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89.甘く、蜜よりも甘く

 前の三連休からさすがにキツかった、一日遅れだ。


 いろんなイベントを同時進行するのと、ロドリコたちの使い方を考えるので、ちょっと手こずっています。

 内容を盛りだくさんにすると、整理が大変になってきました。

 何とか矛盾なくいけるといいです。


 今回はちょっと汚いシーンが入るので、食事しながら読まないでください。

 例の桃を食べてしまったミザリーたちに起こり始める異変とは……。

 聖王母の桃奪取の知らせに、リストリアは沸き立った。

 これで、偽りと暴虐の魔女ユリエルは終わる。リストリアを恐怖と混乱に陥れた元凶に、天罰が下る。

 しかし喜びに沸く住民たちが祝いに出ようとすると、突如として衛兵たちが大通りを走り抜けていった。

「何だ、虫けらのダンジョンに向かってるぞ」

「終わったんじゃないのか?」

「ユリエルが倒れた隙に、残党を掃討するんだろ。

 ゴタゴタ続きだったが、聖神祭は心置きなく祝えそうだな!」

 住民たちは知らない……この衛兵たちが何に対処しに行くのかを。

 インボウズの大本営発表のみを信じる住民たちは、これで悪は滅びたと信じて聖神祭の準備を進めていた。


 その頃、ダンジョン上層は大騒ぎになっていた。

「見よ、神が遣わした大兵法家は死んだ!

 おまえたちの仲間を、無為に道連れに死んだ!

 奴の兵法を見よ、奴の人の使い方を見よ。こんなことを許していいのか。許し受け入れるならば、次はおまえに災いが降りかかる!」

 コウモリの羽のついた目玉が、恐ろしい事を告げてバサバサと飛び回る。

 そして驚いて見上げた冒険者たちの前に、カッツ先生の醜態を映し出す。

 カッツ先生に言いくるめられて自ら罠に飛び込み、荷物を漁られる冒険者たち。まともな助言をしているのに言いたい放題罵られ、危険な役目を押し付けられて散っていくセッセイン家の兵士たち。

 そして、言う通りにしたのにカッツ先生の無知による大事故に巻き込まれ、誤った対処を強要されて火だるまになる冒険者たち。

 中には、学園に通い頑張っていた顔見知りの冒険者もいる。

「あ、ああ……何てこった!

