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「はーいどーもー! 今日も実況やってくぜ!」
樹海を背景に、顔の半分を化面で隠しているとはいえ一目でわかるような明るい笑顔をカメラに収める。青年は数分一人喋ったのち、一人樹海に足を踏み入れた。
怖い怖いと大袈裟に体を震わせるたびにおしゃれにセットされた黒髪が跳ねる。
彼はとある動画の実況をしている学生で、そこそこ人気だったりするがその内容は多くが過激であり、炎上しているのが常であった。
例えば冤罪の悲惨さを熱弁しながら冤罪の仕立て上げ方を楽しげに語り、あみだくじで苛めをするターゲットを決めたかと思えば安価で苛めの内容を決めていく。
そのような様々な問題行動によって蛇蝎の如く嫌う人もいれば、逆に刺激的だということで熱狂的なファンも存在している。それが彼だった。
もしも彼が平凡だったなら、きっと多くの人々にバッシングされていただろう。が、そうならなかった。
何故か? それは彼が美形だったからだ。だからこそ嫌う人もいるが中には金を出してまで彼を支持する者が出てくる。
好き勝手にするだけで金を貰える。それは他者が地獄に落ちるまで見送るのが好きな青年にとって、何よりも楽に稼げる方法だった。
だからこそ性格も嗜好も何もかもを偽って真面目な生徒の演技をしているのだ。
死体は残念なことに発見できなかった青年は内心不服に思いながら実況を終わらせた。
今回は失敗だった、と舌打ちしながら倒れた木を蹴りつける。木は腐っていたようで音を立ててあっさりとへし折れて胸がすっと軽くなり口角が上がる。
だが現在行方不明となっている同級生の反応を思い出すと、ただ木を蹴りつけるだけでは物足りなく感じてしまうのもまた事実だった。
「ったく、オレのサンドバッグの癖に勝手に逃げてんじゃねーよ」
悪態をつくのも仕方ない。あいつの存在理由はそれだけだったのだから。
ダラダラと歩いて外に向かう途中、ふと視界の端に緑と茶色以外の何かが視界の端に映った。
「うわ、なんだこの花wwww」
近寄ってみると、樹海には相応しくない赤い花と青い花、そして黄色い花が咲いていた。
樹海で珍しいものを見れてテンションの高くなった青年は、近くに落ちているロープの固定された太い木の枝に気付かず枯葉の隙間から顔を出した花にスマホを近づけて写真を数枚撮る。
それを優等生としての自分のSNSにコメント付きで載せれば瞬時にイイネとコメントがついていく。
どれもこれも樹海で撮ったとは思っていないコメントばかりでつい馬鹿にした笑いになってしまう。
「マジでバカばっかりだなwwwwあ、そうだ。あいつも見つかんねーし、新しいターゲットでも作ってやろう」
オレの暇潰しの相手になれるなんて幸せだろう?
満足して花を踏みにじった青年は、爽やかな笑みで樹海を去っていった。
?:男。■■■であり、■男と■子と■男を■れた張■■。真面■だが明るく柔軟な思考をするムー■■ーカーとしてク■スの人気者。
SN■では複数のアカ■■トを使い分■ていて、最低でも優■生、配■者としてのア■ウン■を所持している。
自分が楽しめるor人気者になるために人が死のうと気にしない。