脳内デート
2番ホーム準急池袋行き3両目、後ろから2番目右側のドアの前、
そこが僕の特等席。
混雑した電車の中で、なぜかそこだけが毎日人一人分ポッカリ空いている。
もう少し奥に行けば、手すりなどに寄り掛かり、らくな格好をとれなくわない
それでも、僕が毎朝こんな支えもなく狭苦しい場所に立つのは、彼女に会うためだ。
彼女は、毎朝登校する時、決まってここの隣の手すりの前で外を眺めている
年齢はおろか名前さえも知らないが、あの制服は多分有名なお嬢様学校の物だろう
都内で1.2を争うバカ高校に通う僕とは、住む世界が違う人だ。
2回ほど目が合うことがあったがきっと「バカ校の男子がいる」ぐらいにしか思ってないだろう
もしかしたらそれさえも思ってないかもしれない、
彼女にとったら僕は、空気みたいな存在なんだろう・・・。
だから声は、絶対にかけない
いや、こんな傍聴者のいる中で、声をかけられるほどの度胸を僕は、持ち合わせていない
けれど毎朝彼女の外を眺める横顔に、綺麗な黒髪に、心臓を大きく動かしているのも事実だ。
その想いは、日を追うごとに強くなっていった。
彼女を見続けてから2週間後、頭の中で彼女に話しかけるシュミレーションをしてみた。
その中の『彼女』は、笑顔で僕の言葉の受け答えし、携帯のアドレスまで交換する。
その日から僕と『彼女』の関係が始まった。
僕が電車に乗ってから彼女が電車内に居る時間は、非常に少ない
それと比例するように『彼女』と会える時間も少ない・・・。
だんだんこれだけじゃ物足りなくなってきた僕の頭は、さらに過激を増し、
1ヶ月がたつ頃には、『彼女』とデートをして
2ヶ月目に入ると僕たちは、恋人になっていた。
今では、『彼女』とのデートは、日課になり毎朝手をつないで電車に乗っている。
しかし、冬休みに入り、特に部活などにも入っていなかった僕は、
電車に乗る機会も無く『彼女』会えない日々が続いた。
それが僕には、耐えられなくて1月の始め頃、いつもの電車に乗り『彼女』の会いに行った。
けれど『彼女』がいるはずが無く、そのまま死んだ魚のように終点まで流されていった。
人の流れに乗って改札口まで歩く、
他人から見ればひょろひょろとジグザグ歩行をした変なヤツだったかもしれない。
あと3歩で改札口、のとこで『彼女』とすれ違った
僕に気が付かなかったのか『彼女』は、僕の横をすり抜けて歩き続ける
「まてよ!久しぶりに会ったのに!!」
夢中で『彼女』に駆け寄り肩をつかんだ
「は?あんた誰?」
怒った顔でこっちを睨み僕の手を振り払っらて行ってしまた。
目が覚めたような気分になる・・・。
どうやらやっぱり彼女にとって僕は、空気と同じ存在だったみたいだ。
何かよくわからない話になってしまいました。
『彼女』は、僕の創り出したもので彼女とは、違うと思ってくれればわかりやすいかも・・・。