 あいつは、こんな死に方していい奴じゃねえ!」

「何だ……カッツ先生に命令された奴らの様子が普通じゃねえぞ。

 俺はあいつを知っている。いろんな事をよく知ってて判断力があって……あんなミスする奴じゃねえんだよ!」

 当事者になると自分では分からないが、第三者として見るとおかしいことが多々ある。

 カッツ先生の弁舌に対する反応も、まさにそれだ。

 見ている冒険者たちは、憧れの実力派冒険者や兵士たちが有り得ない行動を取らされる光景に愕然とした。

 そして、それを平気で強要して笑うカッツ先生に戦慄した。

 こいつは、兵法家でも救世主でも何でもない。むしろ真逆の存在だ。机上の空論を現場に押し付けて失敗を認めない、最悪の勘違い野郎だ。

 学園でいかにもすごそうに振る舞い、多くの支援者を得てぜいたくに暮らしていたカッツ先生は、実はこんな奴だったのか。

 魔族の偽りと否定しようにも、道中にその痕跡がありありと残っている。

「う、嘘だろ……本当に、全員刺さって荷物を荒らされてやがる!」

 虫の大群に負われて逃げる冒険者たちの前に、カッツ先生が罠潰しに使った冒険者たちの亡骸があった。

 ダンジョン内で死んだ者は普通しばらくすると吸収されて消えるが、ユリエルがあえて残しておいたのだ。

 せっかく敵が晒してくれた落ち度だ、有効に使わねばもったいない。

「うわあっまた虫共が!」

「逃げろ!奥に逃げるしかねえ!!」

 冒険者たちが帰るのを阻むように、虫の大群が出入り口の方から押し寄せてくる。

 ろくな準備もせず賞金につられただけの冒険者たちに、それを突破する力はない。となると、奥に逃げるしかない。

 幸いな事に、難路と言われていた場所には新しい橋がかかっていた。

 先行したカッツ先生たちか聖騎士がかけたのだろうと考えて、冒険者たちはどんどん奥へと進む。

 そしていつの間にか、7階層のひどく焼け焦げた広場までやって来た。

「ここは、まさかあの大事故の……!」

 恐れおののく冒険者たちに、飛び回る目玉が選択を迫る。

「さて、ここでおまえたちに一つの真実を見せてやろう。

 これでもおまえたちは、教会と神を信じるか?全ては、おまえたち次第だ」


 インボウズは戦々恐々としながらカッツ先生の情報を待っていた。とにかく今は、そこからの情報流出を防がねばならない。

「報告、冒険者ギルドで不届き者を捕らえました!

 理事長がユリエルを貶めた証拠が、学園にあるとほざいています」

「何だと、それはどこじゃ!?」

 カッツ先生はユリエルに命乞いする映像の中で、あろうことかインボウズとのユリエルを陥れる報酬取決め書の在処を吐いていた。

 そんなものが敵の手に渡ったら、とんでもない事になる。

 インボウズは泡を食って、カッツ先生の研究室に向かった。

「勝手に入るなよ、何が仕掛けられているか分からんぞ」

 そう言ってインボウズは、自分を多重結界で守って一人研究室に踏み込んだ。

 この時点でもう、確実に何かありますと言っているようなものだ。しかしここにいるのは皆インボウズのイエスマンであるため、誰も何も言わなかった。

 インボウズは魔法のマスターキーでカッツ先生の机の引き出しを開け……ほーっと長い吐息を漏らした。

「何じゃ……でたらめを言っただけか」

 引き出しの中に、取決め書はなかった。

 そうだ、大兵法家たるものがこんな不用心な所に不正の証拠を隠す訳がない。きっと命惜しさに、ユリエルに嘘を教えたのだ。

 インボウズはそう判断し、仕事に戻った。

 ……もしこの時インボウズが魔力探知に優れた者の一人でも同行させていたら、先に別の者が魔鍵を使った痕跡を見つけられたかもしれない。

 だが、これまで追い詰められたことのないインボウズは、証拠を誰にも見せないことしか考えられなかった。


 インボウズが慌てていい加減になっているのには、もう一つ理由がある。

 聖王母の桃を与えてそちらに夢中にさせたゴウヨックが、それを食べ終えていつまた邪魔しに来るか分からないからだ。

 しかしカッツ先生の証拠の件が片付いて、ふと気づいた。

(……桃一個で、ずいぶん長く持つな。

 確かに大きかったが、あれ一個でこんなに長くかかるものか?)

 ゴウヨックが半日も自分を解放してくれていることに、インボウズは違和感を覚えた。

 そして部下に様子を探らせると……驚くべきことが分かった。

「何ぃ、桃が再生しておるじゃと!?」

 切り刻まれて調理されている聖王母の桃が、種を中心に果肉を再生しているという。どおりで、元の量より遥かに多く食べ続けられるのだ。

「さすがに、常若の神の力を受けた桃は違うか!

 くぅ~、僕も一切れくらいもらえんものか!」

 インボウズは切望したが、ゴウヨックは一切れたりとも譲らない。

 それどころか、厨房には一体何十人が食べるんだという量の食物が運び込まれ、どんどん料理が運び出される。

「おい、まさか……これ全部あの二人で?」

「枢機卿、ちょうどいいところに!

 お預かりした食費が尽きかけておりまして、どうか追加を」

 料理人に話しかけた途端に費用を請求されて、インボウズは面食らった。

 聖王母の桃だけに夢中になっているかと思ったら、他の食物も湯水のごとく消費しているとは。

 邪魔されないのはいいが、財布のダメージは予想以上だ。

 戸惑うインボウズに、料理人は訝しそうに告げた。

「あの桃には、食欲増進効果でもあるのですか?

