94.反逆の聖騎士
だんだんだがリカバリーしてきた。
舞台は再び虫けらのダンジョンに戻り、追い詰められたロドリコのターンです。
出口が見えず苦悩するロドリコの前に現れた、ロドリコがユリエルを討つと決めたきっかけのキメラ二人。
そして許しとともに告げられる、衝撃の展開。
己の罪と向き合い、仲間を思うロドリコの決断は。
砂漠に伏してかすかに息をしながら、一人の男が映像を見ていた。
コウモリの羽が生えた目玉が、セッセイン家でのユリエルの血鑑定とその顛末を映し出している。
男はそれを眺めて、力なく呟いた。
「そうだ……それでいい。あっちは、間違えなかった。
これなら、俺みたいにゃ、ならねえから……」
男は、全身傷だらけでボロボロだった。
純白と金縁の立派な鎧も傷だらけになり、見る影もないほど汚れ切っている。これが聖騎士だと言われても、人々が信じるか怪しいほどに。
男の名はロドリコ。美食ハンターにして、聖騎士。
だがロドリコは、人道上許されない過ちを犯した。
正義を執行する立場にありながら、自分が事情に興味を持たなかったせいで、貶められた乙女の無実の証を見ても気づくことなく殺そうと突き進んだ。
その報いを今、ロドリコは受けている。
どう足掻いても敵わない圧倒的強者三人に、どれだけ謝っても許してもらえず、追いかけられ痛めつけられ続けている。
ロドリコはここ一週間ほど、どうにか三人から逃げようと頑張り続けている。
だが、その努力が報われることはなかった。
魃姫配下の三人は、それぞれ一人でロドリコを打ちのめせる猛者。それが、ユリエルが全て見通せるダンジョン内で襲ってくる。
結果、ロドリコは逃げ切ることができず、10階層と11階層をさまよっている。
地上に戻ろうとしても、10階層の入口を桃仙娘娘が固めていて、周りの植物まで味方にして絶対に通してくれない。
逆に下ってユリエルに謝ろうにも、11階層の出口を鎧武者が守っており、周りの砂をも熱して武器として阻んでくる。
そしてどこにいても、杏仙娘娘は遊ぶように襲い掛かって来る。
本当にすぐ殺す気では、ない。いたぶって思い知らせているのだ。
ユリエルの気持ちを味わってみて、どうだと言わんばかりに。
(ああ、マジで……未来が見えなくなってきやがる……。
どんなに謝っても、心の底から伝えようとしても、取り合ってくれねえ。力じゃ絶対勝てねえし、何度逃げても戦っても解決しねえ。
こんなん、どうしろって言うんだよ……!
けど……俺がユリエルにしたことなんだよなぁ)
先が見えない逃亡生活に、ロドリコの心は折れかけていた。
自業自得だと自覚することが、さらに心の重石を増やす。
ロドリコとしては、謝れば手を取り合えると思っていた。だが、それはとても世間知らずで幼稚な考えだった。
率直に言って、ロドリコが強いから本当に追い詰められることがなかっただけ。
弱くて先が見えない籠城戦をやるしかないユリエルの気持ちなど、考えてもいなかった。
だから、自分がその立場になってみて改めて分かった。無実の証にすら気づかず正義に溺れて襲い掛かった自分が、いかに愚かで理不尽で残虐だったか。
その報いだと言われたら、ロドリコは言い返せない。
(ハァ……ココス、アンサニー……本当に、もう会えねえかもな。
けど……ユリエルは、地上で仲良かった全員とそうなってんだよな。いや、あの二人が俺を殺しに来ねえだけ、まだマシか……)
同じことを返されるにもまだ生ぬるいのに、ロドリコは打ちのめされていた。
自分が悪いのは、分かる。しかし、自分にもまだまだやれること一緒にいたい人があるのに、これはないじゃないか。
そんな風に駄々をこねる自分が醜くて、どんどん嫌いになって。
しかし救いを求める心は、どうにも止められなくて。
(ユリエルは、自分を救うために他の力を借りて一生懸命道を開いてる。
ああやって少しずつでも他人の心を開いていけば、報われる日は来るかもな。
……けど、俺は?
