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37.街は逃げられない

 もう少し街と学園サイドが続きます。


 今回は、巻き込まれた学園の聖女や街の人たちのお話です。

 ユリエルの友であったシノアやカリヨンは、ユリエルが起こしたこの事態をどう思っていたでしょうか。そして、元凶のティエンヌも。

 冒険者ギルドでユリエルと知り合いであった、アイーダも。

 翌日、教会は虫けらのダンジョン乗っ取りを正式に発表した。

 インボウズが神妙な顔で壇上に上がり、街の有力者や国の役人相手に告げる。

「誠に遺憾ながら、教会を逆恨みする破門者と欲に目のくらんだ将軍の結託により、虫けらのダンジョンは魔境に堕ちた。

 先日我々はその破門者の討伐に軍を差し向けたが、大将とした将軍が内通していたため手痛い被害を被ってしまった。

 神聖なるこの都市始まって以来の、あってはならん不祥事である!」

 インボウズがどこか他人事のように悔しがり、大将軍がわざとらしく謝罪する。

 それから、インボウズが人々を安心させるように対策を告げた。

「このような事になり、心より申し訳なく思っておる。

 そのため、これで被害を被った方々にはできる限りの償いをしよう。

 戦死した方々のご遺族には、弔問金を支払おう。怪我をした方には、学園の聖女や神官を動員して治療に当たらせよう。

 皆で手を取り合い、都市一丸となってこの難局を乗り越えて行こうではないか!」

 インボウズの宣言に、皆から拍手が上がった。

 教会内部からの反逆でこんなに死傷者が出たのは衝撃だが、インボウズはきちんと被害者に寄り添う対応をしている。

 さすがは、この学園都市を預かる高貴にして聖なるお方だ。

 たとえインボウズが自分の懐から一銭も出していなくても、人々には分からない。

 インボウズが全ての元凶でも、人々の目にその真実は映らない。

 ゆえに、人々にとってはインボウズこそが正義だ。インボウズはこれでまた方々から支援を引き出せると、心の中でほくそ笑んでいた。


 影響は、すぐに学園にも及んだ。

 ユリエルの反逆と凶行は学園内でも大々的に発表され、聖女や見習いの神官たちは償いの奉仕と称して治療に駆り出された。

 授業も他の仕事もそっちのけで教会の治療院まで歩かされ、傷ついた数多の衛兵や冒険者をひたすら癒す。

 緊急時ということで普段そういう仕事をしない家柄のいい子まで駆り出され、その凄惨な光景に目を見張った。

「うえぇっ酷い!!」

「これを、あのユリエルが……やっぱり邪悪だったんだわ!」

 かつてユリエルと共に学んでいた級友たちも、これには戦慄した。何の罪もない人に、自分勝手でここまでできるなんて、人間じゃないと。

 吐き気をこらえて治療すると、怪我人たちから感謝とユリエルへの怨嗟の言葉をかけられる。

「あ、ありがとよ……あんたたちがいてくれてよかった!」

「ああ、本物の聖女ってのは、こんなに温かいんだな。

 あのユリエルとかいう嘘塗れの殺人鬼とはえらい違いだ!」

「あんたたちが気に病むこたぁねえよ。俺らはちゃんと分かってる……あんたたちは、あいつなんかとは関係ないって。

 悪いのは全部あの魔女なんだから、元気になったらまたあんたたちのために戦うぜ!」

 魔力が尽きてフラフラになるまで延々とタダ働きさせられながら、そんな言葉を方々から吹き込まれる。

 これで、ユリエルを恨まずにいられる訳がない。

「……冗談じゃないわ!何で私たちまでこんな目に!」

「自分が逃げるならさあ、分かるわよ。

 でも、これはないでしょ!」

「そうよ、元がキモい野生児なんだから森でもどこででも生きていけばいいじゃない。破門されたんだから、それでも十分寛大よ。

 なのにダンジョン乗っ取って人を殺すとか……悪魔が化けてたんじゃないの!?」

 特にいいとこ出の聖女たちから見れば、今のユリエルはあり得ない化け物だ。

