95.呪われた祝いの日に
!時系列が前後してしまったので、ロドリコの戦闘回をこの後にしました!
あと、途中から話数がおかしかったので修正しました。
戦いの嵐が去った後の、ユリエルたちとインボウズたちそれぞれの結果。
聖王母の桃を巡る一連の戦いで、ユリエルは望む戦果を手に入れられませんでした。
しかし同時にインボウズも、これで果たせると思った目標を果たせていません。そして、そのせいで聖神祭に大変な災いが……!
また聖女に新キャラ登場です。
懐かしい面々も、それぞれに今の事態に巻き込まれていく。
ロドリコたちを送り出して、虫けらのダンジョンはようやく静かになった。
「はぁ……つ、疲れた……」
ユリエルたちは、皆がぐでぐでに疲れ切っていた。
桃を囮に戦いの期限を設けた時から予想はしていたものの、激しい戦いの連続で心身ともに休まらなかった。
特にカッツ先生とセッセイン家、ロドリコたち、その後の冒険者と衛兵の掃討にはほぼ総力で当たった。
その間にも桃の行方やセッセイン家の対応を気にしなければならず、頭の中が混線しそうだった。
特にユリエルは総司令官として、目が回るような忙しさだった。
「ユリエル……よく頑張りなすったねえ。
今は、ゆっくりお休みんさい」
オリヒメが、優しくしっとりとユリエルを労わる。
「うん、ありがとう……何か、しゃべり方まで変わってない?」
ユリエルはオリヒメの糸ベッドに身体を預けながら、訝しそうに呟いた。
戦いの最中、いろいろなことがあった。敵にいろいろされたし、味方もいろいろ試したし、それで多くの変化が起こった。
味方の魔物たちの進化は、その最たるものだ。
ロドリコたちとの戦いの最中、ユリエルは自らの純潔と本気を示すため、仲間に自らの血を与えてその場で進化させた。
そのため、名つきの仲間たちは皆前と違う姿になっている。
中でもオリヒメは、内面まで変化したらしい。
前のただ情けなく怯えるだけではなく、憂いを帯びた中に覚悟とそれを楽しむかのような妖艶な表情。
しなだれかかるような、心を絡めとり胸に飛び込ませるような、独特な言葉と口調。
そして裸でもビキニアーマー一丁でも以前は気にしなかったのに、なぜか自分を美しく飾りたがるようになった。
今も、自分の糸で作った半透けのストールを羽衣のように巻きつけ、髪に花を挿している。
もう完全に、モテるための格好だ。
「むう……オリヒメちゃんが私を置いてどんどんきれいになっていく。
つまり私は、オリヒメちゃんの引き立て役に……」
ユリエルが嫉妬すると、オリヒメはユリエルに寄り添ってささやいた。
「そんな事は、ありませんえ!
わっちの美しさは全て、あなた様のもの。わっちはこの姿で、あなた様の怨敵である調子に乗った男どもを成敗するんですえ」
姿こそモテ系に寄ったが、オリヒメの中で男性不信は根深い。前からゲースのような底辺冒険者に閉口していたうえ、今回アンサニーに一方的な愛を押し付けられたのが効いている。
それが花魁蜘蛛の女を武器にする性質と、世の男を恨むユリエルとの共鳴と混ざり合い、大変容赦ない妖婦と化している。
「ふふふ……乙女の純情を踏みにじる男は、皆わっちの糸で地獄行きですえ!」
オリヒメは、ほのかにイッた目で呟く。
今回の戦いで、オリヒメは敵わぬ絶望に大変なショックを受けた。それによって、オリヒメの心は一皮むけた。
怯えて守ろうとするだけではダメだと分からされ、殺られる前に殺る覚悟が深くキマッた。
修羅の世を生き抜く遊女のような、ある種のたくましさが備わった。
「これまでは、わっちが弱くて迷惑かけんした。
これからは、愛しいユリエルを邪な男から守る地獄の花になりんす」
オリヒメは、以前の弱くてすぐへたれる自分をここまで守ってくれたユリエルに、心から感謝していた。
厳しい戦いを経て、二人の絆はまた美しく磨かれた。
絆の形が変わったのは、元人間のキメラたちもだ。
レジンは戦いの中で、ケッチとミーは真実が人間側で証明されるのに伴い、人間だった頃の記憶を取り戻した。
そして、人間としての心で判断してユリエルと共に戦うことを選んだ。人間としてユリエルを支えることを望んだ。
「あー……なんだ、初対面の時はなめくさってすまねえな。
俺も結構修羅場くぐって来たつもりだが、逃げられるとはいえあんなひでえ戦に飛び込む勇気があるなんて。
姉御の肝っ玉なめてたぜ!