なあ、俺は一体何をしたらいいんだよ?どうしたら、許してもらえるんだよ?俺、もう間違えないようにするからさ!)
映像の中の貴族は、どうやら真実を認めて許してもらえたようだ。
もっとも、そこから先どう動くかのかじ取りは極めて難しいだろうが。
だが……ロドリコだって、もし同じ立場にしてもらえたら、全力でユリエルのために力を尽くす気はある。
むしろ貴族と違って、自分は聖騎士さえやめれば自由なのだから、もっと積極的に動くことだって……。
頭の中で逃げ道を探すロドリコの前で、映像が切り替わった。
映っているのは、この任務の前に少しだけ顔を合わせたオトシイレール卿。
わざとらしくいかめしい顔をしたり露骨に蔑んで笑ったりしながら、ユリエルの正当な抗議を軽く却下して濡れ衣を着せ、破門した。
「この野郎……どんだけ腐ってんだ!
けど、こんな奴の方を世の中は信じてるんだよな。そりゃ、生きたかったらこうするしかなくなるよな。
……ああ、でも、情報を集めようともしなかった俺よりはマシなのか」
ユリエルを理不尽に堕としたインボウズに、ロドリコは激しい怒りを覚えた。
だがそれを盲信した奴らのことまで考えが及ぶと、その怒りが自分に対しても跳ね返ってくる。
両方の言い分を聞いてどちらかを信じたなら、無関心だった自分よりましだ。
しかし、それで偽りの正義の下に不毛な戦いに突っ込んでしまうとは、何とも救いがたい話ではないか。
それで死んでいった、そしてこれから死ぬであろう多くの人を思い、ロドリコは何もできない自分が悔しくてたまらなかった。
そこに、敵の気配が近づいた。
杏仙娘娘ではない、もっとずっと弱い魔物だ。それが、二体。
ロドリコが顔を上げると、見覚えのあるキメラがいた。
赤と青の水玉模様の道化師のような恰好をして、首元にフサフサのファーを巻いた、下半身が毛虫の少年少女。
「おまえらは、確か……7階層にいた……」
「そう、元人間だよ」
二人は神妙にうなずき、自分たちの事情を告げた。
「ユリエル様に、こうなる前の記憶を戻してもらったんだ。
真実を証明する時が来たから、それを見てこれからどうするか決めろって」
「ユリエル様はあたしたちに、勝手に魔物にしてごめんって謝ったわ。
それから、真実を見てそれでも一緒にいたくなかったら、せめて安らかに逝きなさいって。これ以上戦いを強要しないって」
そこまで言って、少女は涙声になった。
「優しいよね……あたしたちは、ユリエル様の話を少しも信じないで自分のことばっか考えてたのに!
こいつを倒せば二人の愛の巣が買えるって、舞い上がって……!
ユリエル様は、最初は刃を向けずに助けを求めて来たのに……!」
「ああ、俺たちが馬鹿だった。
愛と正義の使者にでもなったつもりで、あんな目に遭って普通の幸せを奪われた人をさらに踏みにじろうとして。
正直、殺されても仕方ねえことしたよ」
それを聞いて、ロドリコは気づいた。
この二人は、自分と同じだ。自分たちの幸せだけを考えて、自分たちだけの世界に酔い、貶められた人に平気で刃を向けた。
ただしこの二人は、ユリエルに負けたので慈悲を受け、二人でいさせてもらえたのだけど。
二人は、それを知って決めたことを告げた。
「それでもユリエル様は、ここで自分に力を貸すなら、このまま一緒にいて幸せな家庭を築いていいって言ってくれた。
……全く、できすぎだろ。殺しに来た相手に、ここまでするか?
でも、ミーハと一緒に幸せになりたい気持ちは止められない。
だから俺たちはこれからも、ユリエル様の味方として、魔物として生きる!」
「うん、あたしたち、ユリエル様の真実のために戦う!
さっきの映像に出てた、村で虫を退治してくれたユリエル様に嫌がらせしてた人の中に……あたしのお父さんがいたの。
お父さん、いい人だと思ってたのに……悪い枢機卿を信じたせいで!
