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91.ふさわしい罰

 リカバリー!!

 ただし次の祝日とその次まで平常通りとは言ってない(予防線)


 今回は、ひたすらざまぁ回!前半はミザリーたちと共犯のちょっと懐かしい人が出てきます。殺虫剤と菜園の回の、後日談でもあります。

 それにしても、汚い。ミザリーが特定の層に需要のあるヒロインになってしまった。元々デブ専向けだったが、さらに尖ってしまった。


 魃姫がうまくいけば一撃で勝負がつくと言っていた、桃の真の効果とは。

 リストリアは、一年で一番華やかな季節を迎えていた。

 もっとも日が短くなる冬至に合わせて行われる、主神ロッキードを祀る聖人教会最大の祝祭……聖神祭が迫っている。

 都市の大通りには市が立って多くの人が行きかい、たくさんの教会で毎日のようにイベントが開かれている。

 国内一の信仰都市であるリストリアの、一番のかきいれ時だ。

 今年はユリエルの反逆だの死肉祭の大被害だのいろいろあって、夏から学園都市は重苦しい空気に覆われていた。

 だが、それももう終わりだ、と人々は思っていた。

 きっと今頃、魔女ユリエルは聖呪にやられているに違いない。

 自分たちは災いを取り除いてくれた神に感謝し、盛大に祝って今年のこれまでの損を取り戻さなくては。

 人々は晴れやかな顔で、きらびやかに飾り付けられた街を闊歩していた。

 ……ただし、一部寂しそうな顔の家庭もみられたが。

「ハァ……お父さん、聖神祭には帰って来るかな?」

「大丈夫、きっと帰って来るわよ。

 お父さんは神様の御心に従ってお仕事をしているんだから、きっと守ってくださるわ。お父さんは、邪悪な魔女のダンジョンの後始末に行ってるのよ」

 聖騎士が聖王母の桃を持ち帰り、入れ替わるように虫けらのダンジョンに差し向けられた衛兵たちは……未だ帰らない。

 彼らが何のためにダンジョンに差し向けられたのか、今どうなっているのか、知る者は未だ街にいなかった。


 そんな聖なる街の一角、貴族街にあるとある高級レストランの中で……この世の地獄が展開されていた。

「ガツガツガツガツ……おかわりだ!」

「ハグッハグッ……グビグビ……ちょっと、この野菜味がおかしいんだけど!」

 テーブルに乱雑に並べられた数知れぬ皿。それがどんどん空になり、洗うのも間に合わず積み上がっていく。

 床には、食べこぼしがこれでもかとまき散らされている。

 極めつけに、決して食事の場にあってはならないものが、片付けが間に合わず壺に入って放置されている。

 ……さすがに大きい方はそのつど片付けているが、それだって食べ物と同じ場ですること自体が有り得ないのだ。

 だが、今の客にはそんな人として当たり前の話すら通じない。

 今この店の客はたった二人……司教のゴウヨック・ファットバーラと娘のミザリーだ。

 だがこの二人は今、ファットバーラ家から除名されかかっているらしい。家との契約で従っていた者たちとも、切れてしまったそうだ。

 結果、この二人は居場所と自宅の食事を失ってここに転がり込んできた。

 かつてユリエルとアノンが食物による壮絶ないじめを受け、ミザリーがティエンヌのおごりで暴食の限りを尽くしていたこのレストランに。

(くっそおおぉ……どうしてこうなってしまったんだ!!

 せっかくのかき入れ時なのに、他の客を入れられねえ!!)

 際限なく働かされながら、店長は心の中で叫ぶ。

 こいつらさえいなければ、今は聖神祭の前で上客がわんさかいるのに。儲けだけでなく、評判を広める一番の機会なのに。

 このたった二人のせいで、全てが台無しだ。

 おまけに、この二人はほぼ休みなく食べ続ける。店員は馬車馬の如く働かされ続け、休む暇もない。

 下の世話までさせられ、店員の士気はだだ下がりだ。

 それでも、ただでさえ人手不足のこの時期に、新たに雇うのも容易ではない。

 とどめに、この時期の特別なディナーのために買いこんだ最高の食材があっという間に食いつくされていく。

 この親子は一週間しかいないらしいが、これでは新年の分の食材まで食いつくされて営業できなくなってしまう。

(何てこった……まさか、こんな事になるなんて!

