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幼馴染二人が、まさかそんな関係だったなんて(勘違い)

「なあ、あの二人ってどういう関係なんだ?」

「あの二人って?」

「アヤとカナのことだ」


俺、リョウは幼馴染のサーヤに、これまた幼馴染の二人、アヤとカナについて相談があった。

それは今日見た光景が、とても信じられなかったからだ。


「あの二人何かあったかな」

「あー、どっちかというと、カナのほうなんだけどな」


俺はサーヤに、今日、何があったかを説明する。




「やべ。教科書学校においてきた」


それはアヤと一緒に学校から帰っていた時から始まる。

俺は、明日の小テストの勉強のために必要な教科書を学校に置いて帰ってしまったのだ。

それに気付いたのはもう家まで数分で着きそうな地点。

Uターンするにも、途中にそこそこの勾配の坂もあり、とても学校へ取りに戻るのが嫌だった。


だから俺は、一緒に帰っていたアヤに教科書を貸してほしいと頼んだのだ。

アヤと俺は別のクラス。

しかも彼女は既に小テストが終わったクラスでもあった。彼女のテスト勉強の邪魔にもならないし、もしかしたらと思ってのことだった。

アヤはそれに了承してくれた。

しかし、単純に渡されることはなかった。


「いいよ! ただ、私この後ちょーっと用事あるから、勝手に持っていっといて。合鍵渡してあるし、大丈夫だよね?」

「おう」




「ちょっと待って」

「ん?」


まだ相談の核心に触れてもいないのに、サーヤから待ったがかかった。

どうしたのだろう。


「え。リョウてさ、アヤの家の合鍵持ってるの?」

「うん。それがどうしたんだよ」

「おかしくない?」

「いや」


まだ、おかしいところなんて一つもないのだが。


「アヤはカナにも合鍵渡してあるみたいだし。カナも俺にくれたぞ。幼馴染ならそういうもんじゃないのか?」

「私は貰っていないんだけど……」


なんと。こんなところで仲良しだと思っていた幼馴染の絆に、致命的な欠陥があったとは。

もしかしてサーヤとアヤは仲が悪いのだろうか。


「任せろ。二人の絆は俺が何とかする」

「いや別に良いんだけどね。アヤとの間に何かあっても」

「そう悲しいことを言うな」


サーヤは衝撃の事実に拗ねてしまったようだ。

心にも無いことを口にしている。

なんとも悲しいことだ。


「まあそうだな。今回は合鍵を渡しておかなかった方が良かったかもしれない」

「ああ。カナが合鍵で何か悪さしたの?」

「明確に悪いとは言いきれないのだが……。悩みどころだな」


あれはどうなんだろう。

幼馴染故の気安さで納めるべきか。荒ぶる想い故の暴走か。

親しき仲にも礼儀ありという言葉があるし、一度その辺りをしっかりと見直すべきなのかもしれない。


そうすると、まずは目の前にいるサーヤとの関係を一度精算するべきか。


「合鍵が問題なのは確かだ。あんな使われ方、アヤも考えていなかっただろうし、幼馴染とはいえ、渡すべきではなかったかもしれない。それを踏まえると、俺もサーヤの家の鍵を返しておこうか」