こんなのやめさせなきゃ!!いい人がきちんといい事をして、報われる世界にしたいの!!」
二人の決意は、その身を地に打ち付けるような祈りだった。
二人は、どちらの立場でも戦った。最初は教会を信じてユリエルを殺しに来たし、魔化してからはユリエルのために人間と戦った。
だからこそ、二人にはこの戦いの悲しさが分かった。
ユリエルの冤罪を晴らそうとするのは、正しい。誰だって、犯してもいない罪で罰せられていい訳がない。
だが、ユリエルを殺しに来る者が皆悪い奴かと言うと、そうでもない。
二人自身も含め、大多数はそれが正しいと思い込んでのことだ。自分が騙されていると思わず、世のためだと信じてやっている。
善人同士が殺し合い、本当の悪人は戦火の届かない所で笑っている。
二人は、その救いのなさに愕然とした。
本当は、知らないだけの善人を傷つけるのは悪いこと。しかしそうでもして人々の目を覚まさせないと、この戦いは終わらない。
自分たちや世の大多数が信じていたようにユリエルを倒しても、大元をどうにかしなければ繰り返すだけだ。
それが分かって本当の解決のために戦っているのは、現状ユリエルたちのみ。
その本質を知ると、二人はユリエルに手を貸し続けることに決めた。
「聖騎士様の言う通り、俺たちがキメラになって引き裂かれた絆はある。奪われた普通の幸せも、たくさんあると思う。
でも、だからってこの戦いを悪い奴の勝ちで終わらせちゃダメだ!
だから俺たちは……ユリエル様の血でもっと強くなって、戦い続ける!!」
覚悟を決めた二人の手には、杯があった。
そこから漂ってくる、血生臭さ……おそらくユリエルの『純潔なる神器の血』が、注がれているのだろう。
二人は、それを飲んで進化しようというのだ。
「それで、聖騎士のおじさんはどうするの?」
二人は、ロドリコに杯を見せつけて尋ねた。
「おじさんは人間の幸せのために、キメラとそれを作る奴を許さないのよね?
じゃあ、あたしたちがこの戦いをやめるまで倒し続ける?この杯を奪って、ユリエル様の大事な血を砂にぶちまけるの?」
「別に、俺たちはそれでも構わねえよ。何度でも復活して戦うし、ユリエル様もきっと怒らないでまた血をくれるから。
どうだ、やるか?」
ロドリコは、静かに首を横に振った。
「いや……どうか、ユリエルを支えてやってくれ!
聖騎士がこんなこと言っちゃ、いけねえのかもしれねえが……こんな事を終わらせるためにも、ユリエルは勝たなきゃいけねえんだ。
馬鹿な俺の分まで、あいつを支えて世の中を直してくれ!!」
ロドリコは、自分より遥かに弱い二人に深く頭を下げた。
視界の外で、二人がグビグビと何かを飲み下す音がする。
ロドリコが再び顔を上げた時、二人の姿は変わっていた。下半身がイモムシでなくなり、代わりに全身の各所に毛皮のような軽鎧をつけた姿に。
「……文字通り、一皮むけたって訳か。
ああ、いい顔だ。強くなりてえなら、俺を経験値にしてもいいぜ」
ロドリコの口から、ついそんな言葉が漏れた。
ロドリコだって、本当は生きてユリエルの役に立ちたい。だが、己の罪によりそれが許されないならば。
もちろんそれをやれば、ココスとアンサニーには二度と会えなくなるだろう。しかし自分は、二人にも許されないことをしてしまった。
ならばせめてこれ以上他人を傷つけぬようにと、ロドリコは黙って首を差し出した。
そこに、パンパンと力強い拍手が響いた。
「よく分かってくれたようで何よりだわ。
これなら、外に出しても正しい方向に働いてくれるわね!」
いつの間にか、桃仙娘娘たち三人がすぐ側にいた。その顔からは、さっきまでの敵意が抜けている。
それに、今かけられた言葉は……。