 やはり、枢機卿の財布にがっついたのは早計だったか)

 店長は、ゴウヨックと組んでインボウズから金をむしり取ったことを心の底から後悔した。

 ゴウヨックがインボウズの何かの弱みを握り、いくらでも奢らせられると話を持ってきた時は、天が与えたチャンスだと思った。

 ゴウヨックとミザリーの食費ということにすれば、天下有数の富豪と言われるインボウズからいくらでも金を吸い上げられる。

 これは一生に一度の儲け話だとばかりに、わざわざミザリーに高いものを出したうえ水増ししてティエンヌに請求した。

 インボウズからは出費を抑えてくれと言われたが、店長はゴウヨックとミザリーのせいにして貪り続けた。

 それが、いけなかった。

 ゴウヨックが実家に見捨てられてここに転がり込んできた時、インボウズはもうここを守ってくれなかった。

 怒らせてはいけない人を怒らせてしまったのだと、後悔しても後の祭りだ。

 こうなっては、もうゴウヨックにすがって復権に賭けるしかない。

 ゴウヨック曰く、一週間後に体重が保てていれば除名を免れ、司教という地位に留まれるのだそうだ。

 もはやそれしか道はないと、店長は歯を食いしばって働き続けていた。

「ハァ……ハァ……やってやる!太らせてみせる!

 俺の働きは、無駄なんかじゃねえ!

 吐いて無駄にするしかできなかった、あの乞食聖女共とは違うんだ!!」

 この店長にも、自らの行いを悔い改める心はない。

 ユリエルやアノンがこの店でいじめられていた時、店長はニヤニヤ笑いながら加担して弱者を踏みにじっていた。

 そもそもそんな性根だから、ゴウヨックと一緒に調子に乗りまくってインボウズに見放されてしまったのだ。

 なので当然のように、店長はこの二人がどういう状態なのかインボウズに情報をもらっていない。

 本人たちはもちろん、自分たちの名誉のために言わない。

 そのため店長は、自分のしていること……炭水化物モリモリの料理を出し続けること……がどれだけ無駄か、それどころか事態を悪化させるか知らない。

 店長は、解毒剤作りで追い詰められていたアノンと同じように、幻の希望にすがって己に鞭を打ち続けていた。


 ……だが、自分のことは気づかなくても他人のなら見えることはある。

 店長は、インボウズに押し付けられた野菜の山を眺めて顔をしかめた。

(……しっかし、枢機卿は何で学園産の野菜が売れなくなったか分かってんのか?こいつは、出来が悪いとかそういう問題じゃねえぞ)

 最近、これまでは聖なる野菜として富裕層に売れていた学園の菜園産の野菜が、あまり売れないらしい。

 そのせいでインボウズは、ゴウヨックに食わせて代金を徴収しようとここに押し付けて来た。

 料理人としての腕はいい店長には、その原因が分かった。

(わずかだが、えぐみが多く不自然な臭いがする。

 十中八九、夏から使い始めた殺虫剤のせいだろうな。

 ったく、食えればいい一般人相手じゃないんだぞ。富豪は舌も肥えてるし、特に聖なる野菜を欲するような病弱な奴は体に悪い物に人一倍敏感なんだ。

 こりゃ、見た目がきれいでもこのままじゃ売れねーな!)

 分かったところで、インボウズに教える気はさらさらない。

(ハッ……せいぜい困るがいいさ!

 この俺を切ってこんな目に遭わせた罰だ、ザマーミロ!)

