表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたっていう

たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 ほとんど理不尽だと思う。でも、それは「ほとんど」で、私は彼女のことをそれこそほとんど知らないし、もしかしたらに彼女に理由があるのかも知れない。でも、知ることはないだろうから、あまりにも理不尽に見えた。

 私は彼女の隣にいたのだ。

 だから、ずっと、聞こえていたけれど、何にもわからない。


たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 えっと言って、こちらを向いた。つやのある茶髪、ハーフアップ、フレアスカート、白いトップス、バラをかたどったベージュのヘアクリップ、美人というより可愛らしい顔立ち、扇形に広がるまつげ。

 大きく瞳が見開かれる。


たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 リクルートスーツ、ひっつめた黒い髪、背がわりと高く、印象に残らない顔立ち。大切そうに抱えられた白い包装された箱。赤い花とくるくる巻かれたリボン。


たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 向こうから男が走ってくる。白いシャツ、仕立てのよさそうなスーツ、イケメンではないけれど自信にあふれている――典型的な高学歴高収入の若い男。お昼時、恋人と待ち合わせでもしていたのか。

「なんだお前は!?」


たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 助かった、と思う。

 あの男に助けられたのだ。おそらくは浮気相手がやってきて彼女に嫌がらせをしてるだけで――


たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた


 男は不審そうな目で女を見た。演技かなと思う。


「たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた」


 首の奥から壊れたような音が流れ出す。


「たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた」


 こほっ。

 咳。箱が落ちる。

 血が口の中から溢れ出る。


「たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた」


 私は目を慌ててそらす。ぎゅっと目をつむる。

 ごほごほ、びちゃびちゃ。

 あれは、あれは――小さなこども。幼い同級生。

 

「たべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべたたべた」


 眼鏡をかけた旅行者らしい派手な服装のアフロの男とその妻がやってきて、叫んだ。「なんだこれは!」

 彼は慌てて、携帯していた護身用の銃をとりだした。「両手を上げろ!」けれど、手は震えている。


 彼女は、その声をきくと、くるりとこちらを向いて、迷うことなく夫妻に走り寄り、構えた銃を取り上げて、自分の頭に銃身を当てて引き金を引いた。頭の中央。額の真ん中。


 彼女が抱えていた箱は、吐しゃ物で赤く染まっていることだろう。

 本当のことなど何にもわからない。何が? 理不尽なのか? 或いは、そうでないのか、すら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