「俺を、許してくれるのか?」
信じられない顔を上げたロドリコに、杏仙娘娘は悔しそうに言った。
「本当は、あんたなんか経験値でいいと思ったんだけどさ……どうも、あんたにも戦ってもらわないとまずいから。
地上でユリエルを助けるって帰ったあんたの仲間、捕まってヤバいことになってる!」
「何だと!?」
ロドリコは、一瞬で跳ね起きた。
ココスとアンサニーは自分よりずっと現実を見ていて、許されて償うために帰ったはずなのに。
それが、うまくいかなかったということか。
驚くロドリコに、鎧武者が諦めたように告げた。
「誠に残念だが……おまえたちの主も、ユリエルを陥れた者と変わらぬ性根だったということだ。
このままでは、あの二人まで神の力で正しい心を潰されてしまおう。
それを救えるのは、おまえしかおらぬ!」
それを聞いて、ロドリコは自分がまだ甘かったと思い知った。
ユリエルを陥れたインボウズだけが悪いのではない。それをかばう他の枢機卿もまたグルだったのだ。
自分と同じ甘い考えでファットバーラ卿に情報を持ち帰り働きかけた二人は、ただ虎口に飛び込む結果になってしまった。
だから、その二人を人間として助ける者が必要なのだ。
「くそっ……あいつら、無茶しやがって!
すぐ、俺が……ぐうっ!」
闘志を燃やして立ち上がったロドリコは、しかし力が入らずふらついている。
桃仙娘娘は、そんなロドリコに桃を差し出した。
「食べなさい!聖王母様のには劣るけど、わたくしが手塩にかけて育てた桃よ。
それくらいの傷と体力なら、二時間あれば全快するわ。それに例の桃と違って、長期間体内に糖が湧き続けることはないの」
その言葉に、ロドリコははっと目を見開いた。
「何だと……道理で、これだけまともに食えなくてもあんま筋肉が落ちねえ訳だ!」
ロドリコ自身、逃亡中ふっと疑問に思うことがあった。
逃げるのに精いっぱいでまともに食事を摂っていないのに、なぜかあまり腹が減らないし筋肉も落ちない。
聖王母の桃の果汁を口にしたせいで、体内に勝手に糖分が湧いていたせいだ。
逆にこれがなければ、ロドリコはこの一週間でだいぶ力を落としていただろう。
「待てよ……果汁ほんの少しでこれなら、果肉をまともに食ったら……!」
「ええ、リストリアにいたファットバーラの司教はそれで終了ね。
そいつが独り占めしたせいで、元凶のオトシイレールには届かなかったけど。
ともかく、今ファットバーラ家はそいつのことでゴタゴタしてる。あなたがお仲間を助けるには、好機じゃなくて?」
ロドリコは、迷いなく桃仙娘娘の桃にかぶりついた。
聖王母の桃ほど目がくらむような美味しさではないが、優しくたおやかな味だった。
外の事情はあれど、許しは得られた。今度は己の持てる力の全てで、迷惑をかけてしまった皆に埋め合わせをする時だ。
「待ってろよ……あんな腐った奴ら、この俺が叩き潰して……!」
意気込むロドリコに、鎧武者がさらなる力を持ちかけた。
「すぐ潰せるとは限らぬぞ。ユリエルのように、長期戦を覚悟すべきであろう。
単騎では危険だ。おまえが良ければ、兵を連れて行くが良い。もちろん、人間だぞ」
「兵……そんなモン、どこから?」
蒸し暑い熱帯雨林で、数十人の人間が映像を見ていた。ロドリコたちとユリエルの死闘、セッセイン家での血鑑定、そしてユリエルの味わった苦難。
皆が一言も発せずに、真剣に見入っている。
ここにいるのは、その衝撃の事実を反射で否定せず受け入れる姿勢がある者たちだ。
映像が終わると、ミツメルが彼らに声をかけた。
「さて……これを真実と認めるかは、おまえたち次第だ。もっとも、おまえたちがどう否定しようと真実は変わらんがな。
それで、どうする?