 いいとこ出で、それゆえにインボウズも堕とす対象にしない聖女たちは、ユリエルの置かれた状況が理解できない。

 自分たちが汚くて気持ち悪いところで働かされるのが嫌で、破門されたユリエルが比べ物にならないくらい困難な状況に置かれたことなど想像もできない。

 しかも、そういう子ほど声が大きく、実家から支援を引き出せてしまう。

「ハァ……お父様に頼んで、もうちょっと寄付してもらおっかな。

 せっかく聖女にまでなったのに、この仕事はないわ」

「そもそもユリエルが悪いのよ!あたしたちをこんな目に遭わせて、絶対許さん!!

 ウチはけっこう私兵抱えてるから、お兄様に力を貸してくれないか頼んでみる。ちょうど裏切った将軍の席が空いたし、うまくやれば後釜になれるかも!」

「ええ、世を正しくするために力を尽くしましょう!」

 守ってくれる者の惨状と自分たちに課せられた理不尽な労働に、聖女たちは打倒ユリエルを心に誓った。

 それが、本当の元凶を助けてさらに世の中を歪めるとも知らずに。


 シノアも、青息吐息で治療をさせられていた。

 血だらけの包帯に包まれて呻く人たち、手足を失って呆然としている人たち。魔力が尽きても働かされる、仲の良い神官たち。

(う、嘘でしょ……誰か、嘘だって言って!!)

 シノアは、目の前の現実が信じられなかった。

 元より、実家が裕福で、危険で汚くいてキツい仕事は自分が望む分だけで済ましてきた甘い育ちだ。

 学園でも戦場でも、守られることに甘えて地獄を見ずに生きてきた。

 なのに、いきなり知らなかった地獄に放り込まれて。

 だが何よりシノアを苛むのは、これを親友のユリエルがやったということだ。

(ねえ、何で……何でユリエルは、こんなに人を傷つけられるの!?

 あたしと一緒の冒険では、いつもこの人たちを頑張って癒してきたのに。この人たちと手を取り合って、悪に立ち向かっていたのに。

 何で、こんな事になっちゃったの!?)

 シノアは、目の前の現実を信じられずひたすら混乱していた。

 シノアは何度かユリエルと前線の仕事を経験して、その真面目で善良なところを知っている。

 自分が恐怖や生理的嫌悪ですくみ上がっている時も、臆することなく仕事を続けるユリエルとユノ。

 シノアはその姿を頼もしく思い、どうして自分はできないんだろうと少し嫉妬してしまっていた。

 こういうのが本当の聖女なんだろうと、漠然と憧れ、感謝した。

 そのユリエルと目のまえの惨状が、どうしてもつながらない。

 だってユリエルはどこまでも真面目で正直で人の味方で、でもこんなにたくさんの人がユリエルに傷つけられて……。

「ああ、聖女様……お助けください!」

「あんな魔女に殺されてたまるか!

 いや、俺以外は……殺されちまったんだ!!」

「次こそ必ずあいつを殺す!聖女様、俺に癒しと祝福を!」

 どんなに現実を否定したくても、被害者は目の前にいて自分にすがってきて。この傷と血と痛みは、聖女の自分でも癒しきれなくて。

(嫌っ!こんなのってない!!

 ユリエルが死んだって聞いた時、すごく悲しくていっぱい泣いて……生きててほしいってあんなに思ったのに。

 これじゃ、生きてても全然喜べない!!)

 ユリエルを思う心と目の前の人に寄り添いたい心で、自分が引き裂かれそうだ。

 こんなの間違ってるのに、早く元に戻ってほしいのに、シノアはどうしたらいいか全然分からなくて。

 そもそもどうしてこうなってしまったのかも、よく分からなくて。

 いい子のはずのユリエルが破門されて、たくさんの人がユリエルを討ちに行って、ユリエルがそれを無残に叩き潰して。

 何が正しくて何が間違っているのか、全然分からない。

 そのうえ周りの神官たちが自分をユリエルの被害者みたいに言ってきて、ますます心が削られる。

 本当は今すぐにでも、ユリエルはそんな子じゃないと叫びたいのに、そうしたところで現実が変わらないのは分かっていて。

 シノアは、口に出せない叫びで喉がつまりそうだった。

(どうしよう……どうしたらいいの!?