これからも、舎弟として側に置いてくれよ」
レジン改めレジスダンは、感服して頭を下げた。
レジスダンは戦いの中で、ユリエルの逃げぬ強さを目の当たりにし、心を打たれた。いかなる時も仲間を思う、優しさと厳しさに驚かされた。
そして、人間として野盗を率いていた自分と比べて……己のやり方のまずさと器の小ささを思い知った。
こんな頼れる人がやり直しの機会を与えてくれたのだと、胆に銘じた。
これが、人の上に立ち下の子を守り育む理想の家族だと思い至り……ユリエルを姉のように慕うようになった。
「うーん、舎弟かぁ……。
添い遂げる夫婦とか、目指してみたりしない?」
「いやいや、姉御は俺なんかにゃもったいねえ!
俺が道を開くから、いい人見つけてくれよ」
「持ち上げられてるのに悔しい!!」
ようやくまともに本音でしゃべれる男ができて、ユリエルの方も当初思った以上に打ち解けた。
一番欲しかった関係ではないが、寂しさを埋めて余りある関係になれた。
レジスダンは、家族を守るという生きる目標を再び手に入れた。大切な姉を守るために、レジスダンはこれからはより深く考えて戦うことだろう。
自分たちの弱さと愚かさを思い知ったケッチ改めケチンボーノとミー改めミーハも、これまでよりずっとよく考えるようになった。
「俺ら、本当に馬鹿だったよな。
……でも、あんなに偉いと思ってた聖騎士様も、よく考えないと同じになっちゃうんだな」
「うん、あたしたちだけじゃない。
でも、それは全然喜んじゃいけないのよね。
一見いいものだと思っても、信じて言うことを聞くだけじゃダメ。一度取り返しがつかないことをしたら、謝ったって意味ないもの」
ケチンボーノとミーハは、教会を盲信して自分たちのことしか考えずユリエルを捕らえようとしたことを心から悔いた。
ロドリコたちに同じ目に遭わされて一瞬でやられ、さらにその後やらかして反面教師となったロドリコの姿を見たことが、心に深く刺さった。
自分たちもこの偉い人も、何て愚かで不毛なことをしているんだと。
そして、世の中の皆にそうさせている教会と悪徳坊主にひどく失望した。
そんなクソみたいな世の中で、わずかな仲間と真実のために戦うユリエルが、とても眩しく尊く見えた。
だから、どうせ人間社会に戻れないこの身、そのために使おうと決めた。
もうこれ以上、自分たちのような正義と信じて悪事を働く人が増えないように。たとえ今そういう人と戦っても、将来の禍根を断てるように。
「ユリエル様……幸せになれるように、応援するわ」
「ああ、悪徳坊主の思うようになんてさせねえ!」
ケチンボーノとミーハは、身を寄せ合ってユリエルを支えてくれる。
こうしてラブラブッぷりを見せつけられると、ユリエルとしては少し腹立たしいが、気持ちは受け取ることにした。
二人は間違いなく、ユリエルにも自分たちのような幸せが訪れることを望んでくれているのだから。
しかし、皆の望む最終目標を思うと、今回の戦果は不満だった。
「うーん……これだけの仕掛けをしてみんなにも頑張ってもらったのに、結局インボウズは倒せなかった。
アノンの仇だけは討てたけど、何だかなぁ」
ユリエルは、力が抜けたようにぼやいた。
今回の大きな目標である、聖王母の桃をインボウズの下に届けることには、成功した。これでインボウズが桃を食べていれば、おそらく本当に一撃で勝負がついたのだ。
しかし、インボウズは桃を食べなかった。
桃を食べて地獄に落ちたのは、ゴウヨックとミザリーだけ。
どうもアノンのことを巡ってゴウヨックが調子に乗ってインボウズと不仲になっていたらしいが、ユリエルには知ったこっちゃない。
それでユリエルの仇が討てず、おまけに仇のインボウズが笑う結果になってしまったのだから、いい迷惑だ。
「ああ、せっかく魃姫様がくださったのに……こんなんで打ち漏らすなんて!
