手紙
お久しぶりです。
あれから五年が経ったのか。と思うと、少し早く感じます。
あのときの言葉、今も忘れてはいないです。
おかげで、俺は今も前を向いてはしれているんだと思います。
また、いつか。
自慢できるくらいになったら……
その時は、胸を張って会いたいと思います。
すみません。
いろいろ書きたいと思っていたのに、いざ書き始めると何も浮かばないみたいで……
だからこそ、会った時に思いっきり話したいと思います。
きれいな字で、彼らしいような文章の手紙だった。
今、彼はどうしているのだろう……
元気にしているのだろうか。
などと、他人の心配をしている場合ではないはずなのに……
「コウタくん……」
そんな言葉が、ため息のようにこぼれた。
泣いてしまいたいと思った。
悲しさ。不安。孤独。喪失感。虚無感。無力感。
いろんなものがいっぱい押し寄せてきた。
だけど、不思議と涙は出なかった。
それはたぶん……
彼が無事だったから。
ずっとココロの隅っこの方であった不安感。
「彼は一体どうしてるんだろう」
そんな気持ちが、少しだけ軽くなった気がした。
大丈夫。
って言われたような気がした。
だから……
「大丈夫」
って言えるんだと思う。