表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

第1話:断罪された悪役令嬢、反省の余地なし。これは私が前世で作ったゲームですから

気づけば、私は自作ゲームの断罪イベントの最中にいた。


「クラウディア・エルヴィラ=ローゼンベルク。貴様との婚約は、ここに破棄とする!」


王太子の高らかな声。

涙ぐむ令嬢たち。

衝撃で静まり返る社交界の舞踏会会場。


……テンプレすぎて笑える。


なぜなら、これは乙女ゲーム『ロゼ・オブ・セレニティ』の有名シーン。

その世界に、私は“転生”してしまった。


いや、厳密に言えば、


私はこのゲームの開発者だ。


前世の名前は岸本美月。

シナリオもルート分岐もセリフも、全部私が書いた。


だからこそ、今自分がいるこのイベントも、嫌になるほどよく知っている。


「クラウディア、お前の高慢な態度、王太子妃としての品格に欠ける振る舞い……許されると思っていたのか?」


ヒロイン・セリアが悲しそうにこちらを見てくる。

攻略対象たちは一様に私から視線を逸らす。


――これが、“断罪イベント”。

通常ルートなら、ここでクラウディアは国外追放。


でも。


「そう。そうですわね。貴族の責務を理解しておりませんでした。婚約破棄、しかと受け入れますわ」


私は、にっこりと笑った。


「……えっ?」


会場が一瞬、凍りついたように静まる。


「貴族として未熟だった私が至らぬ者であったこと、認めます。ですが――殿下、その“断罪”、スクリプト通りすぎてつまらなくありません?」


私は、静かにステップを踏んで壇上を降り、誰にも告げずに会場を出ていく。


(さて。始めましょうか――ゲームの書き換えを)


だってこれは、私が作った世界。

ルートのひとつやふたつ、“上書き”できなきゃ、作者の名が廃るわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