「いや私の家のだけは大事に持っておいて。それよりもカナは何をしたのかな」

「お、おう。そうか」


断られてしまった。

まあこれは俺が注意すれば良いことだ。サーヤの信頼を裏切る真似はしないでおこう。


話を戻して、アヤの家での出来事を話す。




アヤは、俺が一度帰宅した上でなら、教科書を持ち出すことを許してくれた。

本音を言えば、二度手間だし帰りに寄らせてほしかったが、俺は頼む身分。贅沢は言えない。


言われた通り一度家に帰り、堅苦しいから制服を脱いで、重いからバックの中身を空にしてから、アヤの家に向かった。


アヤの家は共働きだ。

この時間には彼女の両親は家にいない。一人っ子のアヤも、用事で出掛けているようだから家には無人のはずだった。

一応、お邪魔しますくらいは言うべきなのかもしれないが、ほぼ人が居ない家に、一声言うのも俺は面倒臭がった。


そしてそれのせいで。いやカナの行為を見れたという面では、それのお陰というべきか。

真っ直ぐにアヤの部屋へ向かった俺は、入る直前で、物音から、部屋に誰かがいるのを察した。


結果から言えばそれはカナだったが、俺は空き巣か何かと思った。

そして幼馴染の部屋が被害を受けていること、最悪の場合アヤが出掛けておらず、変な人間に捕まっているかもしれない。

そう考えて、様子だけでも覗いておこうと静かに扉を開け中を伺った。


そこにいたのは何度も言うが、カナだった。

俺は幼馴染が部屋の中に一人であるようで、一瞬安心した。

しかしあれ、おかしいなと思ったのだ。


カナは大きな袋に、何か詰め込んでいる。

アヤの部屋にある、ペンや小物等、それどころか服やタオルに至るまで詰め込んでいた。

その様子だと泥棒に思うかもしれないが、俺には違うとわかった。


カナはぐしゃぐしゃになるくらい、布を抱き締めて、目一杯の深呼吸を合間合間にしていたからだ。

ここで俺は、あ、これ好きな人の物に興味覚えてしまったパターンかと思ったのだ。


その溢れんばかりの想いを幼馴染の立場を利用して味わうとは許しがたい行為であると思ったが、俺は責めることができなかった。

アヤは勿論、カナだって俺の大切な幼馴染。

傷付けるようなことはできない。

そうして俺は、扉をそっと閉め、静かにアヤの家から出ていき、一時間迷いに迷った。




「どうしたら良いと思う?」

「どうでも良いと思う」


あんまりな言い方だった。

もしかしてアヤと不仲だから、考えるのが雑になっているのかもしれない。


「なあ、幼馴染だしそういう言い方は」

「いやアヤが嫌いとかじゃなくてね」


サーヤは俺の言葉を留め、自分の考えを述べていく。


「多分あの二人両思いだよ」

「その心は?」

「だって時間を考えれば、アヤとカナは一緒にいそうじゃない? だからきっと、アヤ公認の行為なんだよ」


サーヤはそう言うが、俺は納得しきれない。

なぜなら。


「それ俺に見られたけど良いのか?」

「良かったから見せたんじゃない? 別に言う程では無いけど、隠す程でもないみたいな」


そう言われると、そうかもしれない。

俺としては、付き合い始めた段階で、明らかにしてほしかったが。

なんか幼馴染の間で隠し事されているような気持ちに、勝手になってしまうからだ。


「でもそう言うことならどうしよっか」

「どうしようとは?」

「二人と私達の関係」


そうか。

幾ら幼馴染とは言え、恋人のそれには劣るだろう。

するとその辺に気を遣わなければいけないのか。

でもどれくらいが適切か悩ましい、そう俺が考えていると、サーヤが突然の提案をした。


「どうせならさ」

「うん?」

「私達で付き合っちゃわない?」

「は?」


サーヤは続ける。


「カップルてどういうものか、なんか私も気になってきたし。それに、幼馴染の中でカップル成立て最高じゃない?」

「でも俺、正直サーヤに恋愛面で好きかというとビミョ」

「それ以上は言わなくていい! 付き合うかどうか!」


サーヤに大声で止められ、選択を迫られてしまった。

まあお前のこと女として見てないなんて、それはそれで、失礼すぎる。はっきりいわない方が正解か。


それでサーヤと付き合うかどうか。

サーヤ自身、興味本位のような感じの言い方であったし、そこまで深く考える必要はないか。

そして俺も、この方が自然にあの二人との付き合いを調整できる気がする。

そう考えると、別にやらない選択を取る必要がなかった。


「いいよ、俺達付き合おっか」

「え……。本当に? 本当に言ってる?」

「え。サーヤは別にその気じゃなかった?」

「ぜーんぜんそんなことない! 私達、付き合おっか!!」


満面の笑みを浮かべるサーヤに了承をもらい。

こうして、俺達はカップルとなった。











一時間前、アヤ。


「いいよ! ただ、私この後ちょーっと用事あるから、勝手に持っていっといて。合鍵渡してあるし、大丈夫だよね?」


今日はラッキーだ。

久しぶりにリョウと二人きりで帰れたし、僅かとはいえ、リョウが家にいない。

この隙に、リョウの家に置いてあるカメラを充電一杯のと交換しておこう。


ついでに、リョウの服をあらかじめ買っておいた新品と交換しておいてあげよう。

リョウは新品を使えてハッピー、私は使用済みが貰えてハッピーだ。




一時間前、カナ。


アヤのやつ。

また知らないうちに、勝手にリョウの物を盗んでいる。

私が、必死に我慢して抑えているというのに、まるで理性が働いていない、まるで獣だ。


これらを無闇にリョウからとっていると、いずれリョウが私達を信じてくれなくなるかもしれない。

そこら辺をアヤは分かっているのだろうか。


これは責任持って、私が回収、そして十分にあらためなければ。

もし私の検査を突破できなければ、その時はしょうがない。

捨てるのは勿体ないし、私が有効活用するしかないか。


連載中のハイファンタジー、この短編書いた時点でもう第一章終わりそうだし、今ものすごく甘い恋愛系の作品書きたくなってしまってる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 某少年誌のラブコメみたく 三等分の彼氏になればへーきへーき←
[一言] サーヤはアヤとカナがナニしてるのか勘づいてそうだなぁ…そして、そのうえで自分が抜け駆けすることに何となくで行けるような流れを作った感じ…ただ、本人も驚いている通り、それがうまく行くとも思って…
[一言] 読者の想像力に委ねられるENDっていうのも悪くないですね… 意外とそういう方がグッときます(聞いてない)
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