1-7
というわけで爆心地(としか言いようがない)からある程度の距離を取った俺達は、リオラが使える魔術の確認作業をした。その間何も襲ってきませんように、と祈りつつだ。
まぁ祈りが実を結んだのかさっきの災害に恐れを成したのかは定かではないが、幸いまた魔物に襲われることも無く無事に作業は終わった。
結果わかったことは、リオラの使える魔術は、その大半がミョルニルと同じく「使うな危険」と言うべきものだったのだ。やだこの使い魔怖い……。
「何ですかもう。大体これは私が自分で身に付けたものではありませんよ。普通に考えれば主様が私に与えた物でしょう。私に文句を言うのはお門違いです。むしろ私が文句を言いたいです。何てことをするんですか」
「何も言ってないじゃん! 心読むなよ!!」
「あら、やっぱり何かしら思っていたんですね? いけない主様ですねもう。……心の準備はいいですか?」
いいわけあるか。拳を握るなにじり寄るな。
さておき。現在リオラが使える魔術は以下だ
先ほども使った『雷鎚ミョルニル』効果はあの状況を見るに打点を中心に雷撃が吹き荒れるのだろう。結果残るのは、何も残らない大地。というちょっと何を言ってるのかわからないものだ。もう絶対使わない。
次に、『焔剣レーヴァテイン』出した瞬間消した。要はミョルニルの炎版だ。炎を纏った剣。きっと振った瞬間周囲一帯……いや、振った方向が不毛の大地になるんだろう。絶対使わない。
そして『嵐扇芭蕉扇』風を纏ったでかい扇だ。上の二つに比べればマシに見えたがとんでもなかった。レーヴァテインを出した瞬間、ちょっとだけ火が付いてしまった枯れ木に軽く振ってみたところ、確かに火は消えたが直線上にあった大木も消えた。真っ二つになり粉みじんになり風に吹かれて消えた。絶使。
ここまでが振ったらやばい系だ。ここからは比較的大人しい物が続く。
といっても、今から紹介する2つが出た時点で当初の目的である、安全で使いやすい武器。という条件を満たしたのでそれ以上は調べていない。もしかしたら出した瞬間、ズドン。なんてものがあるかもしれないのだ。不必要に危険なことをすることもない。というかしたくない。
というわけでまず1つ。『神弓シェキナー』見た目はただの美しい弓なのだが、矢も無いし見ただけではどういうものかわからない。見るからに危険な物が続いたのでこれはこれで困る。というわけで恐る恐る弦を引いてみると、光り輝く矢が番えられた。
リオラの分析によると魔力が続く限り撃ち続けられる弓のようだ。いいねぇ安全だねぇと、(一応の用心として)空に放ったら、無数の矢が降り注いできた。これは危険だ。
しかしリオラの言うところでは、こういうものは魔力の制御でどうとでもなるはずだ。と、実際に一発だけの矢を放って見せた。うん、これはリオラに使ってもらおうそうしよう。
だからリオラ、そんな目で俺を見るな。
もう1つが、これまた見た目では効果のわからない双剣『陰陽剣黒刀·白夜』名前だけ聞くと一本の剣だと思うだろうが、黒刀と白夜という銘の双剣だ。色は名前通りである。この剣、持ってみたところやたらしっくり来るが、それだけだ。他の武器と同様に威圧感はあるがやはりどんなものかわからない。軽く振ってみたが特に何も起こらなかった。
もしかしたらこれは当たり(真っ当な武器)か! と俺は喜んだ。が。
「主様。また魔物に襲われたとき、真っ当な武器で立ち向かえるんです?」
「はっはっは、リオラだって弓が使えるじゃないか!」
「……了解です、主様。(役に立たない)主様に代わって私が障害を払いましょう。主様は(無様に振るえて縮こまりながら)見ているだけでいいですよ」
「……冗談だよ、ちゃんと戦うよ……」
「いえいえ、お気になさらず。(かよわい女性に戦わせようとするなんて男として最低ですが)貴方は私の主様ですからね。どっしりと構えているのがよろしいかと思いますよ」
「……いえ、ほんとすいません」
副音声が耳に痛い。どうやってんだ。
さて、まだリオラには呼び出せる武器があるようだが全部を把握する必要もないだろう。いや、あるといえばあるのだろうが、全てが俺に無害とは限らないのだ。実際シェキナーの矢が掠った時痛かったし。危険を冒してまで調べる必要もないだろう。
「よし、じゃあ気を取り直して行くか」
「了解です、主様。魔物に襲われないといいですね」
「……あぁ、そうだな」
「安心してください。主様のお手を煩わせることはないでしょう」
「もう許してくれないでしょうか!」
日が暮れるまでこのネタで散々いぢくられた。ひどすぎる。