多分、もう同じ手は通じないだろうな。
大山鳴動して、討ち取れたのは手下の豚が二匹か」
予期しないところで戦果が減って、ユリエルは消沈していた。
「それだけってこたぁ、ねえがな。
神が遣わしたクソ転移者の化けの皮もはいでやったし、セッセイン家は姉御の真実を認めてくれた。
聖騎士だって二人こっちについたし……まあ、あの様子じゃあいつらの方はあんまり期待できねえが」
レジスダンが、ユリエルを励ますように他の戦果を並べてくれた。
だが、それでもユリエルは憂鬱だ。
「……けどさあ、それ全部、すぐ事態の解決にはならないじゃん。
カッツ先生は本人の問題とか相手が悪かったとか言われたらそれまで。セッセイン家は表立って私のために動いてはくれない。
あの聖騎士さんたちだって、すぐ世直しできるとは思えない。いいことをしたはずなのに、何か迷惑かけちゃった」
思ったほど事態が動かなかったことに、ユリエルはひどく落胆していた。
今頃は桃を食べたインボウズが倒れ、他の枢機卿に切り捨てられて悪事が明るみに出ていると思ったのに。
そこまでいかずとも、インボウズのことで他の枢機卿が胆を冷やして少しは世の中が良くなるかと思ったのに。
いろいろ細かい戦果はあれど、大きく見ればあまり変わらない。
こんなにいろいろやったのにと、ユリエルの疲労感は倍増だ。
しかしそこに、シャーマンが落ち着いて口を挟んだ。
「大丈夫さ、変わらないってことはないよ。
うまくいってないのは、お互い様。その悪徳坊主だってそのうち、今のあんたと同じ気持ちを味わうのさ。
だって桃を取られたって、あんたは痛くもかゆくもないだろ?」
「あっ……そうか!」
相手の状況を思って、ユリエルの目に光が戻った。
インボウズは、桃を奪えたことでユリエルを倒せたと思っているはずだ。しかし、実はユリエルには何のダメージもない。
それに人々が気づいた時、インボウズはどうなるか。
シャーマンは、遠くを見るような目で告げた。
「地上の……リストリアの中心で、巨大な邪気が膨れ上がっている。
聖呪が行き場を失ったまま、溜まり続けてるんだろうね。
まだ、あたしも頭骨の冠を被らなきゃ分からないが……すぐ側にいる人間には、そろそろ影響が出るだろう」
当たり前だ。マリオンが教えてくれたとおりなら、聖呪は発射されない。
極限の飢えと渇きに苛まれ無理矢理生かされているアノンの苦しみを呪いに変え、そこに溜め続けている。
その呪いが、そろそろそこにいる人に牙をむき始める。
「そうだ……聖神祭だわ!今年はインボウズが、演説をするはず。
もしそこで言ったことと現実が違ってて、集まった人に被害が出たら……」
ユリエルは、不謹慎だと分かっていても期待の声を上げた。
ケチンボーノとミーハも、真顔でうなずく。
「ああ、それまでいくら無関心で流されてる奴らでも、自分がひどい目に遭ったら何かおかしいって思うもんだ。
それが悪徳坊主が言った事と食い違ってたらなおさら」
「うん、きっと、何でユリエル様は神様に罰せられないんだろうって思うわね。
そこから、気づくきっかけになってくれたら……」
ミーハは、神に祈るように胸の前で手を合わせた。
今日は、聖神祭。主神ロッキードの、聖人教会最大の祝祭日。
たとえ神が見ていなくても、偽りを押し通してきた裁きは下される。神と教会のための聖なる日に、行き場のない呪いが牙をむこうとしていた。
学園には、一見平穏が戻っていた。