 インボウズもきっとこれから、原因が分かるまで無駄に売れない野菜を作らせ続け、断られて困り続けるだろう。

 店長も性悪だが、その店長を悪事に利用して笑っていたのはインボウズである。

 それを棚に上げて店長を一方的に切り捨てたインボウズにも、報いは確実に降りかかりつつあった。


 ゴウヨックとミザリーは、まさに暴食地獄の最中にいた。

「ガブッ……食え、食うんじゃミザリー!

 とにかく脂を入れ続けるんじゃ!糖だって、出るより多く入れればいいんじゃ!」

「はい……ムグッ……お父様!

 何としても、体重を維持してみせますわ!!」

 二人はもはや狂ったように、目に入る食べ物をひたすら口に突っ込み続けていた。ただ渇きと空腹に突き動かされ、飢えた獣のように。

 もう、味わってなんかいられない。

 そこに、食べる楽しみなんてない。

 糖尿病でやせていくのに少しでも抗うために、美味しくなくても口に突っ込んで体に入れねばならない。

 かつてのように、美味しい所だけなんて贅沢は言っていられない。

 手が届いて食べられるものは、全て食い尽くす。心が満たされなくても、恐怖と体の本能に引きずられて食べ続ける。

 たとえ、それがかえって体に悪いと方々から言われていても。

(じゃあどうしろって言うのよ!?

 ワタクチたちを助ける方法は、教えてくれないくせに!!)

 ミザリーは頬がはちきれそうなほど食物を詰め込んで、涙目になりながら心の中で毒づいた。


 自分たちがこうしているのは、こうするしかないからだ。

 禁忌の病が判明してから、できることは全てやった。

 超高価な最高級の回復薬、エリクサーを自腹で買って使った。

 神の力を借りた聖女の癒しも、かけてみた。ミザリー自身では自力が足りなかったため、大枚はたいて力の強い聖女を呼んだ。

 だが、結果は芳しくない。

 確かに、一時的には治る。

 しかし三時間もするとまた恐ろしい渇きが襲ってきて、その間水しか飲まなくても尿が甘くなるのだ。

「こ、これは……体内から、勝手に糖があふれてくるようです!

 鑑定によると、『永遠の滋養』の効果とな?

 ともかく、この効果が続く限りこれは治りません。一時的に完治させても、あふれ続ける糖の処理が追い付かず、すぐまた膵臓が壊れてしまいます!」

 高度な鑑定能力を持つ医師の言葉に、二人は絶句した。

「なっ……え、『永遠の滋養』だと!?

 それは、聖王母の桃の効果ではないか!」

 なんと二人の体を害していたのは、聖王母の桃だった。

 夢にも思わなかった現実に、二人は目を白黒させた。

 聖王母の桃は、食べれば永遠に若くいられる祝福の食物ではなかったのか。『永遠の滋養』とは、恵みの力ではなかったのか。

 医師は、額の汗を拭いながら告げた。

「なるほど、食べた者に永遠に糖を供給し続けるのは、確かに恵みではありましょう。

 しかし、あまりにその量が多すぎて毒となっているのです。いかなる食物や薬や調味料も、過ぎれば毒となりますから。

 増して、これは本来神の食べ物……人の身には過ぎたということか!」

 ゴウヨックとミザリーは、世界に裏切られた気分だった。

 誰も食べた事のない、最高の食材だと思ったのに。神の食べ物を食べて、地上の神になれると思ったのに。

 ファットバーラ直系のこの体なら、栄養は全て味方だと思っていたのに。

 すぐ側に現れた幸運に舞い上がり、なりふり構わず手を伸ばして口にしたそれに、こんな風に祟られるとは。

 何と残酷な運命だろうか。

「そ、それで……儂らはどうすれば良い?」

 ゴウヨックは、すがるように尋ねた。

 しかし、医師は悲痛な表情で首を横に振った。

「残念ながら、手の施しようがございません。

 普通の糖尿病なら、摂る糖を減らすことで……重いものでも一旦膵臓を直して食事制限をすれば、治ります。

 しかし、体内で勝手に糖が湧き続けるのはどうにも……。

 聖女の癒しとエリクサーで糖が湧かなくなるまで耐えるしか……しかし『永遠』ですから、いつまで続くか……」

 二人は、目の前が真っ暗になった。

 つまり、治療法がない。不治の病だ。

 そして重症の糖尿病では、体が糖を使えなくなり代わりに脂や肉を使うことで、どんどんやせ細っていく。

 このままでは、自分たちは……。

 しかし、二人は遮二無二抗おうとした。

「ええい、もういい役立たず!

