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妖邸の若主人  作者: さくら
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出会い

滝のような雨が降り続け、外に出たのを後悔しながら、私は商店街の入り口で立ち止まった。

ああ。本当に来なければよかった。

お店はどこもやってない。

しょうがないからウーバーで何か頼むか。

あ、クレジットカードがない…

でも、現金をその場で渡すこともできるもんね!

早く帰ろう。

来た道を戻るために後ろをむくと、突然勾玉のネックレスが光り輝いた。

「わっ!」

私は急いで勾玉を手で塞いだ。

すると、光が収まり、次は建物の隙間に誘導し始めた。

なになに!?急にネックレスが自分の意志を持ち始めたんだけど!?

しょうがなくネックレスについていくと、倒れている何かが見えてきた。

待って、あれ人じゃない?

急いで近寄ってみると、私の予想は当たっていた。

ローブ被ってる人じゃん。ケモ耳付きの。

年齢は私の少し下くらいじゃない?

おでこに触れると、かなりの熱が伝わってきた。

あつっ!

すごい熱。こんなところに放置してたら、死んでしまうかもしれない。

何も考えずに少年を持ち上げると、近くにあったゴミ箱の中から少年に似たケモ耳付きの男の子がでてきた。

「お願い!お兄ちゃんを助けて!」

震えてる。寒いのもそうだろうけど、怖いんだろう。

こんなファンタジーみたいなことが現実に起こるなんて夢みたいだけど…

「わかった。」

今は今のことを考えるしかない!


ーーーーーーーー


倒れている少年のことをおぶり、私より少し幼い少年の手をひきながら、家まで連れて帰ると、私は直ぐに暖房をつけて布団を2人の肩にかけた。

「ありがとうございます。僕は真白。こっちは兄の時雨です。」

「真白くん、私は陽葵。とりあえず出前を頼んだ後、寝れる準備をしよっか。説明とかは、後で軽くしてくれればいいから。」

伝えることだけ伝えると、真白くんは泣きそうな顔で頷いた。

ケモ耳なのも不思議だけど、もっと不思議なことが一つある。

大雨の中で助けを待っていたはずなのに、真白くんだけ濡れてない。

ゴミ箱の中にいたからかな。

とりあえず、お粥や、暖かいものを出前で頼み、待っている間に、私は自分の部屋に布団を敷いた。

明日色んなものを買えばいいから、今は日が昇るのを待つのみ!

二人の様子を見に行ってみると、疲れ果てた二人は、眠ってしまっていた。

時雨くんの熱はどんどん上がってる。

ご飯は今日は食べれないなあ。

暖房のおかげでもう濡れてない。

真白くんと時雨くんを布団の上で寝かせると、インターホンがなり、私は玄関まで走って行った。


ーーーーーーーー


食欲よりも眠気が勝ったせいで、昨日は夜ご飯を食べずに眠ってしまった。

次の朝、ぐっすり眠った真白くんにタオルと着替えを渡してお風呂を紹介した後、私はご飯をレンジで温めた。

時雨くんの熱を測ったら、すごいことになってたから、風邪薬を買わなくちゃ。

氷枕を作っておいたから、少しはマシになるはず。

大丈夫かな。

「陽葵さん、ありがとうございます。」

さっぱりとした真白くんは、にっこりと微笑みながらリビングに戻ってきた。

私のお古を貸したんだけど…似合ってる。

よかった。

「陽葵さん、その勾玉のネックレス、やっぱり見えるんですか?」

真白くんは勾玉のネックレスを指差しながら聞いてきた。

「?どういうこと?見えるって?」

聞き返すと、真白くんは急に近寄ってきた。

「わっ!どうしたの?」

「驚かないでくださいね。」

真白くんは真顔で伝えてくると、勾玉を掴んだ。

最初は何も怒らなかったが、真白くんが力を入れると、突然勾玉から光が溢れ出した。

わわっ!何これ!?

真白くんは溢れ出た光に包まれ、光が消える頃には、人間の真白くんは消えていた。

「あれ?真白くんどこ行った?」

「きゅっ!」

鳴き声が聞こえ、しゃがんでみると、可愛い銀髪の狐が目の前で座っていた。

も、もしかして…

「真白くん!?」

「きゅうっ!」

狐は元気よく答えた。




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