17.湿地の毒の真実は
誤字報告ありがとうございました。
修正しておきましたので、これからもよろしくお願いします。
ヒャッハー!!汚いレジスタンスを囲んで叩く戦いだ!!
敵の敵は味方じゃない。獲物になることもある。
ワニと虫の恐るべき連携で、ダンジョンが徐々にその凶悪さを露わにしていく。虫のレベルが低くても、要は組み合わせで使えばいいのだよ。
そして、毒の真実は……本人たちは都合がいいと思っていたんです。
無知は自分にも他人にも怖い。
(チッ糸か!教会の犬め!!)
レジスダンは、己をくるむ糸束を剣を抜いて切り裂いた。
油断した、聖女しか目に入らなくなってしまった。傍らに、ダンジョンマスターと聞いているアラクネが控えていたのに。
噂に聞くと、このアラクネは吐き出す上質な糸を教会に搾取されているという。それが、聖職者の衣になるということだ。
もちろん、これを戦闘中にこうして使うことはできるだろう。
「うろたえるな、俺は無事だ!
敵は手負いばかり、落ち着いて仕留め……」
そう手下たちに指示を出しながら、周りを覆っていた糸をはがして……レジスダンは、驚愕した。
「おい……どうなってやがる!?」
レジスダンと手下たちを、ワークロコダイルと虫たちがぐるりと囲んでいた。しかも、さっき死んだと思っていたワークロコダイルがボスを除いて起き上がっている。
手下たちは怯えながら円陣を組み、ワニと虫から身を守ろうとしていた。
いや、全員ではない。
既に張り巡らされた糸に絡めとられて、ヒイヒイ叫んでいる奴もいる。よく見ると、手足があらぬ方向に曲がっていた。
一瞬で悟った……謀られたと。
レジスダンは目を血走らせ、声の限りに叫んだ。
「畜生、やりやがったな……教会めえええ!!!」
逆上するレジスダンに、ユリエルは水を差すように声をかけた。
「教会じゃありませーん!これ、知らないです?」
こいつが目に入らぬか、とばかりに胸を張って聖印章を見せつける。破門され、聖女でなくなってしまった証を。
それを見ると、レジスダンは一瞬目を見開き、皮肉っぽい顔をした。
「へえ、破門されてんのか。
人を踏みつけて使う立場から、てめえが命懸けの奴隷に落とされちまったって訳だ。ハハハッざまあ!」
教会を敵視しているはずなのに、捨てられたユリエルに同情する訳でもなく、ただいい気味だと嘲笑う。
とても、仲間にはなれそうにない。
それでも誤解しているならと、ユリエルは言い返す。
「奴隷じゃありませーん!
むしろ、奴隷になりたくないからここで戦ってるんです。無実の罪で素直に奴隷にされるほど、私、いい人じゃないんでー」
それを聞くと、手下たちがざわめいた。
「えっ!?せ、聖女までそんな!」
「おいおい、こりゃひでえな……教えを捨てて正解だったぜ!」
敵は教会だと思っていたが、こちらも教会の敵であることは分かってくれたようだ。手下たちに、少しだけ安堵が見える。
レジスダンも、胸糞悪そうに舌打ちした。
「身内まで好き放題か……奴ららしい。
自分の手駒すら、人として見てねえってことか」
「あら、話が分かるじゃありませんか」
だが、ユリエルが親しげにそう言うと、レジスダンは汚物を見るような目でユリエルを見て言い放った。
「だがなあ、貴様がそんな目に遭ったのも、教会で働いて甘い汁を吸ったからだ!搾り取られた奴らの、恨みだよ!
悪い事には罰、当ったり前だよな~!」
「えっ!?私、そんな悪い事してません!」
いきなり悪者にされて、面食らうユリエル。
教会が憎くて聖女も憎いのは分かるが、これはあまりな決めつけだ。ユリエルは少なくとも、人々の幸せを守るために力を使って活動してきたのに。
だがレジスダンは、頑としてそれを認めない。
「悪い事はしてない、自分たちは社会の役に立ってる……悪い奴らの言い訳さ。それともあれか、本当に悪いと思ってなかったのか。
洗脳されちまって、かわいそうにな~!
