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第40話――闇魔将の心得――


城の回廊を、ホークスはゆっくりと歩いていた。

高い天井。

磨き上げられた黒い石の床。

壁にはレイナス王国の歴史を描いたと思われる大きな壁画が並んでいる。

案内役として先を歩くのは、騎士団長だと言うレギンだった。


鎧の擦れる音が静かな回廊に小さく響く。

「……そういえば」

不意にレギンが口を開いた。

「ホークス殿は、六魔将の方々の事をどこまでご存知ですか?」

振り返らずに問いかけてくる。

ホークスは少しだけ考え、肩をすくめた。

「詳しい事はあまり知らないな」

「そうですか」

「ただ――」

ホークスは軽く頭をかいた。

「この前、氷魔将とは手合わせをした」

その言葉に、レギンの足が止まった。

ゆっくりと振り返る。

「……今、なんと?」

「氷魔将とは手合わせをした」

ホークスは平然と言った。

レギンの目がわずかに見開かれる。

「それは……本当ですか?」

「ああ」

ホークスは淡々と続ける。

「少なくとも俺と互角くらいだな」

「だが……能力的には、あちらの方が一枚上手だな」

レギンは数秒黙り込んだ。


そして――

小さく息を吐く。

「氷魔将のヴォルド様は……」

どこか誇らしげに言った。

「実力、人格共に素晴らしいお方です」

「騎士団の中でも、あの方を尊敬している者は多い」

その言葉には迷いがなかった。

本心からの敬意だとすぐに分かる。

そしてレギンは改めてホークスを見る。

「しかし……そのヴォルド様と互角に戦えるとは」

わずかに笑った。

「あなたも、相当な実力者ですね」

ホークスは鼻で笑う。

「闇魔将になるかもしれない男なら、そのくらい強くないとな」

少しだけレギンを見ながら言った。

「それに……お前も只者じゃないな」

「……?」

レギンが首を傾げる。

ホークスはそれ以上は言わなかった。

だが内心では思っていた。

(こいつ……)

(ギルドのAランク以上、Sランクでも手こずる位には強いな)

歩き方。

気配の消し方。

無駄のない体の使い方。

一目見れば分かる。

戦える人間の動きだった。


やがて二人は、重厚な扉の前で止まった。

「こちらです」

レギンが扉を開く。

中は控え室だった。

豪華ではあるが、謁見前の者が待つための部屋らしい。

「こちらで少々お待ちください」

ホークスは軽くうなずき、部屋に入る。

扉が閉まった。

静寂が訪れる。

ホークスは椅子に腰掛け、天井を見上げた。

「……さて」

小さく呟く。

闇魔将。

その言葉を頭の中で転がす。

正直なところ。

最初から断るつもりはなかった。

むしろ――

(やるつもりではいた)

魔界との境界線。

最近の境界線の動きを見る限りは近々あそこは、いずれ大きな戦場になる。

だからこそ。

(まずは軍勢を集めるか)

ただの数では意味がない。

戦える兵。

鍛え上げた軍。

それを作る必要がある。

(時間はかかるが……)

(やる価値はある)

ホークスは軽く息を吐いた。


コンコン。

しばらくして扉がノックされる。

「ホークス殿」

レギンの声だった。

「準備が整いました」

扉が開く。

レギンは一礼した。

「女王陛下と六魔将の方々が、謁見の間でお待ちです」

ホークスは立ち上がる。

「そうか」

軽く肩を回した。

「じゃあ行くか」

レギンは静かに頷く。

「こちらへ」

ホークスは控え室を後にした。

これから――

レイナス王国の頂点と会うことになる。


第40話―終


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