 あの桃を食べ始めてしばらくしてから、まず飲み物の量が増えて……本人たちは口休めなどと申しておりますが、明らかに食べる量が尋常ではありません」

「何……まあいい、今こちらに首を突っ込まれるよりはましだ。

 食費は追加しておくから、大人しく食わせておけ」

 インボウズにも不可解だが、大人しく食べるのに集中していて余計な要求をしてこないだけいいと思った。

 インボウズは必要経費だと自分に言い聞かせながら、食費の手配をして自分の頭を痛める仕事に戻った。


 ゴウヨックとミザリーは、ひたすら食って飲み続けていた。

 二人の前のテーブルには次々と料理が並べられており、それが吸い込まれるように二人の口に消えていく。

 召使たちは、目が回るような忙しさで空の皿とグラスを片付け、新しくできた料理や飲み物をサーブしている。

「聖王母の桃のグラッセでございます」

「うほっ待っておったぞ!」

 これだけ食物に囲まれていても、二人は聖王母の桃料理に目を輝かせた。召使がテーブルに置くのも待たず、皿を奪い取って犬のように口をつける。

 次の瞬間、二人の口に広がった甘みが二人の理性の残りカスまで奪い取る。

「んふううぅ~至福ぅ~!」

 ミザリーは、肉の塊のような頬を押さえて幸せに溺れた。

 甘くて幸せで、フルーティーで幸せで、一口噛むごとに幸せが津波のように押し寄せる。今まで生きてきて、こんなに幸せな事はなかった。

 頭がフワフワして視界がチカチカして、自分の全てが桃の幸せに包まれているような。天に昇るより、もっと幸せ。

 ゴウヨックも、それなりに長く生きてきて、今が人生の絶頂だと何より確信できる。

「ふぐっもぐっ……生まれてきて、良かった~!!」

 自分はこれまで他の兄弟より劣る置物のような司教だったが、まさかここまでの幸運が巡ってくるとは。

 桃の与える幸せの後押しで、ゴウヨックとミサリーはこれまでの全てが、自分の全てが正しかったのだとさえ思った。

 他人はいろいろ言うが、この食べる幸せに勝るものがあろうか。

 自分たちは、その最高峰を手に入れた。

 手に入らぬ幻と思っていた伝説の食材は、自分たちだけを選んで微笑んでくれた。自分たちだけが、この極上の幸せを享受している。

 それが二人には、何よりの優越感だ。

「んほおおぉ~何にしても美味しい~!

 次は何が来るのかしら?」

「これこれ、そう焦るな。再生させればもっと食える。

 その間に、口直しといくかのう」

 桃の一品を食べ終えると、二人はすぐに別の皿に手を出した。どれも高級料理店で出されるような一級品だが、二人は全てを乱雑に食い散らかしていく。

「ちょっと、飲み物がありませんわ~!」

「え、もう!?す、すぐに差し上げ……」

「もういい、瓶ごとちょうだい!」

 召使がグラスに注ぐ時間も惜しいと、ミザリーはジュースを瓶ごとひったくって一気に飲み干した。

「ふぅ~……生き返りますわ」

 召使たちが化け物を見るような目で見ているが、ミザリーがそれを気にする様子はない。

 そして、不機嫌そうに振り向いて言い放った。

「ちょっと、ジュースが薄いんですけど~?