ミザリーに付き合わされることがなくなったティエンヌは、せいせいしていた。そして、ミザリーの残したものを罰金としてもらおうと、ロッカーに来ていた。
「うっふふふ、ミザリーにも天罰が下ったことだし。
どうせもう戻ってこれないんだから、金目のものは全部あたしが没収してあげる!」
ティエンヌは、意気揚々とミザリーのロッカーを開けた。
だが次の瞬間、学園中に響き渡る絶叫を放った。
「ぎょえええ!!?」
ミザリーのロッカーの中には、腐ってカビまみれになったお菓子が積まれており、そこに大量の虫が蠢いていた。
それもそのはず、ミザリーは常にロッカーに大量のお菓子を置いていたが、ティエンヌに奢らせるようになってからは外で食べてばかりでこれに手をつけていなかったのだ。
「嫌ああぁ虫!!」
「何で!?殺虫剤で滅んだんじゃなかったの!!」
ロッカーからあふれた虫は教室中に飛び回り、女生徒たちを恐怖に陥れた。
殺虫剤で虫はいなくなったと油断していた女生徒たちは、あっという間にパニックになった。
だが、ここにこんなに虫が集まったのは殺虫剤のせいなのだ。
殺虫剤によって菜園や果樹園から命からがら逃げだした虫が、魔法で温かく保たれており餌があるここに住み着いてしまったのだ。
そんなことも分からず、ティエンヌはキャンキャン喚く。
「誰か!誰か退治しなさいよ!!
誰も動かないなら、全員破門よおおぉ!!」
しかし、逃げ出す者はあれど対処しようとする者はいない。
虫係を引き受けてしまえば、次のいじめの標的になる。クラスの全員が、ユリエルとアノンのことで思い知らされている。唯一対処できるユノは、わざと知らんぷりだ。
結果、板挟みになった令嬢たちはますます逃げ惑い、それに驚いた虫たちはますます飛び回る。
だがそこに、冷静な声がかかった。
「大丈夫、動かなくてもやれるわよ」
たちまち、清らかな水が美しく形を変えながら教室中をなめた。水は虫たちを中に閉じ込め、窓から出ていった。
それをやったのは、一人の美しい楽聖女。
くっきりとしたアイラインに長いまつ毛、見栄えがする派手で美しい顔の聖女は、呆れたように呟いた。
「ユリエルもアノンも、よくやってくれてたのに破門?
必要なら、早まったことしなけりゃいいのに」
その楽聖女は、ティエンヌを恐れもせず、皆が心の中で思っていることを口にした。
ティエンヌの面目は、丸つぶれである。
「ミザトリア……あんた、久しぶりに戻って来たと思ったら……!」
怒りに拳を震わせるティエンヌに、ミザトリアは事も無げに言い放った。
「あら、あなたこそ早く行かなきゃまずいんじゃなくて?理事長が演説するのにあなたがサボッてたら、理事長の面目丸つぶれね」
こう言われては、ティエンヌも早く行かざるを得ない。
父インボウズの栄えある聖神祭演説を、台無しにする訳にはいかない。ただでさえ最近株が下がり気味なのに、さらに失態を犯したらどうなるか。
……だが結果から言うと、ティエンヌがいても演説は失敗に終わった。
いや、インボウズの演説自体が悪かったのではない。もっと別の原因で、演説どころではなくなったのだ。
「だ、誰が救護を!こちらの奥様が倒れられて!」
「キャーッ!子供が吐いたわ!顔が真っ青よ!」
聖神祭の祝儀に集まった人々が、インボウズの演説を待たずに、バタバタと体調不良で倒れ始めたのだ。
参列していた聖女や神官たちは、その対処にてんてこ舞いになった。
一体何が起こっているのかと、一般の参列者にも動揺が広がる。
「な、何が起こっとるかじゃと……僕が聞きたい!!
