エピソード8 魔王(元)対魔族
逆探知転移とか何してくれてんだ。
お前だけで十分すぎるだろうが。
「人型の使い魔か……」
なんかあっちは冷静に分析してるけどごめんね? 俺別に使い魔でも何でもないんですわ。なんなら君と同族っていう。
「ご主人様を守るために冥界より参った、我の名はマオデウス。たかが魔族が身の程を知るがいい……」
「お前ほんとネーミングセンスないよな」
お前に言われたくねーよ。せっかく乗ってやったのに、このままお前ら二人とも地獄に落としてやろうか。
「やはり悪魔か……だが所詮は低級だろう? 貴様から漏れ出る魔力はゴミ以下だ」
「……」
「図星か、雑魚にかまっている暇はない。 一瞬で殺してくれる」
……。こいつ満身創痍の癖に良く喋るな。
敵キャラが主人公よりも多く喋るのなんなんだろうな。聞いたら大体教えてくれるし、自己紹介も必ずやるし、なんて紳士なんだろう。
どうでもいいこと考えてたら魔法飛んできた。
魔族の放った魔法は俺に当たると、消滅した。
「!? 何をした!」
「ふっ……見えなかったのか? 同じ魔法で相殺したのさ」
「いやお前、ただ力技で消滅させただけ……」
さっきからうるさいぞユーシャ。お前が働かねーから俺が相手してやってんのによ。
「相殺か……なるほどな。俺の魔法を止めるとは、低級悪魔にしてはなかなかやる」
なんかあいつ余裕だな。今の魔法があいつの使える中でどれだけ強いか分からんけど、俺が常時展開している防御魔法に傷一つ付けれてない彼に、果たして勝ち目はあるのか。
「だが、貴様もこれで終わりだ……ハァァァ!!!」
なんかさっきよりも規模と威力が微妙に強くなった魔法を飛ばしてきた。
んー。
「グハッ! 不肖マオデウス、ここまでのようです……」
なんか面倒くさくなってきたのでユーシャにバトンタッチで。
「やりきった顔をするな! 召喚してからまだ一分しか経ってないぞ!」
「安心してくれ、ヒロインちゃんと騎士君は既に退避済みだ」
「それはナイスだが、こいつどうすんの?」
「任せるわ、逃げたいなら逃がしてやれば」
魔族と戦ってもメリットないし、ていうかこれ俺達じゃなくて勇者(笑)達の仕事だし。
「ということで魔族君、良かったな! 逃げれるぞ!」
「逃げる……だと? 俺をなめているのか?」
「ほら、君もお疲れのようだし。 今日は帰ってゆっくり休みなよ」
「ふざけるのも大概にしろっ!!! 貴様らはここでコロ……」
気づいたら魔族の首が落ちていた。
「お前容赦なさすぎ、魔族に恨みでもあんの?」
「勇者ですから」
「あーね」
お前も飽きてたのね。俺も。