己と世のため、教会と手を切って我らの側で戦うか?それとも、ここで教会に殉じるか?」
ここにいる人間たちは、ロドリコとユリエルの戦いの後、にわかに退路を断たれて深く誘い込まれたあげく捕まった者たちだ。
さらに、もう一つ条件がある。7階層でカッツ先生の醜態を見せつけられ、少しでも教会に疑問を抱いて降伏した者たちだ。
そうでない者は、既に殺されている。
「……死んじゃつまらんし、教会は信用できねえよな」
一人が、消沈した表情でぼやいた。
ここにいる冒険者たちは、最近のできごとで教会に不信を募らせていた。
死肉祭での服従の強要と粛清。その後の魔族の反攻についても、教会はユリエルを否定するばかりで全然原因を示してくれない。
おまけに聖騎士たちが撤退した後ダンジョンに突入してきた衛兵たちは、冒険者たちにカッツ先生のことを黙るかさもなくば死を突きつけてきた。
これで信じ続けろという方が、無理がある。
それをやった側の衛兵も、いくらなんでもおかしいと感じて十人ほど降伏してしまっている。
「でも……そうしたらもう、ダンジョンから出れねえのかねえ」
また一人が、切なげに呟く。
冒険者や衛兵たちが恐れているのは、ここでユリエルの側に着けばもう地上に戻れないのではないかということ。
そしてもう二つ、ここにいて逆の立場で戦えば……。
「それに、常識を信じてるだけの顔なじみと戦うのは嫌だなァ」
「ああ、魔物に背中を預けんのも、何だかな」
降伏したとはいえ、ここリストリアには彼らの顔なじみがたくさんいる。気心知れた仲間と殺し合ったり、寝返ったのがバレて家族を殺されたりしたくない。
それに、魔物陣営になってしまうのは何か嫌だ。自分たちはあくまえで教会を信じられないだけであって、人間の立場を捨てたい訳ではない。
その二つの願いにこたえられる総大将が、彼らの前に現れた。
純白に金縁の聖騎士鎧をまとった、ロドリコだ。
ロドリコは、戸惑う冒険者や衛兵たちに力強く呼びかけた。
「頼む、一緒に悪徳枢機卿と戦ってくれ!!
俺の仲間がユリエルの真実をファットバーラ卿に直訴したら、捕まってひでえ目に遭わされてるんだ!
世の中のみんなが幸せになるために、こんなんおかしいだろ!?
力を合わせて教会をきれいにして、このアホな戦いをやめさせるんだ!!」
この呼びかけに、投降者たちの心は決まった。
正しい事をしようとしている聖騎士すらこうなるようでは、今の教会にはもうついて行けない。
それに、ロドリコがしようとしているのはあくまで人間社会の世直し。魔物陣営で人間を殺す訳ではない。
さらに戦いの場がファットバーラ傘下の地なら、顔バレの危険は少なくなる。
「ウオオオ!!あんたについて行くぜ!!」
「そうだ、やめさせろ!人間を救うんだ!!」
たちまち、投降者たちから勇ましい歓声が沸き起こった。
ロドリコは投降者たちの輪に入り、自分のしたことを懺悔して投降者たちの心を軽くし、手を取り合った。
ここに、教会に反旗を翻す人間の勢力が爆誕した。
「さあてめえら、いっちょぶちかますぞ!
俺らは教会のお偉いさんの物じゃねえ!思い知らせてやれ!!」
ユリエルのたゆまぬ努力と揺るぎなき真実は、ついに一部の人々の心を動かした。ロドリコはその真実の尖兵となり、まずは仲間を助けるために教会に挑むのだった。
聖王母の桃の果汁をなめただけのロドリコたちにも、糖分自動供給は発動していました。
しかしロドリコはゴウヨックたちよりずっと筋肉質で代謝が高く、しかも戦って逃げてばかりで消費が多かったため、体を助ける方に働いていたのです。
刃物は使いようなんですよ。
そして、報酬に惹かれて虫けらのダンジョンを攻略していた冒険者たちが、ついに一部教会を見限りました。
どう考えてもインボウズの対応が傲慢すぎて悪い件。
次回、ファットバーラ家でバトル回です!