると言ってきている?」
「敵は扶桑から狙いを我々に移したようなので、扶桑は敵戦艦との距離を詰め主砲を発射するそうです」
「成る程…距離を詰めれば主砲が同調しなくても命中は望めるからな、本艦は敵戦艦を引き付けて扶桑に距離を詰めさせるんだ」
扶桑は使用可能な全門をKGVに向け距離を詰め始めた。
イギリス艦隊
「敵一番艦が距離を詰めてきます」
「おそらくは距離を詰め至近距離から砲撃するつもりだろう。敵一番艦は引き付けて砲撃を行う、近付くまで砲撃を敵二番艦に集中しろ」
KGVは山城へね攻撃を続けた。
西村艦隊
「敵戦艦は狙いをこちらから変えてません」
「敵戦艦は扶桑の狙いを察しているな…」
距離は遂に25000をきり、命中弾も増えていった
「五番砲塔付近に被弾、カタパルト破壊されました」
「敵二番砲塔が沈黙しました」
「扶桑がもうすぐ20000をきります」
扶桑とKGVとの距離が20000をきり扶桑も砲撃を始めた
「扶桑が砲撃を開始しました」「後もう一踏ん張りだ、一気に攻めきるぞ」
KGVも狙いを至近距離まで近付いた扶桑に改め砲撃を続けた
「扶桑被弾3、5、6番砲塔と後部艦橋が殺られ速力10ノットに落ちます」
「敵戦艦の損害はどうなっている?」
「2、3砲塔が沈黙しています」
KGVは被弾から火災が発生し速力も落ちながらも攻撃の手は休まなかった。
イギリス艦隊
「司令、本艦はもう限界です」
「他の艦はどうなっている?」
「空母の護衛を行なっていた駆逐艦三隻以外は撃沈されました」
「これまでか…退艦命令を出せ、残存艦には個々の判断に任すと通達しろ」
「了解しました」
KGVは退艦命令が発令された。
西村艦隊
「敵戦艦に退艦命令が発令されたようです」
「他の艦はどうなった?」
「古鷹と加古から敵巡洋艦と駆逐艦を撃沈、残存艦三隻を降伏させたそうです」
「本艦の被害はどうなっている?」
「本艦は小破、扶桑は中破といったところです」
「しばらく内地のドックに戻ることになりそうだな」
「そうですね」
この後、損傷した扶桑級と駆逐艦五隻はマダガスカルから修復可能なシンガポールや内地に後退しマダガスカルには伊勢級高速戦艦二隻が母港として使用する事となり扶桑級の穴を埋めることとなった。
しかし、この海戦で鹵獲された駆逐艦三隻から無線の暗号表やヘッジホッグなどの後の戦場に影響を与えるものが日本軍にもたらされた。
感想や間違いの指摘
お待ちしてます。