 そうだ、カリヨンなら……!)

 唯一今学園にいる、立場もあって賢い親友にすがろうとするシノア。しかし、それを叩き折る知らせが届いた。

「大変だ!!

 大聖女のカリヨン様が……反逆の疑いで拘束されたぞ!!」


 カリヨンは、ユリエルの起こした大惨事を深く憂いていた。

(ユリエル……あなたが許されないことをされたのと、生きるためにどうしようもなかったのは認めるわ。

 でもこれでは、インボウズに正当性を与えることになってしまう。

 あなたは、そこまで覚悟してやったの?)

 重傷者を癒しながら話を聞くうちに、ユリエルが純潔を認めず攻撃してくる者だけを正当防衛で相手にすることが分かった。

 ユリエルなりに、敵かどうかの線引きはしているのだ。

(……でも、世のほとんどの人がインボウズと教会を信じているこの状況では、そのふるいは意味をなさない。

 皆、純粋に正しいと思ってあなたを倒しに行くのだから。

 そしてあなたは自分の正しさを貫き通すために、それを返り討ちにした)

 人が一番残酷になれるのは、自らの正しさを確信した時だ。

 事情を知らない衛兵や冒険者にとって、教会に従ってユリエルを虐げることは正しい。ユリエルにとって、冤罪で虐げに来る者から身を守るのは正しい。

 それがぶつかり合って、こうなってしまった。

(インボウズがこうなることを予測していたとは、思えない。でもたとえ負けてもこうなる土俵に相手を上げるのが奴らのやり方。

 堕とされた者が抗えば抗うほど、その者が世の敵となる。

 ああ、なんておぞましいやり方……!!)

 マリオンからユリエルが生きているかもしれないと聞いた時、正直こうなる可能性は考えた。

 ……ここまで派手にやるとは思わなかったが。

 だが、分かっていても防げないことはある。

 今の自分にユリエルを守れる力などないし、おそらく無実の親友を汚職坊主に売り渡すなどもっての外。

 それにかばおうとすれば、連座で自分の道も閉ざされてしまう。

 いや、積極的に守りに行かなくても……。

「カーリヨーン!!

 あんたにね、内通の疑いがかかってんの!大人しく来てもらいましょうか!」

 ティエンヌが、大勢の騎士を連れて乗り込んで来た。

 驚く怪我人たちに、ティエンヌはニヤついた正義面で告げる。

「ああーん、皆に危害が及ぶ前で良かったわぁ!この女はお上品なフリをして、あんたたちをこんな目に遭わせたユリエルのお友達なのよ!

 放っといたら、何するか分かんないわぁ!

 偉大なるお父様の名のもとに、放置なんかできませーん!!」

 あっという間に、今までカリヨンにすがっていた怪我人たちの目が恐怖と嫌悪に染まっていく。

 今や彼らにとって、ユリエルはそれくらい憎くて怖いのだ。

 カリヨンの首筋に、たらりと汗が流れた。

(来ると思っていましたよ、ええ)

 ユリエルがこれだけ被害を出してしまうと、仲が良かったというだけで嫌疑をかけるのに十分な理由となる。

 特に、小娘一人にやられたという訳にいかず、力のあるスケープゴートを欲している時は。

 カリヨンは、素早く判断する。

(……この程度であれば、逃げられないことはない。

 しかし私が逃げれば、奴にお父様を追い落とす理由を与えてしまう!

 教会が最後の自浄作用を失わないために、それだけは……!)

 カリヨンは、しずしずと騎士たちに両手を差し出した。

「お仕事ご苦労様です。潔白を証明せねばならないのなら、参りましょう。私には、後ろめたいことなどございませんので」

 潔くそう言うと、ティエンヌは拍子抜けしたようなつまらなそうな顔をした。

「ふーん、いつまで強気でいられるかしら?

