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黒い夢と赤い夢Ⅱ ――女騎の復讐――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 戦争の歯車 ――ディメント支部――
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第7話 ビッグ・フィルド=トルーパー

※コマンダー・アレイシア視点です。

 【ディメント支部 外部エリア】


 私とコマンダー・コミットはディメント支部の外に出る。すでに日は完全に落ち、空は真っ黒に染まっていた。

 ディメント支部正面のすぐ近くにある人工の高台に上ると、シールドの外――遥か遠くに国際政府軍の飛空艇艦隊が見えた。


「コマンダー・アレイシア将軍、国際政府の軍勢です。ついにやって来ました」


 若い少年――コマンダー・フィルスト少将が私に話しかける。彼もフィルド・クローンだ。ただ、男性バージョンのクローンは彼しかいない。


「国際政府の軍勢は40万人だそうです。指揮官は特殊軍長官レイズと特殊軍将軍のクェリアです」

「ほう、あの2人か……」


 国際政府というのは2つに分けられる。一方が警備軍。もう一方が特殊軍。国防に特化しているのは後者だった。その長官と将軍1人が出て来たか……。

 私は用意されたイスに座る。目の前に3つの大きなシールド・スクリーンが現れ、シールド外の状況を映し出す。


「国際政府軍は一点突破のようです。丁度、この高台の正面から攻めてきています」

「そうか、ならやりやすいな」


 正面から攻め込む国際政府軍は、まずシールド外に配備されたアレイシア軍と戦わなければならない。その多くが上空での戦いだ。

 黒色をしたアレイシア軍の中型飛空艇――軍艦と、白色をした政府軍の中型飛空艇がお互いに砲撃し合っている。ここまで砲撃音が聞こえてくる。

 一方、一部の政府軍はガンシップなどを使い、次々と地上に着陸し始めていた。人間がシールドをすり抜けることはできるが、大きな物はすり抜けられない。だが、シールドを抜けた後が本戦だ。シールド内部には30万人のクローン精鋭兵が配備されていた。


[キャプテン・フィルド将軍、早くもクェリアが出て来ました!]

「ほう、さすがだな」


 映像の向こうにいるクローン兵の報告と共に、映像が切り替わる。変わって映し出されたのは、シールド内の映像だ。緑色のラインが入った青色の装甲服を纏う女――クェリアが、長く細い剣を振り回している。凄い勢いでクローン兵士たちが斬り殺されていく。


[クェリアを止めろ!]

[政府特殊軍将軍だ!]

[彼女を討ち取れ!]


 黒いレザースーツを着た何十人ものクローン兵が、1人の政府軍将軍に向かっていく。だが、彼女は至って冷静だった。長い剣を自由自在に操り、群がるクローン兵を斬り捨てていく。さすが、政府の四強ともいわれる“四鬼将”の地位を持つだけに強いな。


[将軍、クェリアは私にお任せを]

「グラビトン中将……!」


 別の映像にグラビトン次期ネクスト中将の姿が映し出される。彼女はニヤリと笑うと、カメラに背を向け、クェリアの下へと向かっていく。……ここからでも、彼女の姿が簡単に確認出来た。なぜなら、――


「グラビトン次期ネクスト中将、大きいですね……」

「フィルスト、お前もあれぐらい背があればよかったのにな」

「僕はあんなに大きくても、強くなれませんよ」


 フィルストが少しだけ笑いながら言う。……グラビトン次期中将は――


[グラビトンさんだ!]

[がんばってください!]

[中将、行っけぇっ!]


 画面の向こうからクローン兵たちの歓声が上がる。グラビトンの接近に、クェリアが血まみれの剣を止める。驚いた表情を浮かべる。


[こ、これは……!?]


 驚くのも無理はない。私だって最初は驚いた。どうやれば、こんなに大きなクローンが作れるのか、と。


[ウワサの“ビッグ・フィルド=トルーパー”か]


 グラビトンは身の丈に合った大きな剣を抜くと、クェリアに向かって激しく何度も斬りつける。圧倒的強さを誇っていたクェリアは、防戦一方になってしまう。

 ビッグ・フィルド=トルーパー。身長17メートルを誇る巨大クローン兵。それがグラビトンだった。フィルストと系統は異なるが、特殊なクローンだった。


[はぁっ、はぁっ……! 凄いな。一発でも喰らったら終わりだ。……だが、――]


 クェリアはシールド付近まで後退し、体制を立て直す。やたら長い剣を持ち直すと、自らグラビトンに向かって走っていく。巨大クローンから繰り出される巨大な剣を素早く避け、彼女の足元に迫る。


[えっ……!]

「…………!」

[消えろ]


 一瞬の出来事だった。クェリアが高く飛び、グラビトンを越える。彼女の後ろに降り立つ。その剣には流れ落ちる鮮血が付いていた。

 巨大な身体を持つクローンは膝を付き、その場に身体を倒す。おびただしい血が彼女の周りに広がっていく。


「そんな、グラビトンさんが!」


 フィルストが目を見開いて立ち上がる。私の額に冷たい汗が滲む。グラビトンが負けた。クェリアの長剣に斬られ、倒れてしまった。


[ただ大きいだけで勝てると思っているのか?]


 クェリアは剣に付いた血を舐めとりながら言う。その瞳は冷たいものだった。彼女の後ろから国際政府軍の兵士が次々とシールド内に入ってくる。マズイ、クェリアのせいで政府軍の勢いが増したな。逆にアレイシア軍は腰が引けている。


[クェリア将軍、さすがです。後はお任せを]

[カーコリア中将、一気に連中を皆殺しにしろ。国際政府に逆らうメス犬どもを始末しろ]

[イエッサー!]


 シールド内でアレイシア軍と政府軍の戦いが本格化する。思ったよりも被害が出そうだな。だが、それでもフィルドを処刑する価値は、充分にあった――。

  <<登場人物>>


◆アレイシア軍

 ◇将軍

  ――キャプテン・フィルド


 ◇少将

  ――コマンダー・クナ

  ――コマンダー・フィルスト

  ――コマンダー・コミット


 ◇准将

  ――コマンダー・キャタック

  ――コマンダー・オート

  ――コマンダー・ヴェル


 ◇ビッグ・フィルド=トルーパー(次期中将)

  ――グラビトン

  ――グランドー

  ――ペインター

  ――ディストロイ

  ――シュメァツェン

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