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1-3

 取りあえず他にあても無いので、俺とリオラはある人とやらに会いに行くことにした。とはいっても今のところ俺は右も左どころか何もかもがわからないので、まずは情報収集という名の家探しをする。自分たちが今どの辺りにいるのかもわからなければ行動のしようもない……と、思う。


 さて、まず建物を外から見てみたい、と言う俺に頷いたリオラの案内で玄関から外へ出て建物に振り返る。玄関を通った時に薄々察していたが、結構でかい。見た感じは家というより屋敷だ。


 これは家探しするのはきついか……? という俺の心配は、しかし屋敷の中に戻ってからしばらく後に晴れてしまった。不本意そうなのには理由がある。この屋敷の部屋は便所と風呂場、俺の寝ていた部屋、そして地下のだだっ広い空間を除いて扉が開かなかったのだ。鍵が掛かってないのに開かないとはどういうことだ……という俺の疑問にはリオラが答えた。


 「どうやら魔術による封印が施されているみたいですね」

 「封印?」

 「はい、見たところ扉ごとの封印の強さにはばらつきがあるようですが……そのどれも、私では解除できません」

 「へー、よくわかるな。リオラは凄いな」

 「……何で主様(マスター)はわからないんですか……」


 そう言われても、わからないものはわからない。封印というものがどういうものかという知識は残っているみたいだが、見分け方に関しては何もわからない。どうも俺に残っているのは浅く広いモノだけで、専門的な知識は何もないようだ。実に中途半端である。


 まぁそんなことは置いておいて、なんと、風呂場を覗いた時に発見した鏡で起きた時からちょっと気になっていた、自分はどんな姿なのか、ということがわかった……のだが。少々表現し難い。


 まず、ボサボサで少々ツンツンとしている髪の毛には黒い房と白い房が混ざっていて、何ともいえない縞模様を作っている。ちなみに目も黒と白のオッドアイだ。顔は自己贔屓込みでまぁまぁ整っていると思えるが髪と目が奇抜すぎて正直どうでもいい。


 服装は起きた時に軽く確認して何となくはわかっていたのだが、黒い長袖のシャツに、裾が脇腹よりも少し上までの白い上着。これまた黒い小物入れがいくつか付いた長ズボンの上から、白い布地に黒い縦線が入った腰巻を巻いている。全身白と黒しかない。唯一首にかかっている不思議な石が付いた首飾りだけが赤く光っている。何なんだ。白黒付けろ。ハッキリせんか。


 「お似合いだと思いますよ主様。かっこいいですよ」

 「そうか? そうかな……」

 「えぇ、とても素敵です」

 「うーん、まぁリオラがそういうならいいか」


 気を使われた気がしなくもないが、まぁ褒められれば気分がいいものだ。何だいい娘じゃないかははは。……なに? ちょろい? 知らん。


 ひとまず屋敷を一通り見て回った俺とリオラは、最初の部屋に戻って簡単な旅支度をすることにした。


 しかし、まぁこれは何というか、俺の状況とリオラに残っていた指示を考えればある意味当然なのかもしれないが、なんと部屋の隅に置かれていた丈夫そうな2つの大きな袋の中に『これ持ってけ』というメモと共に保存食その他諸々が詰まっていた。見た目に反してやけに容量があるように思えたが、まぁ細かいことはいいだろう。とりあえずこの袋だけあれば充分そうだ。馬鹿なくせに気が利いたオレである。素直に喜べない。


 「ほんと何がしたいのかわからないな」

 「全くですね」

 「……何でそんな冷めた目で俺を見るんだ?」

 「いえ、別に。私の記憶も無くなっていることに思うところなんてありませんよ」

 「……スイマセン」


 理不尽だ。いや、理不尽でもないのか? いいやもう考えるのめんどくさいし。


 さておき。2つの袋を肩にかけて(リオラが両方持つと言ったが、まぁいまいち使い魔とか言われてもピンと来ないし、見た目はただの女の子だ。断った。)俺はリオラを連れて屋敷の外に出る。


 「さて、じゃあ行くか」

 「了解です(イエス)主様(マスター)

 「……それやめないか?」

 「嫌です」


 無駄かな、と思いつつ聞いてみたら、即答だった。ここまでスパッと言われるといっそ清々しい。いいやもう。


 「……で、どこに行けばいいんだ?」

 「ここから東に向かって2日ほど歩くと、南北にのびる街道に出るようです。その街道を南に半日ほど歩くと大きな街があって、そこに私たちの目的の人物がいる家があるみたいですね」

 「なるほど、結構具体的な指示なんだな。親切だなぁオレ!」


 やはり馬鹿なくせに気が利いているな!! いいことだ。


 「いえ、私の記憶にあったのは街の名前と家の場所だけです。私は主様より早く起きたので、主様が寝ている間に地図で調べました」

 「……そっかー不親切だなぁオレ」


 思ったより気が利いていなかった。くっ使い魔の視線が痛い!

 とにもかくにも目的地もわかったので、俺たちは街に向かって山道を歩きだした。

 ……ところでさっきのリオラの言葉で気づいたが、リオラが調べたのなら俺の家探しにはほとんど意味がなかったんじゃ……いや、やめよう。

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