そこが考え直せねえ限り、教会の敵になんてなれやしねえ!」
レジスダンは、ユリエルを頭の悪い子供のように扱って話に取り合わない。
そのうえ、一方的にユリエルに降伏を迫る。
「本当に教会を敵だと思ってるなら、今すぐダンジョンを明け渡せ。アラクネに俺様に従うよう命令して、ここから出ていけ!
そうしたら、俺が代わりに教会を潰しといてやる!」
「そんな……じゃあ、私はどうやって生きていけば……?」
「知るか!てめえが教会に与したのが悪い、相応の罰は大人しく受けろ。
だいたいな、教会の旨味を知ってる奴が教会に復讐するっつったって、そりゃただの派閥争いだろ。そんなんじゃ世の中変わらねえ。
俺たちは、虐げる側だった奴の手なんか借りねーんだよ!バーカ!!」
レジスダンの言い方に、ユリエルは既視感を覚えた。一方的に断罪して、これまでの働きすら否定される……これでは、インボウズと同じだ。
こいつに何があってこうなったかは知らないが、これでは無意味に人を虐げ傷つけるだけの悪徳坊主と変わらない。
こんな奴が上に立ったら、ある意味教会よりひどい事になるのではないか。
手下たちの様子を見ると、レジスダンには賛成するような顔を見せながら、レジスダンが視線を外すと不安そうに顔を見合わせている。
本当は、ユリエルを仲間にしたいのではないだろうか。
作戦のあてが外れてこんなに敵に囲まれて、内心怖くて仕方ないだろう。これからの戦いを考えると、癒し手は喉から手が出るほど欲しいだろう。
そんな仲間の気持ちも、レジスダンは全く考えていない。
考えているのは、ただ己の復讐のみ。
(あーあ、そういう事してるから、掴めるチャンスも掴めないぞ……)
ユリエルは諦め半分呆れ半分で、レジスダンの独断説法を聞き流していた。
と、いきなり大音量の咆哮がコアルームを震わせた。怒れるワニたちが、レジスダンの声をかき消すように一斉に吼えたのだ。
ようやく黙ったレジスダンに、シャーマンが烈火の如き怒りをぶつける。
「貴様の御託はいい、あたしらの相手もしてもらおうか!
よくも、集落の周りに毒をまいたな!小さな子供やよく生きた老体を、殺してくれたな!あたしらは、貴様たちを許さない!
やられたらどれだけやり返してもいいなら……あたしらの復讐、受けてもらおうか!!」
ワークロコダイルの戦士たちも、威圧するように足を踏み鳴らす。
元よりこの野盗どもは、ワークロコダイルにとって許せない仇だ。顔を立てていたユリエルとの話が壊れた以上、もうその報復を止める理由はない。
だが、レジスダンは煩わしそうに毒を吐くだけだ。
「うるせえな人でなしが……力こそ正義なら、俺たちがどんな手で勝とうが勝手だろうが!
獣のくせに、俺様の復讐の邪魔するんじゃねえ!」
自分たちが直接殺した相手に対しても、しかも自分たちが倒すべき敵でなくても、この態度である。
行きがけの駄賃に蹴飛ばしたとしか思っていない。
完全に、自分の復讐以外はどうでもいいのだ。
この冷淡な態度に、ワークロコダイルたちからマグマのような怒りが湧き上がった。
「ガアアァ……コイツ、許サン!思イ知ラセテヤル!!」
「自分ガ、殺サレテミヤガレ!!」
ワークロコダイルたちは、これからどうなるか敵に見せつけるように大口を開く。口に並ぶ鋭い歯から、生々しく涎がしたたり落ちる。
その光景に、思わずビビる手下たちだが……。
「怯むなてめえら!
