人間
人間って不思議なものだ。
いつも何かを考えていなくてはならない。
マグロは泳ぐことをやめてしまったら死んでしまうように、人間も何か簡単な単純なことだけでも考えていないと死んでしまう。
愚かなのか、愚かじゃないのか・・・決めることが出来ない。
そう考えている中の一人が俺。
『単純な生き方なんてさせてくれない世界が広大に思えても、儚く枯れ消え行く存在だと思っていたい。』
インターネットを開いて、自分は宛てもなく検索を彷徨っていた。
『心理』
『人間の心理』
『人間物理学』
『人間...、人間...』
瞬く間に、履歴がいっぱいになってしまった。
自分の考える事が、他の人はどうとらえるのか?
俺は、壊れている風に見えるのだろうか?
ただ、それを追い求めてパソコンに向かうなんて・・・
人間は、どうして生きているのか?
どうして恋愛感情なんてものを持っているのか?
人間は、今まで正しく刻まれていたこの世に生きる生物の連鎖を壊してしまっているのではないか?
パソコンを閉じて、目を瞑り、瞑想の域に達する。
ただ、風が軽く吹くだけで音はしない。自分の心は地の果てまでを旅しているように明らかに、ここには存在しなかった。
ただ静かな時。
つまらないのが心地よいような、なんか自分なんていなくなればいいのになんて。
そう、思った。
難しいことを考えているから、面倒臭くなってくるもんなのか?
こんなことを考えていることに自己嫌悪。
パソコン専用のイスから立ち、ベッドへ寝転がる。
「明日は学校かぁ・・・。」
現実のことはかなり昔のことだったように思う。
それに、思い出すことは憂うつにほかならない。
『なんで、学校にいく必要があるのか?』
なんて、学生なら誰でも考えることを日常茶飯事に悩む。
『どうして、俺はそんなに考えるんだ?』
自分が一番の謎で、他の人たちのことは自分よりか差ほど気にかからない。
自分が大切なのか、それはわからないけど。
天井の色は白いけれど、陰の関係で黒部分が3分の2ほどある。そこに、吸い込まれるような嫌な感じと、そうでもない自分がいる。
ここで、吸い込まれていけば現実から遠のくことが出来るのではないか?
これは、現実から逃げていることになるのか?
目を瞑り、手をかざして光と影の間を行き来するような感覚を自分で見出してみた。
手が自然に下り、意識がとんだ――――
『嵐・・・そう、嵐の中。』
ここは、山小屋の中。
風が凄い勢いで、窓ガラスを襲う。
俺の隣には、幼い女の子。
怖がっているようで、俺にしがみついていた。
他には誰もいない。
窓ガラスには、破損を防ぐための木が釘で貼り付けていた。
テーブルが一つにイスが四脚。暖炉があるが、季節はそんなに寒くない時期らしいのでついていない。
女の子は、俺がボーっと小屋の中を眺めていることに気付き、服の袖を引っ張る。
俺は、それに気付き答えた。
「嵐は、ここの中には入ってこないよ。」
女の子は首を振る。
「ん?」
俺は、女の子の返答を待つ。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんは嵐が止んだらどっかいちゃうの?」
女の子の顔は、無表情に近いが、どこか泣き出しそうにも思えた。
「・・・どこにもいったりしないよ。」
俺は、自分のあっさりした言葉に驚きながら女の子に笑顔を向けた。