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1-6

「は……?」


 あまりにも予想外だった光景に放心してしまった。

 え? 待って? こう、こういうのって大槌で魔物をぐしゃーって潰してさばいて、ちょっと雷の効果で相手が触れるだけで痺れて徐々に優位に立っていく的なそういう武器じゃないの? まさか触れただけで相手どころか周囲一帯が消し飛ぶなんて思わないだろ。おかしくないか。

 などと現実逃避気味に考えていたが、ふと気付いた。


 リオラの姿が視界に無い。


 待て、まさか今のに巻き込まれたとか言うんじゃないだろうな……!?


「リオ――」


「これは驚きました。主様(マスター)。伊達に世界最強を自称してませんね」


 俺の真後ろからここ数時間で聞き慣れた声が聞こえてほっとする。

 ……同時に疑問も浮かんできたわけだが。何故数瞬前まで目の前にいたのに真後ろにいるんだ。


「無事だったか……よかった。でもいつの間に俺の後ろに?」


 振り返りつつ聞いてみると、この使い魔様は胸を張ってこうのたまった。


「どう考えてもあの武器は普通ではなかったので、もしものことを考えて渡した直後に避難しようと思っていたんです。ですが猶予が思いのほか無かったので、一番近くで恐らく安全であろう主様の後ろに隠れました」


 それはある意味では俺を盾にしたというのではないでしょうか。万が一魔物もろとも俺が消し飛んでも俺の後ろならあるいは……的な。

 いやそんなわけないよな! 使い魔が主人を盾にするなんてそんな。ね。例え目を泳がせながらの台詞でも信じるべきだな! うん。


「やりましたね主様。さっきおっしゃってたように魔物達から一発で逃れることが出来ましたよ。私のおかげですけどお礼はいいのですよ? 私はあなたの使い魔ですからね」


「一発で逃れるどころの話じゃないだろ!! 後自分の謙虚さをアピールしてるつもりなのかそれは!! ふてぶてしいわ!!」


 果てしなく棒読みだが言ってる内容|(主に後半)は声音とは裏腹に人間味豊かな物言いである。実にむかつく。


「何ですかもう。我儘な主様ですね! 何とかなったんだからいいじゃないですか。そんなに小さく細かいことを気にしているようでは器が知れますよ。具体的に言うと小さいです。人間小さい。」


「具体的に言われなくても察せられるわ! 後お前はちょっとその大きすぎる器削ったら!?」


 そうすれば丁度良くなるに違いない。あの辛辣な言葉も角が取れてマイルドになるだろう。なるといいな。

 いや、そんな馬鹿なことを言ってる場合ではない。森が俺達を中心に半径30m程消し飛んで綺麗な更地になっているのだ。


「で……どうすんだこれ。人に見られたら大騒ぎになるんじゃないか?」


「そうですね、すぐにここを離れた方がいいかもしれません。……まぁ、少々威力が高すぎましたね。次からはもう少し抑え目の物が出ることを祈りましょう」


「祈るって何!? 多少でも使える魔術の情報とかわかんないの!?」


 驚くべき事実が発覚してしまった。俺は大体の強さを把握したうえで使ったのだと思っていたが、この娘、使える中から無作為に選んで出したらしい。

 え? つまり、この先何かに襲われる度にこんな被害が出るかもしれないってこと? 危険すぎるだろ! 安全面が全く考慮されてないぞ!! 主に俺の!!


「主様大丈夫です。例え貴方の身に何があろうと私が必ず目的地に辿り着いてみせます……!」


 リオラが悲壮な顔で俺に向かって死刑宣告をしてきた。目に涙すら浮かべている。演技力は10点満点だがいかんせん棒読みだ。これでは役者にはなれんな。……いや、というか


「俺の身に何か起こらないように努力してくれませんかねぇ! 魔術の効果を把握するとか!! ……いや、努力をするぞ!! いいな!!」


 そうしないと俺が死ぬ。仮に今のミョルニルのように身体的被害が無かったとしても、どういうものかもわからずにぶっつけ本番で使うのは危険すぎる。何で俺は家を出る前に魔術が使えるかの確認をしていなかったんだ……。


「仕方ないですね。でもその前にここから離れましょう。こんな山奥にわざわざ人が来るとは思いませんが、流石に見晴らしが良すぎます」


 そして何故この使い魔を自称する娘はこんなにも泰然自若としているのだろうか。ちょっとその男らしさを分けてほしい。


「殴りますよ」


「何も言ってないだろ!!」


 本日二度目の右ストレートいただきました。



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