こいつらがどんな状態か、知ってるだろ?恐れるこたぁねえ!!」
レジスダンにそう言われて、いやらしい笑みを浮かべる。
「へへっそうだった!こんな奴ら、敵じゃねえ!」
野盗どもは、この状況でもワークロコダイルとダンジョンの連合軍に勝てるつもりでいる。彼らなりに、一応根拠はあるのだ。
そのなめ腐った態度に、シャーマンの声が一段低くなる。
「そうかい……どうなっても知らないよ。やっちまいな!!」
話す気のない野盗どもに、ワークロコダイルの肉体言語が襲い掛かった。
たちまち、野盗どもの武器とワークロコダイルの爪がぶつかり合う。
戦線は、一瞬にして崩れた。ワークロコダイルのマッチョな腕が人間の刃を軽く押し返し、体ごと吹っ飛ばした。
「ギャアアア!!?」
あっという間に、そこかしこで人間が小石のように飛び交う。
地面にたたきつけられた手下に、ワークロコダイルが素早く噛みつく。そして、恐るべき顎の力で薄い鎧ごと噛み潰していく。
「うごお……た、助け……!」
「今行くぞ!!」
手下たちは数を生かして、一人を攻撃するワークロコダイルの後ろを取るが……。
「ムゥン!!」
ワークロコダイルは大の男をくわえたまま体をひねり、後ろから斬りかかった別の男に重い尾を叩きつけた。
別の所では、息を合わせて攻撃しようとした二人がまとめてラリアットでなぎ倒される。
また別の手下は、武器を殴られて取り落としたところを、自分が掴まれて武器に叩きつけられて額を割られる。
まさに、ワークロコダイルの筋力無双だ。
さらに虫の襲撃もある。
ワークロコダイルから距離を取ろうとした手下が、いきなり派手に転んだ。地面から生えた大きな鋏に、足を挟まれたのだ。
手下が起き上がる前に、体長40センチほどのハサミムシが姿を現した。ユリエルが農村で頂いたハサミムシが、魔物化して足切り虫になったのだ。
もっとも、まだレベルが低すぎて足を切るには力不足だが……地面に転がった顔面に痛打を与えることはできる。
「おい、やめ……おぎゃあああ!!!」
鋭い二本の刃が、手下の眼球を潰した。これでもう、戦えない。
上からは、ビズビズと騒がしい羽音が聞こえてくる。張り巡らされた糸に隠れていた、アサルトビーが動き出したのだ。
「う、上!?ギヒイ!!」
「いっでええぇー!!腕が!」
ワークロコダイルに集中していて上への対処が遅れると、容赦ない毒針を打ち込まれる。痛みは生命に別状がなくても、集中を乱し動きを悪くする。
激痛の元は、地面にもいる。
背中に元の体色に不似合いな蛍光グリーンの針山をつけた岩ムカデが、戦場を走り回りぶつかりざまに刺していく。
岩ムカデの背中に魔物化したイラガの幼虫、爆痛虫が張り付いているのだ。これも命に別状はないが、これに刺されてのたうち回ればワークロコダイルの餌食だ。
この虫とワニの恐るべき連携で、野盗の手下たちはどんどん倒れていく。
「なっ……どうなってやがる!?
ワニ共の動きが、全然違う!」
これには、ユリエルとアラクネと戦っていたレジスダンも手を止めざるを得なかった。
身を翻してパルチザンを振るい、手下を襲っているワークロコダイルを切り裂き、突いて追い払った。
「円陣組め!互い違いで上と前を警戒!」
レジスダンの働きで野盗どもは何とか陣形を組み直したものの、人数は半分に減っていた。残った者も、激痛に顔を歪め息が乱れている。
「ひ、ひぐっ……痛えよお、頭ぁ……!」
「泣くな、俺がブチ殺してやろうか!?」
恐怖で手下を締め付けながら、レジスダンも内心焦っていた。
(ハチに、電気虫の魔物だと……聞いてた話と違う!
一体何が起こってやがる!!)
