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あなたを探して~今日から重世界で生活します~君を探して  作者: ブリージー・ベル (旧・瑚希)


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異文化交流?

□  □ 


‐Side 環‐


寝る支度を終えてベッドに入った。大丈夫、イケメンはいない。

運動したからすぐに眠れると思っていたのに中々眠れない。そうなると意識が少し異世界側へと移る。

ぼーっと見ていると、あちら側のテーブルに本のようなものがあることに気がついた。

・・寝返りをうって、気をそらす。


逸らしているつもりなのに、気になって気になって仕方がない。


このままじゃ朝まで寝られないかも。「ごめんなさい」申し訳ないと思いつつ、布団から出て本の前まで行く。私の机のほんの少し手前にあり、昨日までは無かった。

私がいないうちに彼が戻って置いたということだよね?

厚みはそれほどでもないけれど、装丁がどっしりとしていて重さがありそう。

表紙にはなんの文字もない。


「本当にごめんなさい」


もう一度、今から試すことを謝っておく。謝って許されるものではないのかもしれないけれど。

どうしても衝動が抑えられない。ここまでの衝動は人生初だと思う。

ほんの数秒、躊躇と言い訳を心で繰り返し、本に触れた。


やっぱり触れることはできるんだ・・


そんな風に思いつつ無意識に本を開く。

びっしりと並んだ文字。何が書いてあるのかわからないままページをめくる。最初のほうの紙は黄ばんでいてかなり傷んでいる。


10ページほどめくったら、読める文字が出てきた。英語に似ていて、意味もなんとなくわかる。


「今日はレベル5の都市の住民登録を調べた。無し」


「今年でこの都市は終了、次はレベル6」


レベルってなんだろう。そのページに書いてあるのは大体同じような内容で、その次のページも同じ。最後に書いてあるのはレベル99で、まるでゲームの世界の限界値のようだなと思った。


またわからない文字が続き、真ん中ほどまで進むと象形文字のようなものが出てきた。


「足りない。圧倒的に時間が足りない」


「どこにいるんだ。もう疲れてしまった」


「この身の限界か」


飛ばし読みだけど、なんだかどんどん悲壮感がでてきている。


「って、なんで私はこの文字が読めるんだろう」


想像力で補っているとしても、あまりにもスムーズだ。

もしかして・・と音読してみたら、普通に発音できた。


さらに進んでいくと、あと3つの言語が読めた。明らかに中国語だろうと思う文章は、なぜか逆に読めず不思議に思う。漢字も含めて身近な気がするのに。


書いてある内容はほとんど同じ、今日はどこを探したというものばかり。


「あの人、何かをずっと探しているの?」


これだけを調べる年月、彼の見た目の年齢、多種多様な言語

本をそっと閉じてベッドに戻る。


1人で探せる量じゃない気がする。仲間がいるのか、何年も人の手によって継がれてきたものなのか。

どうして私は読めるのか

異世界が重なってからおかしなことだらけで、今更私が読めてもおかしくないのかな。


あのSNSの人に訊いたらわかるのかな・・


なぜか脳の疲れを感じ、神経はどこか冴えているのに強制的にシャットダウンがかかったみたいに眠りに落ちた。



□  □


‐Side 玲央‐


通された部屋はびっくりするぐらい雑然としていた。


「散らかっててごめんね」


ちっとも恥ずかしいと思っていないだろう雰囲気で謝られる。


「いや、構わない」


シューバがシンプルに応えるが、俺は何も言わない。


「話をするのにちょっと言語が不便だね」


「・・魔法でなんとかなるのか?」


「いいや、ならない」


がっくりする。チートじゃないのかよ。


「異世界と重なったということまでは把握している。それで君の世界はどんなところなのか教えて欲しい」


「ああ」


「ちょっと待ってくれ。その前に確認したいことがある」シューバが言う。


一瞬赤い瞳がめんどくさそうな光を帯びた。


「どうぞ」


「アイビー・ハートウィル嬢の捜索願いは届いているだろうか」


「ちょっと確認するね」


そう言って部屋を出て、すぐに戻ってきた。


「出てない」


「・・そうか」


「では教えてもらいたい」


「ええと・・俺の国はとてもこう文明が進んでいて」


「彼の国は文明が進んでいる」


「要領を得ないな」


「そんなこと言ったって。あ、そうだ!」


手持ちのスマホ、持たされていたタグを出す。


「ああ、これは紐だね」


そう言って指差したのは両方。


「触っても?」


「どうぞ」


両方?タグはともかく、スマホは電池が切れている。


「うん、これ両方とも繋がってるね。こういうことができる世界なんだね」


「こういうこと?」


「魔術ではなく、何か他の無機質なもので追跡できるということ。あと、魔術ではない何かも紐になってるね」


「え?」


糸電話みたいに繋がっているならまだしも、犬の散歩みたいに紐をつけられた覚えなんてないけど。


「なるほど、なんとなく理解できた」


「こんなちょっとのことで?」


「人は人と繋がっているものだからね」


「へえ・・?」


よくわからないな。


「じゃ、これを見てもらおうか」


そういって映画に出てくるような宝の地図みたいな紙を出してきた。

彼が広げて何か呪文を唱える。


ブオン


いや、音はしない。なんとなく脳内で変換されただけだ。

そこに浮かび上がったのは、重なる都市。


「うわあ!」


「あれ?君の世界はこういうの無いの?」


「無い!」


「そうなんだ」


不思議そうに首を傾げつつ、ひとつ指を指した建物。


「これなんかすごい高さだね」


「これより高い建物もあるよ」


「君が入ってくる出入り口はどこかわかる?」


「えーっと・・」

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