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近くて遠い。  作者: 芽以
3/9

本性現る…?



 5月半ばになり、学校や部活の雰囲気に少し慣れてきた頃、部活で親睦会を開くことになった。


「みんな空いてるとこ座ってってー。」


 部長が声をかける。梨木先輩はどこ座るんだろ。そんなことを思いながらふらふらしていた真菜実は、あっち空いてるからあっち行こー!と言う実希に連れられ、結局先輩のいるテーブルではなく、その横のテーブルに座ることになった。


「うぅ、先輩と離れちゃったな…。」

「ん?どした?」

「えっ?あ、あぁっ、お腹空いたなーって。」

「そだねー。何食べる?」


 危ない危ない。さっきの、声に出ちゃってたか。気をつけなければ…。


「それ、おいしい?」

「うん、おいしいよー。」

「そんじゃ一口ちょーだい。」

「じゃ私もいただきーっ。」


 それぞれ注文したものが届いて互いの皿をつつきあいながらの食事タイムも落ち着き、それからは好き好きに騒ぎ始めた。真菜実たちも他の1回生や先輩と仲良くなり、趣味や好きなドラマやアニメの話で盛り上がっていた。


「白坂さん。」


 隣のテーブルにいた、あまり話したことのない先輩が突然声をかけてきた。


「?はい。…?」

「柚香ちゃんがね、かわいいって。」

「へ?」


 ど、どういうことだ…?梨木先輩が1回生の紹介か何かしてて、あの子は白坂さん。かわいいでしょ。とか言ったりしてたのかな。うわーっ、何それめっちゃ嬉しいじゃん。そんで、それを聞いたさっきの先輩(松野先輩っていう名前らしい)が梨木先輩をからかったとか?


 梨木先輩の反応が気になったが、残念ながら真菜実の位置からでは確認できなかった。しばらくして先輩たちが席を移動し始めたので、松野先輩と梨木先輩がさっきより近くなった。そしてまた、


「白坂さん。」

「は、はいっ。」


 声をかけられた。しかし今度は何も言われなかったので、きょとんとした顔で頭の上に『?』マークをたくさん浮かべている(くらいの気分でいる)と、


「かーわーいーいー!!!」


 私はそれまで松野先輩に向けていた視線を、その向こう側に向けた。


「な、梨木先輩?」

「あーもー!かわいいよー!」

「え、なっ、あの、その、えぇぇっ!?」

「ねぇ、私もう無理だぁーっ。かわいすぎてやばいよぉ!」


 突然のできごとに、何も言うことができなかった。今まで一緒に活動してきて、そんな風になった先輩は見たことがない。こないだの「かわいいね。」と今のとじゃ、テンションがまるで違う。今までの印象は、いつも優しく教えてくれて、たまにちょっと失敗しちゃってあたふたしてて、真面目で、おもしろくて、かわいい先輩だった。というか今もそれは変わらないけどっ!っていうか、そんな状態になってるあなたこそかわいすぎてやばいんですけどっ!!! …もうっ、この状況はいったい何?どういうこと!?


 梨木先輩は、私のこと…。







 …ってまぁ、恋愛感情の「好き」ではないよね。



 ヘタレな私は、『きっと先輩も私のこと好きなんだ!』なんて思うことができなかった。




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