何もかも、自分が集めた情報や想定と違う。情報を吟味してこれならいけると描いた勝算が、根底から覆される。
もはや、戦いの形勢は明らかだった。
そこに、ユリエルが哀れみを浮かべて歩み寄る。
「解毒剤が欲しいですか?……でも、ないんですよね。もう使い切っちゃったでしょ!」
その言葉に、野盗どもは図星を突かれて驚いた。
解毒剤があればこの痛みから解放されて戦える。だがその解毒剤が、もう残っていない。
ユリエルはさらに、呼びかける。
「最近体調が悪くなる人が多くて、解毒剤が足りなかった。動けないほどじゃないけど、大事をとってワニの集落は攻められなかった。
でもだんだん元気がなくなって、このままじゃジリ貧だからここに賭けた。
違いますか?」
途端に、野盗どもが震え上がった。
「ひいっま、魔女だ!!こいつ、何で分かるんだ!?」
「……畜生、誰が漏らしやがったァーッ!!」
見透かされる恐怖にざわめく手下たちと、手下を疑って逆上するレジスダン。
ユリエルは、涼しい顔で続けた。
「誰も漏らしてませんよ。だってこれは、ワニさんたちから事情を聞いた私の推測ですので。あなた方も同じじゃないかって。
だってあなた方、ワニさんたちと同じ水を飲んで同じ魚を食べて、そのうえ毒で死んだワニさんたちも食べたんでしょう。
そりゃ、毒に侵されますって!力も出ないのに、お気の毒に!」
さらに、花が開くような笑顔でとどめの一言。
「あ、ちなみにワニさんたちの毒は私が解毒して癒しました!
ワニさんたちは、もう私とダンジョンに降伏済みですんで」
その言葉に、野盗どもの顔からざぁっと血の気が引く。
野盗どもが勝てると思っていたのは、ワークロコダイルが毒に侵された状態でダンジョンと戦っているという前提でだ。
それが毒から回復しダンジョンと完全に連携しているとなると、話が違う。
そのうえユリエルの指摘通り、実は自分たちも体調がすぐれないのだ。ワークロコダイルの方が弱り方が激しかったので見下して我慢していたが、やはり自分たちも毒に侵されていたのか。
そこで、レジスダンが手下の一人をにらんで低く呼びかけた。
「やっぱアレのせいかよ……。
おいてめえ、アレは害虫を殺す薬じゃなかったのか!」
たちまち、くたびれた学者風の男が周りの仲間に掴まれた。どうやらこいつが、毒をまいた元凶らしい。
レジスダンが、悪鬼のように歯をむいて詰め寄る。
「おい、てめえはこの薬をこう言ってきたな。
この薬の虫を殺す効果は素晴らしい。だからこいつがあれば、湿地でも蚊や熱病に悩まされることはねえって。
だから、ほとぼりが冷めるまで湿地にいようって決めてまいたんだがよぉ」
くたびれた学者風の手下は、目を白黒させて言い返す。
「いやいや、何も間違っておりませんぞ!
現に蚊や毒虫は来なくなったではありませんか。魚もたくさん獲れたし、魔物も寄ってこなくなったし、ワニ共も弱ったし、全て思い通りではありませんか!
なのに、何を今ごろ……!」
「人間もやられるなんて聞いてねえ!!」
野盗どもの話を統合すると、こうだ。
あの毒は元々、殺虫剤としてまいた。他の土地でやりすぎて目をつけられた野盗どもが、夏の間湿地に身を隠すために。
その後魚がたくさん浮かんだりワークロコダイルが弱ったりしたのは、天の助けだくらいにしか思っていなかった。
野盗どもは始め何ともなかったが、ワークロコダイルの集落を二、三度攻めた辺りから体調不良を起こす者が多くなった。
毒草に当たったのかと思って植物を食べるのをやめたが、日増しにひどくなる。
このままでは最悪ここから動けなくなるし、離反者が出て教会やギルドに通報されたら一大事だ。
レジスダンは教会への憎しみと恐怖で仲間を締め付けながらも、内心焦っていた。そしてワークロコダイルの動きを見て、ダンジョン奪取に望みをかけた。
それを聞くと、ユリエルとシャーマンは脱力してぼやいた。
「よく分からないものを安易に使うからよ。
人間は割と毒に強いから、他の肉食動物より毒が溜まらないと発症しないことが多いの。それに気づかず、都合のいいように考えて毒を食べ続けたのね」
「……結局、あんたの言った通りだったねえ。
だからって、それに乗じてやった事は許せないけどね!」
敵の目の前だというのに、レジスダンは学者風の手下を締め上げてまくしたてている。
「ふざけんな!味方まで毒塗れにしてどうすんだ!!