 ミザリー、食いに行くぞ!こうなったら食って食って食いまくって、体から流れ出る以上の栄養を取り込むんじゃ!」

「おやめください、そのような事をしても、もう……」

「うるさいヤブ医者め!!

 余分に栄養を摂れば太る、当たり前ではないか。

 それに……無駄話で腹が減ってかなわん。体が、栄養を欲しておるんじゃ!体の望むことをして、何が悪い!!」

 ゴウヨックとミザリーは、自己判断で暴食に走った。

 周りが解決の方法を教えてくれないから、自分で何とかしてやるとばかりに。

 それに、二人は病のもたらす飢えと渇きを片時も我慢できない。自分が苦しい事で、人の言を聞き入れる頭もない。

 こうして二人は、病身を痛めつけることにしかならない暴食に突っ込んでいった。


 そんな訳で、二人は懇意にしていた高級レストランに転がり込み、有り金はたいて食い続けている。

 これまでの高額な治療で、二人の財産は大きく目減りした。

 おまけに、もう実家に頼る事もできない。

 一日、また一日と、驚くほどの額が消えていく。

 それでも、二人は食事の質を落とすことができなかった。だって、二人はこれまで食の我慢などしたことがなかったのだ。

 それに、一日にこんなにたくさん食べ続けたことはない、だから、どれくらいお金が減っていくか分からない。

 払えるんだから最高のものをよこせと、金も食材も湯水のごとく浪費していく。

 ……もういくら食べても体に溜められないのだから、本当に浪費にしかならないのに。

 そのうえいくらいいものを出されても、ミザリーとゴウヨックはこれまでのように美味しく感じなくなっていた。

(……何、これ……食べてるのに、なかなか喉を通らない?)

 いつの間にか、ミザリーは食べることに苦痛を覚え始めていた。

 これまでは吸い込むように食べられたのに、口に入れたものがなぜだか素直に喉を下っていかない。

 食べなければいけないのに、胸につかえるようだ。

 それが吐き気、胸やけと表現される感覚であることを、ミザリーは知らない。初めて味わっているのだから。

 上がり続ける血糖値は、ついにファットバーラの誇りである食べる機能すら侵し始めていた。

 そもそも、二人の血糖値は常人ならとっくに昏倒し死んでいるレベルだ。糖が使えず脂肪を分解しすぎてできる毒物も、常人が耐えられる濃度を遥かに超えている。

 二人は欲望と独断で暴食に走るあまり、自分の体をそこまで追い込んでしまったのだ。

 いくらファットバーラの直系とはいえ、これまでこれほどの量を食べ続けたことはない。二人の体は、音を立てて軋み始めていた。

「おい、どうしたミザリー……手が止まっておるぞ」

「お、お父様……ワタクチ、少し疲れましたわ。

 朝早くから、ずっと食べどおしで……」

 うつろな目をして、頭をぐらぐらさせるミザリー。その疲れ切った姿に、ゴウヨックは胸を痛めた。

「そうじゃな、少し眠るか。エリクサーを持ってこい!」

 哀れ、二人はもうエリクサーか聖女の癒しがなければ、ぐっすり眠る事もできない。

 疲れていても飢えと渇きと尿意で眠れず、最上級の癒しでそれらが消える数時間だけが安息の時間だ。

 当然、眠りながら食物の消化に全力を傾ける時間も満足に得られない。

「う、う……待って、寝る前に……!」

 立ち上がろうとして急激な便意に襲われ、ミザリーは尻餅をついた。

「キャッ!?……あ、あ!」

 ブリリリッと不快な音がして、ミザリーの股間に茶色いシミが浮いた。……固形ではなく、ローブにしみているのだ。

(あれ……何で、こんなうんち……?)