 お菓子も甘さが足りてないわ、料理長にちゃんと言ってよ!」

「は、はい……伝えて参ります!」

 召使たちは、大慌てで空の皿を持って下がった。それを見てミザリーは、ぶーっと豚のように鼻を鳴らした。

 召使たちの困惑も無理はない。今この親子に出されている料理は、これまでこの親子が美味しいと気に入っていた料理なのだ。

 なのに、まずいとか物足りないとか言い始めている。

 だが、ゴウヨックは慣れたように呟いた。

「ムグムグ……ミザリーも、一気に……ハグッ……舌が肥えたのう。

 しかし、それこそ我がファットバーラの誇りじゃ。おまえの舌は……モグッ……それ程の高みに上ったということ。

 これこそ、上に立つ者の証よ!」

 人は、どんな快楽でも強いものを味わうとこれまでのが物足りなくなる。

 いや、単純にあまりに強い甘みに舌が馬鹿になってきているのだ。これまでも十分すぎるほど濃い味だったのに、それすら不足と感じるほどに。

 それではこれからどんな料理を出したらいいのかと、召使たちは恐れおののいた。

 だが、もっと恐ろしい事がすぐに迫ってくる。

 ミザリーがピタッと動きを止め、眉を寄せて呼んだ。

「ちょっと、出そうだから受けてよ」

 表情には出さないものの、召使たち全員に緊張が走る。 

 召使たちは素早く視線を交わし合い、一番気弱そうな一人がきれいな陶器の壺を持って駆け付けた。

「失礼します」

 その召使はテーブルの下に入り、ミザリーのスカートの中に壺と頭を突っ込んだ。

 程なくして、そこからジョロロ~ッと皆が良く知っている水音が響く。控えめに言っても、食事と共にあってはならない音だ。

 その間にも、ミザリーは飲んで食べ続けている。

 これだけ飲み食いしているのだから、当然出るものは出る。

 だがこの親子は、もはやそのために席を立つのもおっくうになっていた。

 ……そう、この親子はついに排泄まで食べながらするようになったのだ。テーブルについたまま、召使たちに世話をさせるようになった。

 この暴挙に、召使たちは目を背けたくてたまらない。目の前の現実を受け止めるだけで、自分たちの食欲が根こそぎにされそうだ。

 だが、逆らうことは許されない。

 げんなりした顔で手に持ったものを片付けに行こうとした召使に、ミザリーは不満そうにこう言った。

「ちょっと、何よその顔は?

 食事がまずくなるじゃない!

 食べる喜びの大切さが分かんない奴は……あんたも、アノンみたいになってみる?」

 それを聞くと、召使は平伏して必死に謝った。

 アノンがミザリーに食物でいじめられたあげく聖呪の生贄にされたことは、仕える者たちは皆知っている。

 アノンが大量の食事を強要され、逃げようとすると今度は濡れ衣を着せられ、今は死ねない飢餓状態であることを。

 そしてこの親子は、権力に任せて人を簡単にそうする。

 しかも今は家中で並ぶ者のいないステイタスを手に入れ、調子に乗り切っているのだ。

 どんなに嫌でも、逆らえる訳がない。

 召使は泣く泣く汚物の入った壺を持って、中身を捨てに行った。

 しかしそれを見送る同僚の目に、同情なんてものはない。皆が叱りつけるようにそいつをにらみつけ、ピリピリしている。

 頼むから、早く帰って来てほしいのだ。

 正直に言って、この親子の排泄のペースは異常なほど上がっている。今の一人が間に合うように帰ってこなければ、別の誰かが行くことになる。

 ……これだけ休みなく飲み食いし続ければ当然そうなるのだが、この二人が口から入れるペースを落とす様子はない。

 むしろ、それを楽しんですらいる。

「すごいですわ、お父様!いくらでも食べられます~!」

「うむ、こんなに調子がいいのは初めてじゃ。

 これも、桃の力かのう」

 この親子の言う調子がいいとは、いくらでも食べる楽しみを味わい続けられるという意味だ。

 つまり、いくら飲み食いしても食欲が止まらないということ。

 食の楽しみを最上とするファットバーラ家において、お腹が一杯になって食べられない時間は不幸な退屈なのだ。

 それがなくなったことで、二人は甘く幸せな時間をいつまでも満喫している。

 ……たとえそれが、生物として異常な状態であっても。

「むふふふ、これなら当主の若い頃にも負けんぞ!