それに、解毒剤……あれの管理もてめえだったな。本当は他の奴には毒水与えて、てめえだけ使ってたんじゃねえのか!?」
「ぐうう……そ、んな事は……ない!治しても……またすぐ、悪く……なった、だけだ!
それに……ゲホッ……私も、アレが……そんな危険だ……とは……!」
どうも、元凶の野郎もあれが何なのか知らなかったらしい。
だがこれには、ユリエルの方に心当たりがあった。
「ねえ、その殺虫剤……もしかして、パクリウス領の辺りで手に入れた?」
「なぜ分かった?」
元凶の反応に、ユリエルはやっぱりと思った。
「三年くらい前の話よ……パクリウス伯爵が欠陥品の殺虫剤の回収と廃棄を命じられたのは。殺虫効果は高いんだけど、人や家畜に害が大きいからって。
でもあなたたちがそうだったみたいに、人の発症は遅いから、既にそれなりの規模で作り始めちゃってたみたいで……。
何とか金にしようとして、闇で捨て値で売られてたんじゃない?」
「そ、そうだ!これがあれば湿地に住めるって……闇市で大量に買ったんだ!」
当たってしまった予想に、ユリエルはため息をついた。
実はユリエルが中等部でハーブ園の世話をしていた頃、例の殺虫剤を学園の畑や花壇に導入してはどうかという話があった。
虫好きのユリエルとしては大反対で、いろいろと理由をつけてゴネるうちに、その殺虫剤の欠陥が判明して学園は事なきを得たのだ。
それが、こんな所でまた顔を出すとは。
「クッソオオォー!!何でそんな大事な話が、入って来ねえ!!」
喚き散らすレジスダンを眺めて、ユリエルは呟いた。
「あーあー……知らないって怖いわね。
でもこれも、教会や官の情報に耳を傾けていれば、届いたはずよ」
レジスダンたちがこうなったのは、ある意味自業自得だ。
教会憎しで、それと関わるものを全て切り捨てて信じなかったせいで、そこから人々のために発信される大切な情報を受け取れなかった。
知らないまま自分たちのやっていることは正しいと盲信して、無関係な者の生活を壊し、自分たちすら蝕まれて。
こんな調子では、力を持てば持つほどひどい過ちをやらかして人々を害するだろう。
いや、これまでも世の中の情報や他者の都合を無視し続けてやらかし続きで、湿地まで追い込まれたのかもしれない。
これでは、教会を憎む同志でも手は取り合えない。
ユリエルが望むのは、まっとうに生きている人が報われて幸せになる世界。そのために、教会の腐った部分を切りたいだけ。
教会の全てを否定して罪もない人を不幸にしたい訳ではない。
「ああ……耳を塞いで仲間も守れないあなたに、世直しはできないわ。
世のため人のため、ここで死んでちょうだい!」
ユリエルは久しぶりに聖女らしく、世を守るため戦うことにした。
都合がいいと思っていたもので人間にも害が出るのは、現実でもよくあったことです。農薬以外にも、水俣病などの公害がありますね。
水俣病の場合でも、人間が発症する前に魚が浮いてネコが狂って死んでいます。発症が遅いのは必ずしもいいことではない、発症したら手遅れなくらい毒が溜まっているし、発症するまで食物連鎖で毒を溜め続けることになるのだから。
殺虫剤が原因で事態が悪化するのは、双葉社の「アラフォー男性ですが賢者に転生したようなので、害虫駆除して暮らしていきます」にもあります。
普通の人でも大損害を被るのに、追い詰められたレジスタンスには致命傷だったよ。