捨て猫(一人称)
部活の帰り道。私は捨て猫と出会った。
みかん箱から顔だけ出して、私を興味津々に見つめている。
悪意のない潤んだ瞳と甘えるような鳴き声。
「かわいい~!!」
思わず私は猫を箱から取り出し、ぎゅっと抱きしめてしまった。
服越しに伝わる毛並みの感触が気持ちいい。
抱かれるのが心地よかったのか、鳴き声をあげた猫は顔を擦り寄せてくる。
「本当、変わらないわね~」
と、いつからいたのか、振り返ると親友が呆れた顔で立ったいた。
「まさか、飼うとか言わないわよね?」
「え? それ以外にどんな選択肢があるの?」
こんな可愛い猫と出会って、親友は他にどんな選択肢があるというのだろうか。
すると、親友は溜息を吐くと私に向かってこんなことを言ってきた。
「戻しなさい」
「そんな!?」
その瞬間、体中に衝撃が走る。
こんな愛くるしい猫にそんな酷いことをするなんて、できるはずがない。
「お、鬼!!」
「鬼でも悪魔でも構わないから、ほら行くよ」
だが、親友は猫を片手で奪うとみかん箱の中に戻し、私の手を引いてその場から去っていく。
「ああ、タマ二号~」
思わず私は叫んでしまっていた。
けれども、親友の反応は素っ気ない。
「はいはい。大体、一号がいるんだから、それで我慢しなさい」
「だって、ボヨボヨに太って可愛くいないんだもん~」
だから、可愛いのが欲しかったのに~。親友の鬼~~~。
そうして私は呆れる親友に引っ張られ、暴れながらそこから離れてしまうのでした。
主語を私とし、私が見える範囲での部分のみの描写を心掛けてます。
後は地の文で会話文みたいな心理描写を書いてみたり……
そういえば一人称で書くのって始めてだな。
そのせいでおかしなところがあるかもしれません(汗)