エピソード７ 勇者(元)対魔族
クソッ！ 最悪だ！
帝の密会と勇者の情報を手に入れ、奴らに襲撃できたのはいいものの、この様だ！
俺も四天王になれるだけの実力はあるはずなのに、何故こんなことに！
「途中からだ……急に体が重くなったのは……」
フードの連中は白い奴以外雑魚だったし、強いて言えばおどおどしてた黒い奴の攻撃が痛かったくらいで、俺が負ける要素はなかった。
「とりあえず回復に専念せねば……」
人族を殺して糧とすれば、なんとか生き残ることができる。
おっ、あそこにいいのがいるじゃねぇか。
「若い娘が一番イイんだよなァ」
横の騎士風の男は少々厄介だな。強くはないが雑魚でもない、殺すか。
「おっと君、やめたまへ」
「っ！？ 誰だ貴様！」
気配もなく俺の背後に……なんだコイツは？
「誰だと聞かれて素直に答える奴がどこにいる…………ここにいるぅぅう！ 俺の名はしがない風来坊のユー座衛門……ん？ ユー兵衛だったっけ」
「ごちゃごちゃうるさい人族だ……死ね」
よくわからんが所詮は人族、ひねれば簡単に息絶える。
そう思って確実に首をつぶしたはずだが、消えた？
「ふっ、残像だ」
「舐めやがってェェェ！！！」
「ハァ！」
「ふっ、残像だ」
「ヌゥ！！！」
「ふっ、残像だ」
「カッ！」
「ふっ、残像だ」
「ふっ、残像だ」
なんだコイツ！？ 攻撃が当たらねぇどうなってやがる。しかも最後に至っては勝手に消えやがった……。
「次はこちらから行かせてもらう。いでよ！ 俺の使い魔！！！」
奴の側に新しい影が出現した。使い魔だと！？ 人間が多種族から力を借りるというアレか。精霊や幻獣ならなんとかなるが、天使や悪魔だと厄介だ！
「召喚！ マオ！！！」
「なんで俺なんだよ！ てかどうやった！？」
「逆探知転移。ただでは死なん、お前も道連れだ」
「お前が死ぬ要素無かったろ！！！」
