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本格的に書き進めます(不定期更新ですが)

 現状を整理しよう。目が覚めたら知らない部屋で寝ていて、傍らにある手紙の内容を信じるなら俺は自分で自分の記憶を消した、世界最強の大馬鹿野郎。信じたくない。だからといって手紙の内容を馬鹿馬鹿しいと切って捨てることも出来ない。何故なら、確かに俺は目が覚める以前のことを何も思い出せないからだ。もう綺麗さっぱり。こんな状況なのに頭の中では結構冷静にモノを考えられてるのも元が元なら……まぁおかしくもない気がする。


 閑話休題。


 さて、2度目の覚醒(さっき強制的に意識を刈り取られたからな!)をした俺の目の前には、俺をますたーと呼ぶ女の子がいる。


 綺麗な薄茶色の髪を頭頂部の左右で2つのお団子にしている。瞳の色も髪と同じく薄茶色。まつ毛長いすごい。顔は整っているが、少々感情表現が乏しそうだ。何かキリッとしてる。雪みたいに白い肌をワンピースのような服で包んで、腰辺りにゆったりとした布を巻いているようだ。華奢な体型に似合わない拳を持っていたので脱いだら凄いかもしれない。


 「今何か失礼なこと考えませんでしたか主様(マスター)

 「滅相もない」


 女の子の例に洩れず勘が鋭いらしい。あぶねぇ。


 「……そうですか」


 納得のいっていない風な顔をしている女の子を眺めながら俺は取りあえず、彼女が何者なのかを聞いてみる。まずは自己紹介だ!!


 「……で。あなた様は一体どちら様であらせられるんでしょうか」

 「どんだけ腰が低いんですか」


 すぐ近くにあるでかいぬいぐるみに隠れつつ聞いた。マジビビリである。笑わば笑え。あの拳はやばい。トラウマだ。


 「……本当に覚えてないんですか…?」


 と、女の子がうっすらと――しかし見れば明らかに――切なげに眉尻を下げ口を開いた。


 「私はあなたの、使い魔ですよ……?」

 「使い魔……?」


 使い魔。何故だかどういうものかは理解できる。要するに主に絶対服従の召使いのようなものらしい。自分で創る方法と、元々いる存在と契約を交わす方法があるようだ。

 どうも思い出とかそういうものは何も思い出せないがある程度の知識はなくならずに残っているようだ。しかし使い魔……。


 「ってのは……主人を出会い頭に殴るもんなの……?」


 是非聞きたい。是が非でも。


 「あれはその――つい」

 「ついじゃねーよ!!」


 頬を赤らめてんじゃねぇ!! いくら顔が可愛くても憎らしさしか感じないわ!!


 「何ですかもう。大体ですね、人の話を聞かないのがいけないんです。殴られても文句は言えないと思います」

 「殴った本人が言うことか!!」


 いかにも「私、不満です」と言いたげに頬を膨らませてそっぽを向いている。やわらかそう。いやそうじゃないだろ!! これは一言物申さねば!! と、思いはしたものの、それは叶わなかった。


 「まぁそんなことはどうでもいいんです」

 「いやよくなくね?」

 「どうでもいいんです。」

 「……はい、すいません」


 黙らされたからな。暴力反対。


 「もう一度確認しますが、本当に何も覚えていないんですか?」

 「……まぁ、うん。自分の名前以外何も……妙な知識はあるけど。この手紙に書いてあることが本当なら、自分で記憶を消したってことになるんだろうけど……。なぁ、えっと」


 そういえば自己紹介とか言っといて名前すら聞いてない。呼びかけるにも不便だから聞いてみる。


 「リオラです」

 「リオラさんか。俺は――」

 「さんは不要です。どうぞ呼び捨ててください」

 「……リオラ。俺はシグマだ。俺も呼びすて――」

 「了解です(イエス)主様(マスター)


 ダメらしい。何故だ。むず痒いんだけど。全然了解してないぞ。


 「でさ、これに書いてあることって本当のことなのか? 使い魔ってことは、以前の俺も知っているんだろう? 何で……オレ? はこんなことしたんだ?」

 「……それは――」


 何か迷うように視線を彷徨わせる彼女の様子に、思わず ごくり と喉が鳴ってしまう。一体何があったのか。少しの間逡巡した後、彼女はこう言った。


 「――実は、私も記憶を消されているようで、詳しいことは何もわからないんです」


 頬を染めてそっぽを向きつつの台詞である。実に可憐だが聞き捨てならない。それとこれだけは言わせてもらう。


 「照れる場面じゃねーだろ!!」

 「何ですかもう。私だって主様に期待してたんですからね。役に立たない主様ですね。全くもう」

 「何この娘! 何で同じように何も覚えてないのにこんなに上から目線なの!?」


 言いたい放題な使い魔である。使い魔ってこういうもんなの? 泣きそうなんだけど。と、その彼女が無表情ながらどこか得意げに口を開いた。


 「ふふっ、私は出来の悪い主様と違って2つも覚えていたことがあるのです。上から目線なのも当然です」

 「何……? くっ、本当だとしたら言い返せない……!!」

 「ふふふ……1つは、先ほども言った通り、私が主様の使い魔であること。もう1つは――」


 そこで彼女は得意げだった顔を真面目なものに切り替えた。俺も真剣に彼女の目を見つめる。あ、目を逸らされた。頬が赤くなってる。何かしましたかね……。


 「――主様の記憶が無いことを確認したら、ある人のところへ行け、という指示です」


 さっき俺に期待してたとか言ってなかったか。駄目元か。くそぅ。いや、それよりも。


 「……ある人?」


 誰だろう。

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