 これから儂は……クチャクチャ……ずっとこの幸せを、味わい続けるんじゃ!」

 ゴウヨックとミザリーは美味しい幸せと桃の甘さに蕩けた顔をして、これが自分たちの栄光だと信じ切っていた。


 この暴走に、付き合わされ巻き込まれる側はたまったものではない。

 何度も食堂とトイレを往復させられて疲れ果てた召使は、ついふらついて壺の中のものをこぼしてしまった。

 しかし、同僚からかけられた言葉は予想だにしないものだった。

「ちょっと、ジュースを無駄にしないで!

 早くミザリー様に持って行ってよ!」

 こぼれた液体からは、香しい桃の香りが漂っている。同僚はこれを、サーブするジュースと間違えたのだ。

「えっ……これは、ミザリー様から出たものですけど?」

「え、そうなの!?あの桃で、こんななるんだ!

 てゆーか、汚っ!」

 同僚は驚きつつも顔をしかめて叱りつけようとしたが……いきなり厨房で騒ぎが起こり、それどころではなくなった。

「大変だ、料理長が倒れたぞ!」

「早く副料理長を呼んで来い、追加の人手も!」

 この忙しい時に大事な人が倒れてしまい、厨房はおおわらわだ。

 だが、さもありなん。一時間ほどで終わると思われた桃の提供は絶えることのない暴食の狂宴となり、料理長は働き続けていたのだ。

 他の料理人や召使たちも、だいぶ疲れてきている。

(大丈夫かしら、料理長……。

 こっちは……乾いちゃえば分からないわよね)

 こぼしてしまった召使ももう、余分な仕事は少しもやる気が起こらず、こぼしたのを放置して行ってしまった。


 しばらく時間が経って、そこで再び騒ぎが起こった。

「何これ、アリがたかってる!」

「黄色っぽくて、ベトベトして……蜂蜜か何かかしら?」

 人知れずミザリーの排せつ物がこぼれたその場所に、大量のアリが集まっているのだ。召使たちは、別の意味で戦慄した。

「嫌ぁっ触りたくない!」

「でも、どうすんのよ!?」

「虫退治なら、三年のユリエルが……追放されたんだ!アノン……もいない!用務員さんは……体を壊したんだった!

 そうだ、殺虫剤……ダメだ、料理が汚染される!」

「二年のヨナを呼んできて!ユリエルの弟子だったって話だけど、虫に対してだけは役に立つはずよ」

 いつもはきれいな屋内に、悪魔の使いのような黒い虫たちが不気味に群れている。その光景に言い知れぬ不安を覚えながら、召使たちは終わらぬ仕事に戻っていった。


 ……普通、尿にアリが群がったりするだろうか。

 つまり、ミザリーの尿は、既に異質に変質している。

 ……もしも、ゴウヨックに桃を他者に分け与える心があったなら、取り返しがつかなくなる前に異常に気付けたかもしれない。

 だがゴウヨックは、あまりの強欲でその道を自ら閉ざしてしまった。

 美味だけでなく災いも、娘とたった二人で受けてしまった。

 インボウズに不敬の限りを尽くし嫌われてしまったこの親子を、インボウズはもう守らない。

 猛烈な甘さの災いは、ファットバーラ親子の体を静かに崩壊させつつあった。


 ミザリーたちがかかったこの病気は、現代日本では割とメジャーです。古代でも飽食の貴族たちだけがかかる贅沢病として、記録に残ってきました。

 昨年の大河ドラマで出ていた藤原道長も、この病気で死んだとされています。


 ちなみに、作者は遺伝子検査(大学の実習)で、この病気にかかりやすい遺伝子をヘテロで持っていると判明しています。

 祖父も父も祖父の兄弟も、みんなこの病気です。

 父はこれで血管がボロボロになって三回脳梗塞を起こし、リハビリしようとしたら足が腐りかけていて一番必要な時期にリハビリできないという大変なことになりました。

 なので作者は、食欲に負けっ放しにならないようとても気を付けています。

 読者のみなさんもお気をつけて。

 

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糖 尿 病 … ! え、食べただけで…!? 流石は神の呪い…。
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