 これでもミザリーは、自分と重ねて理解することができなかった。

 これまでミザリーが食物で虐めて、同じ状態に追い込んできた子たちの記憶を。

 ミザリーの食べ残しを押し付けられて腹が壊れるほど食わされ、苦痛に喘ぎながらもう許してと泣いた子たち。

 食べたくないのに食べさせられて、吐きたくないのに吐かされて、みじめで汚くて打ちのめされていたアノン。

 今、ミザリーとゴウヨックが同じ目に遭っているのだ。

 楽しくないのに、食べ続けなければならない。

 体が悲鳴を上げていても、強迫されて食べずにはいられない。


 別の残酷な女神の力を帯びた聖王母の桃は、暴食で人を虐げた親子から食の楽しみを取り上げた。

 そして、永遠に満たされぬ飢えと渇きを与えたのだ。


 だが、ゴウヨックたちがそれを罰だと認識することはない。

 なぜなら、暴食と他者を虐げることは本人たちにとって、当たり前に許されることだから。これまで、好き放題やって何ともなかったから。

 アノンのことが頭をかすめても、自分とは違うみじめな負け犬としか思わなかった。

(大丈夫……ワタクチは、大丈夫……寝れば治る……。

 ワタクチは、特別なんだから!)

 ミザリーは、そう己を信じて、揚げバターを口に放り込んだ。

 糖が体を素通りしてしまうなら脂肪を補給すればいい、一見理にかなっている。

 しかし、糖を取り込むよう働きかけるのも、脂肪の消化吸収に必要なものを出すのも、同じ膵臓なのだ。

 ただでさえ糖の処理能力を超えて死にかけの膵臓に、さらに脂肪の摂りすぎで負荷をかけたらどうなるか。

 もう一つのエネルギー源を吸収する力すら失い、素通りさせてしまうようになる。

 ミザリーは重い体を引きずるように立ち上がり、着替えをしてソファーに倒れ込んだ。

(ああ、体がすごく重い……ですわ……。

 大丈夫、きっとワタクチ……太っているはず……)

 ミザリーは、気づいただろうか。

 腹に巻き付ける帯が、今日はいつもより長く余っていることを。自分が感じる重さなど、全くあてにならないことを。


 ミザリーたちが認識できなくても、審判の日は確実に近づいて来る。

 重ねて来た罪にふさわしい場所に堕ちろと、音もなく歩み寄ってくる。

 周りがどんなに浮かれていても、聖夜の奇蹟は二人の元には訪れない。

 ユリエルとアノンが助からなかったように、神はこの惨状に見向きもしない。平等に見捨てる。

 ミザリーたちは少しでも眠りをと切実に神に祈りながら、まだ見た目はそう変わらない体を横たえて意識を手放した。

 糖尿病は、重症になると痩せるんですよ。だから糖尿病の人があまり血糖値が良くないのに痩せてきたら、ヤッターではありません。

 そして膵臓は血糖値を下げるインスリンを出すのと同時に、脂肪の消化酵素を出す役目もあります。なので膵炎を起こしてしまうと、脂肪も吸収できず脂肪便の下痢を起こすというエネルギー源遮断のダブルパンチ。

 さらに体が尿で糖を排出しようとするので、多尿から脱水になってさらに体重が落ちるという。

 前回アブラギッタが出した「体重を保つ」という条件は、その辺りのバロメーターなのです。


 糖尿病は喉の渇きと脱水を主とする病気なので、熱と渇きを司るタルウィや魃姫の能力と相性がいいです。

 なのでこの二人は聖王母の桃を魔改造し、糖尿にバフ増しましで特攻兵器に変えたのでした。

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― 新着の感想 ―
生々しいが当然の帰結。 しかし、回復魔法や回復薬で一時的にでも症状緩和できるとは、異世界は素晴らしいな。短期間だけでも安眠をとって体力回復できるし、臓器機能を修復できるなんて。 本来なら助かるはずな…
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