 正義のために、手加減なんてしないわよ!!」

 ティエンヌはそう言いながら、やり辛そうにしている。ティエンヌとしては、カリヨンが抵抗したところでそれを罪にするつもりだったのだろう。

 だが、カリヨンにはそんな手はお見通しだ。

 それに、ユリエルほど無茶が通る相手ではない。

「……よろしいのですね?

 私も、あなたと同じ枢機卿の娘ですけれど」

「同じ……ハッ!馬鹿にしないで!

 あたしのお父様とあんたの貧弱親父じゃあ、地位は同じでも権勢が違うのよ。そんな事も知らないの?

 おこがましい!!」

 ティエンヌの手が、バシッとカリヨンの頬を張る。

 だがカリヨンは、強い抵抗の意志を込めた目でにらみ返しただけだった。

「お、お嬢様……ここでは人目が」

 騎士の一人が、ためらいながらもティエンヌを止める。

 いつの間にか、周りの怪我人たちはティエンヌにも疑いの目を向けていた。それに気づくと、ティエンヌは慌てて姿勢を正した。

「あー……コホン!と、とにかく取り調べは受けてもらうわ。

 癒すくらい、こいつでなくてもできるんだから」

 ティエンヌはそう言って、怪我人たちにエリアヒールを発動する。

 しかし慣れないその癒しは雑で、処置待ちでやむなく開いたままの傷口まで強引に塞いでしまう始末だ。

 しかもカリヨンを連れて行くのに、代わりを連れてくる訳ではない。重傷者ばかり集まっているのに、後は放置である。

「じゃあね、本当に潔白ならすぐ戻って来られるわよ!

 しょうがないじゃん、悪いのはぜ~んぶユリエルなんだから!」

 ティエンヌは、意気揚々とカリヨンを連行した。


 ……が、手錠をかけられたカリヨンを見たインボウズはだらだらと冷や汗を流し始めた。これは、インボウズが命じたことではなかったのだ。

「ねえお父様、これでお父様の邪魔者を倒せるわ!

 それで、こいつを私の魔力タンクにしましょうよ!そうよ、大聖女になりたいなら大聖女を魔力タンクにすればいいんだわ。

 あたし、頭いい~!」

 はしゃぐティエンヌを前に、インボウズは背筋が凍る思いだった。

(こ、このバカ娘が……こいつをユリエルと一緒にするな!

 クリストファー卿は、侮ってはならんのだぞ!!)

 カリヨンだけでも、学生にして大聖女となり各地で大きな功績を上げている、教会の期待の星だ。

 父のクリストファー卿は清廉路線ゆえに腐敗勢力に疎まれ、本人の権勢は弱い。しかしいくつもの腐敗勢力の対立を利用して悪事を成敗することがままあるため、無視してやりたい放題やっていい相手ではない。

 特に、インボウズに責められる大きな傷ができてしまった今は……。

(クソッこうならんように当たり障りのないおもちゃを与えておいたのに……ユリエルが逃げさえしなければ!!

 魔力タンクも、あいつが大人しくなってくれたら……!)

 ユリエルの思わぬ逃亡と反逆は、欲求不満に陥ったティエンヌの思わぬ暴走をも招いてしまった。

 インボウズはカリヨンの、父親そっくりな見透かすような目で見つめられながら、そのうち開かれるであろう枢機卿会議に頭を悩ませるのであった。



 街では、冒険者ギルドから発表された今後の対策が話題になっていた。

「憎き魔女により多くの冒険者が倒れたこと、無念の限りである!