なぜ、こんな事が、僕の晴れ舞台に!?」
頭をかきむしるインボウズに、カリヨンが険しい顔で詰め寄る。
「理事長、このひどい邪気が分からないのですか!?前日に、会場の確認とお清めはしたのですよね?」
「き、清めじゃと……掃除はさせたが……だいたい、ここは聖なる場所ではないか」
前日、インボウズはゴウヨックの断罪に立ち会い、目の上のたんこぶがなくなった喜びで気持ちよく酒を飲んでいた。
元々聖なる施設なので、見た目だけきれいにしておけば問題ないと思っていた。
実はその時掃除をした弱い神官たちは体調不良を起こし式典を欠席しているのだが、インボウズはけしからんと思っただけで原因を調べようとしなかった。
その結果が、これだ。
「し、しかしこんな強い邪気……一体どこから?」
「お忘れですか、この地下にはアノンが聖呪の生贄となって幽閉されています!」
「す、するとこの邪気は聖呪!?
しかし、ユリエルから桃は奪ったから、そちらに飛んでいったはず……」
「それを確認なさったのですか!!」
カリヨンの指摘に、インボウズは青くなった。
言われてみれば、聖呪がユリエルに放たれたか確認していない。聖王母の桃を奪い食べてしまったから、もう阻まれることはないと思い込んでいたのだ。
それに聖呪は力の源が神であるからして、神の祝福によるリストリア大聖堂の結界を貫通してしまう。
つまり、それが意味するところは……。
「ユリエルに、聖呪は届いておらんのか?」
インボウズは、呆然とした。
今からしようとする演説は、聖呪でユリエルを倒しリストリアの危険を除いたことを誇示する内容なのに。
こんな、誰の目にもそうでない証拠が人々に降りかかっては。
「そんな事より、今は人々の救助とここの浄化でしょう!
……あなたにやる気がないなら、私が指揮を執ります」
頭がパンクしているインボウズを差し置いて、カリヨンがてきぱきと級友たちに指示して対処を始めてしまう。
シノアたち楽聖女の力で人々の苦痛を和らげて落ち着かせ、実力派のユノとカリヨンたちが強力な浄化魔法で一時的に邪気を払う。
ミザトリアは華麗な舞いに合わせた器用な水魔法で、聖水をまいて人々に避難の道を作っていた。
集まった人々の目は、カリヨンたち聖女の働きに釘付けになった。
そして同時に、インボウズにひどく失望した。
「何だよあの枢機卿は!俺たちをこんな目に遭わせやがって!」
「な、なあ……この地下って確か、破門聖女が聖呪のために閉じ込められてたんじゃ……」
「聖呪って、悪い奴をやっつけてくれるんじゃなかったの!?一体どうなってるのよ!!聞いてた話と違う!!」
式典は急遽別の会場で続行したものの、もはや人々の不満と疑念は隠し切れるものではない。
インボウズはなおも演説を行ったものの、予定していた内容をひっくり返されてしまったため、あいまいで要領を得ない酷いものとなった。
だが、インボウズの心配はそれどころではない。
この教会の信用を揺るがす事態を報告せねばならない、枢機卿会議が迫っている。
そして聖神祭の喧騒に紛れ、もう一人の枢機卿にも危機が迫っていた。
インボウズたち高位聖職者は身分を示すものとして聖なる魔道具と性能のいい聖衣を身に着けているので、多少邪気があっても自分だけは耐えられてしまいます。
なので逆に探知能力を磨いていないと、自分以外を侵す邪気に気づけないという大失態の元に。
ティエンヌとインボウズの実力が知れる(笑)
いくつもの戦いとイベントを同時進行する時点で難しかったのですが、ついに時系列がおかしくなり話を並べ直すはめになってしまった。
ロドリコ戦以降の時系列としては、以下の通りです。
1.ココスとアンサニーが戻り、桃がゴウヨックの手に
2.ゴウヨックが糖尿病と戦っている間に、セッセイン家がユリエルの血を鑑定
3.ゴウヨック破滅
4.ロドリコが真実を知った人間たちを率いて、虫けらのダンジョンから出陣
5.聖神祭、インボウズの演説失敗
6.次回、ファットバーラ邸の戦い