 だがご安心を!より強い冒険者をここに招くため、この僕の権限で地方からの移住制限を緩和する。

 宿屋や酒場を潰しはしないし、街も守り抜ける体制を確保しよう!」

 ギルドマスターは、これまで地元の冒険者を守るために設けていた移住制限を緩め、地方から人を集めることにした。

 元より、豊かなここに憧れる冒険者は多い。

 戦力面では、すぐに穴埋めできるだろう。

「まあ、さすがギスドマスター!きちんと街のことを考えてくださるわ」

「でも、治安は大丈夫かしら?柄の悪いのが集まって来なければいいのだけど」

「それに……ここに人が集まるようにして、地方は大丈夫なのか?」

 少し不安を覚える人々もいたが、ギルドマスターが緊急時と連呼するので大きな声は出せなかった。

 それに、悪いのは全てユリエル。冒険者ギルドは傷つきながらも自分たちのために頑張って手を打ってくれているのだ。

 これが正義なんだから、皆受け入れて対応するしかなかった。


 そして同時に、困窮した冒険者への補助も発表された。

 生活が苦しい冒険者の一部が、学園で学ぶのを無償化したのだ。

 聖リストリア女学園には、冒険者のための学科もあり、学費はそれなりにするものの冒険者の質を上げる貴重な学び舎となっている。

 だが不安定な職種ゆえに学費が払えなくなったり借金を返せなくなったりして、辞めてしまう者もいた。

 今回、そうなりそうな者の一部に教会からの慈悲が下ったのだ。

「やったあ!!辞めずに済むなんて、夢みたい!

 お姉ちゃん、もっと勉強して強くなるからね!」

 数少ない学費免除を受けた中には、アイーダも含まれていた。

 ギルドマスターはアイーダをわざわざギルドに呼び出し、神官に傷を癒させ、皆の前でそれを発表してやった。

「君も気の毒だったね。

 でも、君はこんな事になる前からユリエルに警告を発してくれた。君のような賢くて真面目な子は、街の財産だ。

 君が、ユリエルなどの起こす争乱に負けてはならんよ。とっときたまえ!」

 ギルドマスターは、頼もしい笑顔でアイーダを励ます。

 だがその裏には、おぞましい陰謀が隠れていた。

(くくく……アイーダはユリエルを憎むようになっておるし、教会への恩も作った。これで、男どもを動かす旗印として使えるわい。

 それに、オトシイレール卿のでまかせ……あれは使える。ユリエルが、アイーダが自分を陥れたと思っているなら……アイーダがその報酬を受け取ったように見せれば……。

 いざという時、全てをアイーダのせいにできる!!)

 心の底から喜ぶアイーダと祝福しながらも嫉妬する冒険者たちを前に、ギルドマスターだけが全く違うどす黒い笑みを浮かべていた。

(全く、便利なモンだよなぁ権力ってのは!

 恩も義務も、懐を痛めないで与え放題だ。

 こうやって学園に縛りつけてしまえば、僕たちの動員から逃げる事なんかできないもんな。戦わせる駒なんか、いくらでも補充してやる!)


 いくら不毛な戦いでも、戦いたくないと望んでも、街は逃げられない。

 教会が、学園が、ギルドが、人々を静かに縛って戦いに引きずり込んでいく。

 目を塞がれた人々は気づかない、自分たちがいかに愚かなことに手を貸しているか。自分たちが、いかに救われるべき人を虐げているか。

 知らないまま、正義のつもりで最悪の罪人に引きずられて地獄へと転がり落ちていく。

 だが、街は相変わらず豊かでにぎわっている。

 これまで大丈夫だったから、これからも従えば大丈夫と信じて、街の人々はありもしない罪を憎み偽りの正義に絡めとられていた。

 前にも宣言しましたが、この物語の悪者は強敵でなかなか倒れてくれません。多少ひどい思いはするものの、金と権力と地位でどんどん無辜の人を戦いに放り込んできます。

 戦いに勝っても、かなり胸糞な結果になることが多いです。


 そして、ユリエルの知人たちの現状↓

カリヨン:ティエンヌの暴走で拘束された……が、簡単には潰せない。

シノア:怯えて混乱して、目の前の仕事をするしかできない。実家が裕福なのと、頭がお花畑なのと、取り巻きの神官が守ろうとするので余波は少ない。

ユノ:(父子ともに危険を感じて)未だ国軍の戦場から戻らず。

アイーダ:ユリエルを誤解したまま、ギルドマスターとインボウズに罪を押し付ける仕込みをされてしまった。

マリオン:次回、ギルドの調査隊で……。

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